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1年1学期/ハンガリー国立デブレツェン大学医学部医学科(通称・本コース)について

デブレツェン大学の1年生ではどんなことを勉強していくのか、どんなスケジュールなのか、科目の優先順位などを、実際私が困ったことやこういうの事前に知ってたらな~と思ったこと等々を交えて書いたものです。こちらも実際に新入生向けに書いて配布したものを再編しました。長文すぎて気がめいると思うのですが、こちらで一年生をやる上で必要な大抵の事は書き記しています。よくわからないことや読み飛ばし可と書いているものは実際の学生以外にとって重要ではないものなので飛ばしても大丈夫です。

とりあえず根幹のシステムのようなもの(読み飛ばし可)

6年を通して科目というのは大体compulsory, required elective, freely chosenの3種類に分かれます。
卒業までに最低360単位必要で、つまり1学期平均30単位。
その360単位のうちcompulsoryは80%、required electiveは15%、freely chosenは5%をしめなければなりません。(required electiveはfreely chosenと互換可能だけど逆は不可能)
低学年のうちはあんまり気にしなくて良いのですが、出来るだけ取れるだけ取っておいた方が後が楽。とれなくてももっと効率の良い科目が高学年で取れたりするのであまり気にしなくて良いそうです。体育も卒業までに3semester分単位が必要。
進級に直接関係するのはcompulsoryのみです。

一つ大事なルールがあって、
ひとつの教科は4回Register(受講登録)出来る、
Final Examはtotal 6回 受験出来ます。
(1 exam periodに受験できるのはMax 3回まで)
そのどちらかを消費し終わる前にパスしないと退学になります。全科目でこれは共通するルールですが、教科によって1チャンスの重さというのはかなり違います。その辺についてもおいおい説明していきます。


1年間の流れ


1st semester 9月中旬-12中旬(14週間)
Exam period 12月中旬-2月上旬(7~8週間)
2nd semester 2月中旬-5月下旬(14週間+イースター休暇1週間)
Exam period 5月下旬-7月中旬(7~8週間)


1年1学期


本コースは1学年12グループ、各グループ20~30人+repeater(留年・再履修者)から構成されています。6年間同じグループです。(変更可能だったりするけど移動は稀)
グループによって時間割が全然違います。毎日朝8時から授業があるグループもあればはじまるのが遅め終わるのも遅めのグループもあります。

1年の1学期は何より科目が多い…
・Medical Chemistry
・Biophysics
・Biostatistics
・Basics of behavioral Science
・Communication Skill
・Hungarian
・Latin
(required elective)
・Librarian(required elective)
・Computer Science(required elective)(グループによって1学期だったり2学期だったり)
・First AID(グループによって1学期だったり2学期だったり)
の10科目です。細かく解説してきます。


あまり大事じゃない必修科目(読み飛ばし可)


Basics of Behavioral Science
週1朝8時から2コマのLectureのみ。日本の教科で言うと行動心理学とか倫理っぽいことを勉強する。学期内に試験1つ。Multiple Question。20問中12問以上正解でパス。テスト前数日スライド読んで過去問やれば問題無し。落ちたらFinal Examはオーラルテストになる。落ちる人あんまりいないけど割とみんなギリパス。2年の1学期に取得するのも可。


Communication Skill 週1・1時間半
担当の先生によってやること違う。自己紹介したりゲームしたり映画見たり。学期の最後に5分くらいプレゼン&レポート提出。


Hungarian Language 週1・1時間半
その名の通りハンガリー語。あまり難しくない。初回授業時に教科書買わされる。毎回単語テストあり。すべての単語テストに合格しないと学期末のテストに単語テストが課される。Mid term (written)& End term Exam(written)&Oral Examと学期中テスト2(オーラル入れて3)回。Mid&Endの平均60点以上でパス。


Medical Latin 週1・1時間半
その名の通りラテン語。Medical termに慣れるのが目的。Anatomyの予行練習。ルールは上記のHungarianと同じ。教科書も初回授業時に購入。この毎週単語テストがハンガリアンとラテン2種類っていうのが地味にキツかったです……


Computer Science 週1・1時間半
WordとかExcelとかの使い方を学ぶ。学期のはじめにExemption(授業免除)テストあり。それに受かれば授業でなくて良い&Grade5確定。テストはwordとExcelで簡単な表計算やグラフ作り。落ちたら授業受けないといけないけど、勉強になるのでそれはそれでよかったです。


First AID
Lecture(week1-5)&Practice(6-13),practical exam(week10),written exam(week14)
私は裏技にて授業免除だったので授業受けてない…のですが、名前の通り救急救命法について学びます。友達は人体模型に人工呼吸したりしたそうです。


Library system 週1・1時間半
学期内の指定された5週間のみ授業。図書館の使い方や本のラベリングについて学ぶ。5週目の最後にテストあるけど先生が答え教えてくれたりとにかく緩い。


進級に関わる大事な科目


Medical Chemistry(進級科目)


留年率10%くらい。
Lecture週2回×各90分(出欠取らない)
Seminor週2回×各90分(出欠取る、要出席率80%)
Practival週1回×Max3時間(要出席率100%・予習ほぼ不要)
教科書はBMCでも使用したMcMurry/Fay/Robinson's Chemistryと大学オリジナルのOrganic and Bioorganic Chemistry for Medical Studentsというもの。


SCT(学期内テスト)は5週間おきに3回、範囲は1st・General chemistry、2nd・Organic chemistry、3rd・Bioganic Chemistry、です。1st&2nd の範囲はBMCでやったことの復習+α、3rdはbiologyっぽい内容になります。(TCAサイクル細かく覚えたり)

(下の画像は公式のレジュメ。各週ごとの学習内容が記載されてます。)

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Final(期末試験)は【writtenパート3種のうちExemption落としたの+オーラルexam】です。すべて同日に受験します。

SCT(学期内テスト)でexemption(57%以上)取るとそのパートのFinalが免除になります。
!3回の平均では無いです!
(例えばSCT3回とも57%以上取るとFinal examはオーラルexamのみです。
1stと2ndだけ57%以上だった場合、Finalはwrittenの3rdパート➕オーラルexamです。)


writtenパートが全部受かってないとoralパートに行けません。Cチャンス(Aチャンス=1回目の期末試験、それに落ちたらBチャンス=2回目の期末試験、それに落ちたらCチャンス=3回目の期末試験・これで留年or進級が決まる、詳しくは後述のFinal Examについてを参照)はwrittenの出来に関わらずoralアリです。

57%でexemptionって結構低めじゃない?と思うかもしれませんが、BMCの問題やセンター試験と比べると一つ一つの質問が重いし問われる情報の量や深さが違うなと感じました。
Finalのオーラル試験は全パートが範囲です。試験官の先生によって全然違うのですが、定義や公式の説明、minimalにある構造式など。SCTでは記述はないから構造式とか書けなくても解けるけどオーラル試験では書けないとFailの原因になると脅されました。(実際にアミノ酸全部に加えヘモグロビンの構造式を書かされた友人います……)オーラルの先生がその場でGradeをつけるので、あまり上手に英語が喋れなかったりちゃんと説明できなかったりするとどんなにWrittenの点数が3つとも良くても2(可)とか普通につきます。

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Med chemの試験pass後に撮影。1科目でこんだけ🙄



Biophysics(進級科目)


留年率20~30%くらい。(Departmentから来てるチューターの先生いわく)
Lecture週2回×1時間(出欠無し)
Seminar週1回×90分(出欠あり)
Practical2週間に1回(要!!!!!!予習)
教科書はMedical Biophysics/Sandor Damjanovich, Judit Fidy, Janos Szollosi(ハンガリーのオリジナル教科書)


原子物理にはじまり、医療検査器具などについて構造から学び知識を深めます。X線/蛍光反応/CT/PET/MRI...etc

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スライドと過去問中心に勉強、教科書よりWikipediaの方が使用頻度高かったです…
イスラエル人?の先輩が作ったノート&You tubeの解説動画が非公式ながらも人気です(URL→https://www.youtube.com/channel/UCa_tsDmLoWguyFWw2ivmYZQ)

内容も難しいし何が大事かもわかりにくくてすごく勉強しにくかったです。

SCT2回、labテスト1回
SCTはminimal, 正誤問題, RA(relation analysis, "A and B"という文ならABの正誤とその関係の正誤を問う問題) ,fill in blank(穴埋め), Essayからなります。Physicsとはいうものの計算とかはあんまりしません。その事象を本当に理解しているかが問われます。

Final examは【lab part(labテスト受かってたら免除)➕Apart(通称minimal、SCT2回の平均が66%以上で免除)➕Bpart(TF,Relation Analysis,fill in blankで約50%, essay約50%)】からなります。


Final ExamのApartはminimal requrementという一問一答集みたいなのがあり、それから(300問以上より)20問がテストに出て16点以上取らないといけない試験です。
試験は同時にするのですが、16点以下の場合Bパートは採点してもらえないという地獄仕様です。これの所為で2、3割単位落とすそうです。1学期の山です。。(筆者は現在3年で、過去色んな科目ありましたが、マジで2度とやりたくない科目の1つです)
Cチャンスの時のみminimalの出来に関わらずBpart採点してくれます。ApartかBpart、もしくは両方落ちてたらoralアリ、両方受かってたらoral無しでpassくれます。


受けた個人的な感触では回によっての差はある(作成者が違う?のでwritten partの設問の数とか点数配分がかなり違った)と思うのですが難易度はそこまで変わらないと思います。ただし出題範囲に偏りがあったりするので、自分にとってハズレ引くことはあるやも。

ちなみにSCT2回分の平均が85%超えて居たら特設oral試験(という名の雑談)、それに受かればFinal免除というルールもあります。ちなみに2015年度は5人?とか一桁人しか居ませんでした。(多い時?は大体20~30人居るらしい)でもぶっちゃけminimal免除(66%以上)が取れたら万々歳だと思います………ほぼ受かったようなもんです。


Biostat(進級科目ではないけど1-2年の内に取っておかないと3年になれない)


Lecture週×60分(たまに出欠とる、その時に居たらボーナスポイント10点)
Seminor週1×90分(出欠アリ)
統計学。確率とか表を読み取り計算。

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学期内テストは1回。Apart75%以上でBpart採点、B partがボーナス込みで55点以上でパス。
ApartはMinimal+計算・BpartはTF,RA,グラフ書く、統計計算
関数電卓持ち込み可です。(というか無いと解けない) 年々難化の傾向あり。数学苦手な人間としては、数Ⅲとかに比べたら全然簡単でしたがコツをつかむまでが少し大変でした。


FINAL EXAMについて

試験期間は7週間あります。
1教科につきA,B,Cチャンス、3回試験チャンスがあります。(Aチャンス=自分の1回目の期末試験、それに落ちたらBチャンス=2回目の期末試験、それに落ちたらCチャンス=3回目の期末試験・これで留年(再履修)or進級が決まる)
いつどの試験を受けるかというのは自分ですべて決めます。
1年生の科目は各department、週に1回しか受験日がありません。
chemが水曜でbiophy(stat)が木曜です。


留年コースに片足突っ込んでしまうパターンとして一番多いのは”Biostatを学期中落としちゃってFinal 受ければいいと思って受けたものの難易度上がってるのでなかなか受からずCチャンスまで行ってなんとか受かるも気付けば3週間過ぎていた…×Chemistry(もしくはBiophysics)をギリギリ終わらずもBiophysics(Chemistry)終わらずExam Course(後述)突入”というパターンです。


Biostat落としてもMedical ChemistryとBiophysicsが受かっていたら2年生になれるので、絶対にstatを引きずられないでください。優先順位!
Biophysicsとbiostatは同じ日に試験があるのですがどちらかしか受けられないのが結構ネックです((+_+))


7週間もあるとか余裕やんけ~!と思うですが、各教科テストは週一しか実施されないので万が一Cチャンスまで行くと毎週受けてても最低でも3週間消費してしまう、AチャンスはともかくB・Cチャンスは受けるのにかなり慎重になるので毎週ポンポンとは受けられなかったりだとか、かなりの心理・精神戦になってくるのでその辺が実際体験してみないとわからなかったこわいところだなと思いました。

試験期間は試験(勉強をする)期間ではなく試験(を受ける)期間です。

学期中からコツコツ勉強は不可欠です。といってもどれだけ勉強しててもしんどいのが試験期間なのですが……


Exam Courseとは?(読み飛ばし可)


取り損ねた単位がある場合、来年を待たずとも次のセメスターの最後のExam termに試験だけ受けられるコースもあります(基本1年の一部の科目しかない)。学期初めに教科としてregister必須&Exam courseであっても1Registerは消費されるので注意!
メリット:教科をリピートせずに済む(上手くいけば留年せずに済む)、授業を受けずにテストのみ受けられる
デメリット:テスト日程が決まっていて普段の試験期間のようには選べない(自分のタイミングで受験できない)、他の教科に確実に支障が出る(人より1科目多くなる)、1register消費してしまう、実際に成功例が少ない
と一長一短です。1学期の科目だと、BiophysicsとMedical ChemistryをExam Courseするのは重すぎる上に成功例ほぼゼロなので絶対にやめておいた方がいいと思います…


まとめ

BMC(予備コース)の延長みたいなものとか聞いていましたが、BMCのなかでもかなりきついと言われている短期集中予備コース(ShortBMC)経験者ながら1年生はその8倍くらいきつかったです。ハンガリー国内の他大学医学部は1学期からAnatomyなど医学部らしい授業があるようですが、こちらの1学期は所謂”般教”のような科目ばかりです。Anatomy(解剖学)のような口頭試験を入学してすぐ受けるのはかなりきついと思うので、筆記試験の割合の高いこういう学期が先にあったのは個人的には良かったなと思いました。医学的なことはあまり学ばない学期ではあるのですが、難易度が低いわけでは決してないです。私は浪人してた時より勉強してました……(今から考えればもっと要領良く変な力抜いてやる方法もあったのになぁとは思います)

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BiophysicsとMed Chem終わった後の写真。2科目分の教科書・資料です。🙄

大学のHPに載ってる公式の各教科コース概要・案内書(通称Bulletin)はこちらです。1年1学期の分は130p目〜をご覧ください。→http://www.edu.unideb.hu/tartalom/downloads/bulletin_18_19/English_Program_Bulletin_Faculty_of_Medicine_final_09_10_2018.pdf 

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