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似顔絵を見ながら描いた似顔絵

祭は人間の本能を刺激する。

異常に上がるテンション。
緩くなる財布の紐。
浅くなる笑いのツボ。

きゅるりんぱーてぃーでも同じような体調の変化があったので、あれは紛れもなく祭だったと思う。


■『きゅるりんぱーてぃー』とは

あっとほぉーむカフェのメイドで構成されたアイドルグループ『めいどいん!』のメンバーが行う特別なお給仕のことで、CDを購入して得られるチケットを消費して様々な出し物を体験するというもの。


入場するとすぐに『240度くらいから浴びせかけられるメイドさんの笑顔』にコミュ障を発揮してしまった。すぐさま机の端っこに手を乗せ、あたりを見回す『子犬スタイル』で何度も見たタイムスケジュールをもう一度確認する。時々、余裕ぶって『グラップラー刃牙』を読んでいたが、内心は焦りまくっていた。

今日の第一目標は、つららさんの描く似顔絵をゲットすることである。

例えばコレチェキの時間に似顔絵を描いてほしいと頼んだら描いてもらえるだろう。しかし、家を出る前に人魚スタイルでツイッターを眺めていると、目に飛び込んできたのは『ミニ色紙に描かれる似顔絵』だった。

あっとほぉーむカフェでは、チェキ以外の物体にお絵描きがされることは基本的になかったと思う。なんというレア物。これはもう行くしかなかったのである。

イベントは全5部制で、それぞれ前半と後半に分かれている。
仕事を終えて5部に間に合ったが似顔絵は後半だったので、まずはゆららさんとチェキを撮ることに。大阪店に行ったら絶対に会ってみたいと思っていたメイドさんのひとり。前半がフリーなのはラッキーだった。

トークの本場(?)大阪のメイドさんだ。
本店で鍛えられた(?)トーク力が通用するのか。はたまたアワアワしてしまうのか。大阪へ出陣する前の前哨戦というところ。

ゆ「はじめまして〜」

で「は、はじめまして! ゆ、ゆららさんですね!!」

ゆ「???」

アワアワしてしまった。まず1敗である。1回表に10失点でゲームオーバー。PKを外した駒野もこんな気持だったかもしれない。
大阪への道はまだまだ遠い。次回お屋敷で会うときには、ちゃんと掛け合いができるように鍛錬を積まなければ。

次はとなりのつららさんとチェキを撮る。
つららさんも祭の熱気にやられているのか、唐突にとなりにいたちろるさんに「でっくだよ!」と紹介してくれたり、テンションがいつもより高い。
メガホンを持って突然何かを吠えていたので間違いないだろう。

チェキを撮り終えて一息つくと、ありえないミスをしていることに気付く。なんと手元にもうチケットが無いのである。
家を出る前の計画では足りるはずだったのに謎である。コミケで会場を一周して帰ってきた時の喪失感に近いものを感じつつ、直後にCDを買い足していたことも謎だ。PayPayの便利さには頭が下がる。

CDとともにチケットを追加し後半を待っているとお楽しみ会が始まった。
ゆららさんが「前の部ではしゃぎすぎた」と言っていたのでとても楽しみである。

『きゅるりんぱ!』が流れ始めたのでニコニコしながら見ていると、視界の端でつららさん、こえびさん、いあさんがハチャメチャに笑っている。

「微笑ましいなぁ」と思いつつその光景を捉えていたが、尋常ではない爆笑が度々聞こえるようになった。

目を向けると、おそらく常連の方だと思えるご主人さまに振りをさせて爆笑しているのだ。この事実には微笑ましいを超えて普通に笑ってしまった。

後半戦。

つららさんが「イメトレはバッチリ」だと言う似顔絵タイム。
筆の進みがありえないほど速い。顔の横に『3m』と描いてひとりで爆笑している。

つ「ちょっと口見せて」

で「こうですか?」

つ「は〜面白い」

決して笑わそうとしているわけではない一般人男性40歳の普通の顔である。それを見て笑っているのだ。ちなみに、そんな『でっくの普通の顔』で笑うメイドさんは、あと5人くらいいる。

頬に点々を描き足して完成。
そんなに毛穴が丸わかりでは無いと思うので、おそらくオリジナルの味付けなのだろう。

そして先ほど追加したチケットのおかげで、こえびさんにも似顔絵を描いてもらえることになった。

で「ちょっとこれ見てくださいよ、頬の点々(似顔絵見せる)」

こ「ウケる。この頬、カカト擦る石じゃん」

そんなやり取りをしながらこえびさんはスラスラと描いていく。
途中、正面に実物が座っているのにも関わらず、つららさんの絵を見ながら似顔絵を描いていることに気付く。

「本人を目の前にして似顔絵をトレス?」という疑問が湧いたが、今までにあったお屋敷での『常人の理解を超えた』やり取りなどを思い出し、『これが普通なのである』という思い込みをすることで事なきを得た。

そしてタイムアップ。
ここでパーティはお開きである。

帰りしな、『アキカルのTK』こと、いあさんに二礼しお屋敷を出た。


触れてみて初めてわかること、誤解していたこと、そこから得られる経験や感動。体験することでわかる文化がそこかしこに存在する。

初めての場所に足を踏み入れるのは何歳になっても緊張してしまう。それは今回のイベントにも当てはまること。
その緊張に負け、何かしら言い訳をつけてスルーすることが今までに何度もあったし、そういうときは『あのとき行けば良かった』と、あとで思うのである。

実は、今日もギリギリまで『今日やらなくて良い仕事』を理由に迷っていた。でも、結局は行って良かったのである。大抵のことは、参加したら『良かった』という感想になるのだ。
だから、何かのきっかけになってくれる人たちには感謝してもしきれない。

アキブロを観たときの感想でも書いたが、悩んだり辛い時には『自分が笑うことと同じくらい、笑っている人を見るのも大切』だと思う。

今日笑わせてくれたみんなが落ち込んだ時、この似顔絵を思い出して笑ってくれたら、きゅるりんぱーてぃーに参加して良かったと改めて思えるかもしれない。

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