性癖と絶命

22日は数少ないご帰宅仲間の方が個展を行うということで原宿へ。
体感6割くらいのお店がシャッターを下ろしている竹下通りを抜け裏原宿へと入っていく。『イベント時の課金アイテム』かと思うような服が多く並んでいたが、たぶんこれが理解できないからいま自分はこうなっているのだろう。

デザフェスギャラリーで行われていた『性癖展』。こちらは『季刊性癖』という「ありとあらゆる人の『性質』(←これ重要)を集めたフリーペーパー」の創刊10周年を記念した個展である。

http://blog.livedoor.jp/seihekiseiheki/archives/1078311073.html
(詳細はこちら)

https://twitter.com/774_dayo
(水の人美氏のTwitter)

https://twitter.com/seihekiseiheki
(季刊性癖のTwitter)

代表は水の人美さん。皮膚疾患が性癖とのこと。
彼女との出会いはご存知我らが聖地であり実家の「あっとほぉーむカフェ」である。当時、初めて出来た3次元の推しという沼に鼻骨くらいまで埋まっていた私を見て「おもしれー奴」もしくは「やべー奴」だと思ったのだろう、この身近にいそうでいなかったタイプの『業の塊』に興味を持っていただいて接触。そして今に至る。

部屋一面に貼られた紙にありとあらゆる性癖が直筆で書かれている。(上記アドレス先で見られます)
一見すると『範馬刃牙の家』のように感じるが、それらは今までに水の氏がデザフェスで行った性癖に関するアンケートとのこと。ノーマルな性癖もそこそこ…いや、何事も自分の物差しで測ってはいけない。もしかしたら自分のノーマルはアブノーマルかもしれないのだ。「キミはMなフリしてSの子に近寄って困らせて喜んでる」と言われた記憶がある私は何も言えない。

さまざまな性癖を見ていると理解ができないものもあるが、ひとつも否定できないことに気付く。これが無ければ死ぬ、というものではないが、これがあるからみんな生きていけるのだと思う。

「電車で隣に座った女が岡本夏生に似ている」「喫茶店で向かいの席から年収の話しか聞こえてこない」など、日々たまっていくストレスを発散するにはこうした性癖たちが必要なのだ。
そしてそれらを展示・公開してくれる事で共感を生み「僕はここにいてもいいんだ!」とシンジばりの雄叫びをあげ「おめでとう」とおむつを履いたおじさんやヤフオクでタグに名前が書いてある使用済みスク水だけを落札するおじさんが拍手をする。

人が吐き捨てたガムを集めていた高校の同級生・松村くん(後に数十億単位の株価操作で逮捕)や、大学卒業後に思わせぶりな態度でピュアな青年を山奥の宗教施設に連行したYさんのことを理解できないと拒否しても否定はできないのだ。Yさんを否定していいのは私だけだ。

このままでは山奥の白い寺でYさんが紹介してくれた白装束にゴツい指輪という『初期だけ課金したユーザー』のような格好をしたおばさんの話になってしまうので話を戻そう。

水の氏は、れおなルド・リッピことれおなさんが三度の飯より好きである。普段は「メイドトレーナー(指導係的な立ち位置でチェキ撮影などができない)」として働く彼女であるが、この日はナギさんS Pお給仕のイベメンとして『アロハシャツ』でお給仕していたのだ。
これだけでも水の氏の腎臓は『萌え』と書かれた金属バットで激しく打たれ続けていたのだが、なんとこの日は「お腹を出していた」のである。萌えバットが『萌え釘バット』に変化した瞬間である。

『メイドが肌を露出して良いのは一部のブロマイド撮影の時のみである』と新撰組の局中法度に書いてあることは有名だが、その鉄の掟が破られた形だ。これには土方歳三もうろたえ、その後に「皆、自分の道をゆけ」と言うかもしれない。

その日は秋葉原に戻る用事があったのでチェキの代行を申し出ると「というか本当にお腹出してましたか? そんなことありますか?」という確認のLINEが届く。質問に確認で返すということは、すでにモヒカンでトゲ肩パッドの男に萌え釘バットで打たれすぎてしまったのかもしれない。

そしてお屋敷に到着し、いよいよれおなさんのコレチェキタイム。
「でででででっくさん! あまりお話したことはなかったですけど認知はしてますよ」と言われ、あまりの衝撃に気を失いそうになりながらもなんとか踏みとどまったものの「こちらも存じております」と謎のビジネス返しをしてしまった。
「○○ちゃん(代行の方)だったら面白いのがいいよね~」と言いながらチェキを選んでくれている。萌えが溢れてるやん……。

ニコニコしながらチェキにペンを走らせる。代行の方が今日は個展で来られないこと、チェキを見たら死ぬかもしれないと言っていたこと、お腹を出し……お腹! そう、お腹を出しているか確認しなければならないのだ。
だがしかし、メイドが普段は出していない箇所の肌を確認するのは気が引ける。というかそれは捕まらないだろうか。日本の法律はお屋敷内では適用されないだろうか。色々と不安な気持ちになりながら困惑していると、

「はい、これはちらっと見えているお腹がポイントです!」

と完成したコレチェキを見せてくれた。萌えが溢れてるやん……。
期せずして完遂したミッション。早速「お腹は出してました」とLINEで飛ばす。返ってきたのは「死にたくない……でも見たい……死にたくない……」という言葉。『瀕死になりながらも辿り着いたダンジョン最奥で見つけた明らかに舌が出ている宝箱』を見つけた勇者一行も同じ気持ちかもしれない。そしていよいよチェキの写真を送信する。

なかなか返事が返ってこない。死んでしまったのかもしれない。
30分後「一度絶命したけれど、もう一度見たくて息を吹き返しました」と返事が来た。私も初めて推しのソロチェキをもらった時は「3回絶命して2回息を吹き返した」ので気持ちがわかる。

「れおなさんは秋葉原の最大の妖精です」という言葉に「あの笑顔は天使ですね」と返す。たしかに7階は「物理的に一番天国に近い店舗」なので天使が存在するのかもしれない。これからも絶命したり息を吹き返したりしながらご帰宅をしたいと思う。

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