ハートマン軍曹
「今日、れおなさんに会ったんですよ」
こう切り出したのは以前『れおなさんのアロハコレチェキで絶命して息を吹き返した』お嬢さまだ。
ご帰宅したら偶然れおなさんがいて不意をつかれたらしい。
「しかも、れおなさんがお出迎えだったんですけど絶命して膝をつきそうでした」
気持ちが痛いほどわかる。不意打ちほど心臓に悪いものはない。
先日、れなちさんがすれ違いざまに「あっ! どうも〜」と声をかけてくれた時にどう反応したら良いかわからず混乱してしまい、
「パッファ!」
と返答してしまった。
そのことを考えながら帰路についていたのだが、電車を肉体的に止めようかと思ったほど後悔した。
いつか「パッファ」が人類の共通語になり「今日も可愛いですね」の意味を持つことを願うばかりだ。
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ご帰宅をする際は心の準備、話すことの整理をして行かなければいけないのである。突然の接敵は死に直結する。
「今日は○○さんと会うぞ! こんなことを話すぞ!」と準備をしておかないと、すべて「パッファ」の結末を迎えるのだ。
子供の頃、先生によく「予習をしてきなさい」と言われたのは「メイドとの突発的な近接戦闘は備えがないと生き残れないよ」という意味合いがあったことに気付かされる。ありがとう学校。ありがとう教育。
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「でもお屋敷を事故物件にするわけにはいかないと思って」
意識が高い。推しのコレチェキで『3回絶命して2回息を吹き返した』ことがあるので気持ちがわかる。
『萌え死かぁ』と考えてみる。
そんな幸せな結末を迎えたら成仏できそうだな、地縛霊にならなそうだなとか思っていた。
ところでこの『萌え死』、はたして自殺と他殺のどちらだろうか。
突然の接敵は特殊事例として、大抵は自ら会いに行って萌えて死ぬ。萌え萌え自傷行為だ。しかし「メイドの萌えが過剰である」という頭のイカれたクレーマー的発想もできる。
「どちらなのだろう…」と新宿三丁目の駅で考えていたが「別にいいや」と新宿駅では思っていた(この間15秒)。
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「れおなさんが新人さんをトレーニングしていて」
ドンキ店でお嬢さまと連番。
メイドトレーナーのお仕事をしていた様子を語ってくれた。
「モノの言い方とかそういうのが聞こえてきたんですけど、それ聞いてたらこちらも勉強になるなぁって思って」
「そういうの大事ですよね。メイド人生の土台というか」
「個性はもちろん大切だけど、それが活きるのはベースがしっかりすることが大事かな、とか」
たしかに、と思った。
いわゆるコンカフェの経験はあっとほぉーむカフェ以外にほぼないのだが、これはコンカフェのみならず接客業、ひいては人間関係において大切なことではないだろうか。まずは土台をしっかり固める。これが大事なのだ。
「ご主人さま・お嬢さま講習会ってあったら面白そうじゃないですか?」
思いつきが口から出た。
しかしながらこの思いつき、少し面白そうではないだろうか。
『より良いご帰宅ライフを目指して』をモットーに、講師のメイドが「基本的なルール」などを講義していく。
これはランクに関係なく受講でき、講習会後の試験結果によって『ご主人さま1級』『お嬢さま1級』のように免許がもらえる仕組みだ。
そしてこの免許の級数によってピンバッジなどが与えられる。
いわば『勲章』である。
しかし厳しいまゆみ軍曹は「おいお前らはなんだ!? ご主人さま? お嬢さま? 違う! ウジ虫だ!」と言い放ち「お前のご主人さま名は今日から『ほほえみデブ』だ!」とこちらを指差しぶっ放す。
いつまでもメイドに失礼なことを言う輩には「セイウチのケツにド頭突っ込んでおっ死ね!」と言ったりもする。
※本物のまゆみさんはとても優しくて楽しいメイドさんです。かしこ。
こうなってくると参加はしたくなくなったが、DVDで「絶対に笑ってはいけないあっとほぉーむカフェ24時」として販売してほしい。
5枚くらい買って配りまわりたい。応援上映もしてほしい。
……
長くご帰宅していても、実は曖昧だったりすることもあるだろうし、これから初ご帰宅をするという方々にも良い点がある。
これは私もそうだったのだが「初ご帰宅が最高難易度」なのである。
初のソロご帰宅時には緊張で注文もあやふやになり、推しを遠目に見ながらコーラを飲んで帰った記憶がある。
これほどの緊張は保育園のお遊戯会で『食いしんぼ鬼』を演じた時以来だったと思う。
かごに入った果物を食べるシーンで『剥がしておくはずのラップがバナナにかかっていた』ことに気付いた時と同等の緊張だ。いま思い出しても震える仕打ちである。ちなみにラップは剥がれなかったのでそのまま食べた。
初ご帰宅さえクリアしてしまえば、あとはトントン拍子だ。
いつの間にか『表面張力ギリギリのアイスコーヒーが出てくる』ようになっている。烏龍茶にガムシロップを入れると美味しいことにも気付く。
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今年に入ってからようやく肩の力を抜いたご帰宅ができている。
生活における優先順位を自分のなかで変えただけなのだが、これだけでずいぶんと気持ちが軽く、そしてより楽しくご帰宅ができるようになった。
そろそろまた新規ご帰宅の方を募りたい。
初ご帰宅する方々の楽しそうな姿を見てあらためて思うこともあるだろう。
連れて行った方がいつか『デコルテ見せびらかしご主人さま』と呼び出されますように……。
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ところで先日、創作怪談話を投稿したが、ああいったものは実際にはないのだろうか。
お屋敷はさまざまな念が渦巻いていて、武の達人は鋭い危機察知能力により辿り着けないと聞いたこともある。
もし何かそういったお屋敷にまつわる『怖い話』的なものをご存知の方がいたらこっそり教えてほしい。
ちなみに『お屋敷の端っこでキーボードを一心不乱に叩くおじさんかおばさんかわからない人』は私なので怪談ではない。
まだ『ほぼ怪談』である。
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今回から『ツイートするにはなんだかアウトな気がする』ことをnoteに書き残しておこうと思う。
■みわこさんと同じエレベーターに乗ったのだが、なんだか申し訳なくなってしまって息を止めてたら、5階から1階まで全部止まって死ぬかと思った。
■『汗を吸うと涼しくなる甚平』を着て6階にご帰宅後、7階にご帰宅をしたら凍え死ぬかと思った。
■よなさんの顔がより一層小さくなった気がする。
■その甚平が微妙に透けることをランゼさんに伝えたら『iphoneのライトでなんとか乳首を透けさせようとする』ので「金持ちジジイの遊び」とツッコミを入れた。
■その日、なぜかランゼさん(無限に出てくる)が私の上半身をあらわにさせようさせようとしてきて、そのたびに「お願い! 1回だけ! 1回だけ!!」と言ってきて「(ダメ男が一番言うやつだ……!)」と思った。
■「デコルテみせびらかしご主人さま」と呼び出された時、隣の席を片付けていたメイドさんがこちらのデコルテを見て笑ったのだが誰かわからないので「私です」という方がいたら教えてください。
■面白いツイートにだけつららさんが「いいね」してくる。
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