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理にかなった''利き足理論''とは?

皆さんは利き足理論を聞いたことがありますでしょうか?

本日、とある街クラブの強豪チームの指導者の方が取り組んでいるメソッドを伺いました。

利き足理論?

川崎フロンターレのジュニアチームでも取り入れられている指導論だそうです。内容は非常にシンプル。

左足は使わない。利き足だけ使う。

簡単に言うとこれだけです。

私も最初、え??と思いました。
振り返ってみると、試合中も「利き足だけでいいぞ!」と盛んにコーチングされていました。

ではなぜか??

よく指導現場でパスやドリブルの練習を行うとき、どこかのタイミングで「次、左足でやってみよう!」と指導者が指示する光景を見たことがあるはずです。私も実際に行なっています。

まず利き足でパス&コントロールやって、慣れきたら左足も使うように指示を出す。

でもそこだけ左足を使って、上手く試合中使えてる選手は実際どれくらいいるのでしょうか?ほとんどの子ども達が利き足より劣り、ぎこちないまま使っているのではないでしょうか。

では習得順序の観点から見てみましょう。

パスを教える時、皆さんはまずインサイドキックから始めませんか?

私もそうです。まずは利き足のインサイドキック、左足のインサイドキック、それから右足のアウトサイドに移行していきます。

でもこのインサイドキックは、実はドリブルの練習とは子ども達にとってかなりかけ離れた練習だと言うことです。

それはなぜか??

なぜなら足の異なる部位を使うからです。

インサイドキックを先に教えてしまう弊害は、ドリブルに如実に表れてきます。インサイドを意識するあまりガニ股のような走り方でドリブルをする子どもを見たことはないでしょうか?

あれはインサイドパスとドリブルの練習を並行して行なっているのが原因の一つでもあるでしょう。よく考えるとインサイドの体勢の作り方はかなり特殊で、人間の歩行や走行の通常動作からかけ離れたものです。

足のつま先を横に向けるなんてサッカー以外にやりませんからね。子ども達からすると、これを習得するのに大変な努力が必要なのだと改めて感じさせられます。

そう考えた時に、ドリブルでボールが離れず、かつ速く進める。方向転換もスムーズに行えるのはアウトサイド(つま先を下げて足の小指で押すなどとよく言われます)でのドリブルでしょう。

ここを基点にパスの習得も目指すのであれば、まず教えるべきはインサイドではなくアウトサイドパスではないでしょうか。と言うのがこの理論の核心でもあります。そこからインサイドパス。左足は無視。とにかく利き足を鍛えてとにかく伸ばす。

右足もそこそこ、苦手意識のある左足もまあまあ使えるレベルまで持っていくのと、右足のアウトサイドとインサイドを自在に扱える選手であれば、どちらが上手になるでしょう。子ども達からしても、後者の方が自分自身が上手くなっている感覚が得られてサッカーが楽しいはずです。

パスにおいても、自分の左足の前にボールがあったときにミスが多い左足を使わせるよりも、利き足の右足アウトサイドを率先して鍛えた方が効果は大きいはずです。

この利点はドリブルにも表れます。小学生年代で両足を起用に使えてドリブルする選手はほとんどいません。むしろプロの世界でも基本は利き足持ちです。小学生から両足のインサイドパスの練習をアウトサイドよりも先にさせてしまうと、その選手はドリブルも両足のインサイドを使う癖がついてしまいます。

何が弊害となるのか?

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一番は利き足が右で、自分の右にボールを進めたい時です。上手な選手は右足インサイドを使って左方向に仕掛け、右足アウトサイドを使って右方向に仕掛けます。これはトップオブトップの選手も同じです。

ですが、両足インサイドパスを意識してしまう子ども達が右方向に仕掛ける時、右足アウトサイドよりも左足インサイドでボールを右に運ぼうとします。ぎこちない左足で仕掛けたところでスピードも乗らず、相手の体の前をしっかりボールが横切ってしまうのですぐに奪われてしまうのです。

だから左足は無視する。

但し、一切使うな!と制限はしない。選手が足りないと感じて自主的に練習するのはOK。ただチーム練習で集中的に行うのは利き足のみ。

アウトサイド、インサイドを利き足で自在に扱えるようになるのが優先。足の裏も含めて。

如何でしょうか??

私はこの理論を聞いて凄く腑に落ちました。単純にその通りだなと。

ある有名なジュニアチームのコーチもこの理論を聞いて「ごめん、俺間違ってたわ!」と言って子ども達に今までの指導を謝罪し、方針を転換してこの理論を実践するようになったそうです。

勿論、意見は十人十色。考え方も指導法も自由なので、あくまで参考程度に読んで頂ければ幸いです。

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