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PUNPEEの曲から考えた、パラレルワールド/マルチバースの暮らし方について

ハーイどうも! デビルスコーピオンです!


もう発売から日が経ってしまいましたが、7月にリリースされたラッパー・PUNPEE(パンピー)の新曲EP「The Sofakingdom」を聴いているうちに、なんか、自分の人生の捉え方がちょっと変容する体験をしたので、日記として残そうかと思い、ひさびさのnote投稿です。


●PUNPEEは「パラレルワールド/マルチバースの住人」になった


えーと、まずはPUNPEEってラッパー/プロデューサーがいまして。めっさカッコいい曲つくったりラップしたりしているメガネで73分けのアンちゃんが居まして。元AKBの秋元才加氏との結婚なども話題になりましたのでご存知の方もいるかもしれません。

このP氏、音楽だけでなくアメコミや映画に造詣が深く、毎回色んなモチーフや情報が曲ふんだんにYouTubeとかでは元ネタ解析班が居るくらいの練りこまれてるんです。で、その練り込みの一つの特徴として、「曲の中に別の時空からの目線が組み込まれている」事が挙げられまして。


2017年に出た『MODERN TIMES』は2057年に爺さんになったPUNPEEが2017年を振り返るって体のアルバムだったり、同アルバム内曲「タイムマシーンにのって」のではその2057年のPUNPEEが1982年や2001年にタイムスリップしたりするアニメーション作品になってたり。
STUTSとの共作「夜をつかいはたして」では2036年のおっさんになったPUNPEEの一夜の話がMVになっていたし、新EP発売に先駆け7月頭に公開された「夢追人ft.KREVA」のMVでは、特殊メイクで2037年の太った父親に自身の姿を披露しました。


時間だけでなく、「宇宙へ行く」って曲だったり、小型隕石で地球滅亡のカウントダウンになる時どうする? って時のラブソング「Operation:Doomsday Love」や、人類滅亡後に1人生き残ったPの黙示録「Last Man Standing(I am Tanaka?)」(田中面舞踏会サウンドトラック「LIFE LOVES THE DISTANCE」収録)などなど……。


「別の世界にいる自分」の状況や気持ちをラップしている曲がわりと多く。

で、これってP氏が、アーティストとしての自分自身に、アメコミで用いられる「マルチバース」とか「パラレルワールド」の手法が取り入れてるんだな〜〜って、今更ながら気付きまして。


「マルチバース/パラレルワールド」が何かについては、ざっくりと、
「この世界とは異なる"もしも/If"の世界がたくさんあるよ!」って事だと思って頂いて構いません。
映画『スパイダーバース』のあらすじとかを読んでもらえると早いんですが……。

MARVELとかDCのコミックス・映画の世界で、同じスーパーヒーローが何度も違う主人公、違う時代や時間軸、設定で、異なる作者によって物語が紡がれ直されているように、
PUNPEEも、アーティストとしての自分自身に「マルチバース」の手法を取り込む事で、どの時間軸の世界に行っても自分の意識を持った、色んなシチュエーションの曲が作れるようになっているやんけ〜〜っていうことに、
今作のロングインタビューを拝見してようやく理解しました。

https://www.houyhnhnm.jp/feature/360866/
PUNPEEが語る “コロナ禍におけるクリエイティビティ” とは。


●パラレルワールドは「煉獄」か?



一方でWebロングインタビューでP氏は、別の世界への逃避についても語っていまして。

ー 2曲目の「GIZMO(Future Foundation)」ですが、これは『グレムリン』に登場するギズモですか?
PUNPEE:そうです。あの曲はちょっと自分でもまだ整理できてなくて。VRの世界に逃げたいと思って逃避するんだけど、結局ここも一緒じゃねぇか、ってことは現実世界もVRみたいなもんか、みたいな話。どこに行っても同じなら変わるしかないのかなっていうことを歌ってるんだけど。
ー 仮想現実とかどこか違う世界への逃避願望も、やはり現在の状況下ならではのテーマだと思います。
PUNPEE:エンターテイメントの世界に現実逃避したいなっていうのは昔からあるんだけど、結局どこに行っても現実世界からは逃げられないし、仮想現実のひとつじゃない。だからそれとどうやって向き合っていこうかなっていうのが全体を通してちょっとあるかもしれないですね。そこに関してはいまだにすごい迷ってますけど。

って話。これが、妙に頭から離れなくて。

先述の曲「宇宙へ行く」でも

宇宙に行く 君を連れ去って地球のことはどうでもいいのさ

と逃避する歌詞に始まって束の間の享楽に耽っているんだけど、

宇宙でも結局戦争なっちゃうじゃん

と展開する歌詞が表しているように、結局逃げても逃げても逃げた先に問題が起こり続ける事に言及しています。

それはどのパラレルワールドにあっても逃れられない重力のようなものだと思うんです。だけれど、逃げた先でも同じようなことが繰り返し続いていくのならば、それって終わることのない煉獄みたいなものだし、「あきらめて向き合うしか無い」って絶望はある種、文化やカルチャーの敗北ではないのか? って思いが離れなかったんですが、

ここでふと、私デビルスコーピオン。足元にある、自分自身の人生に目を向けたら、これがま〜〜笑っちゃうほど逃げっぱなしじゃんかよ! ということに気づきまして!(以下、自分の話が続きます)


●私の話。別の世界はムダじゃなかったよ


(私の話な……誰も興味ないだろうから、ざっくり読んでネ♥︎)
自分は、3月生まれで体が小さくて小学校から中学卒業までいじめられてたし、死ぬほど辛かったボーイスカウト辞めさせてもらえなかったり、建築系の大学への違和感が拭えず2留して、外で始めた音楽活動は、お世話になってたクラブが爆裂四散してなんとなく散り散りに。数年前に心身をガッツリ病んだし、細々続けたいとしがみついてるDJも、このコロナ禍で今や、そのしがみつく指を一本一本はがされてるような状態で。

これまでの人生の居場所にずっと違和感を抱えた結果、流れ流れ辿りついたこの現状は、生活全てを賭せる熱量や覚悟、金、時間をどこからも捻出できなくなっちゃったような状況で、
今はただ、6月に生まれた子どもの世話で手一杯の日を繰り返しながら、悪あがきとして「あつまれ どうぶつの森」に逃避したりこのテキストを書いたりしている訳です。

思えばずいぶん遠いへき地の、まるでパラレルワールドみたいな場所に来てしまったなとも思うわけです。

逃避しすぎて、森では黒ギャルになってます。


でも、自分が何にもなれず、四六時中みじめな暮らしをしていて、ウワーッ! 生活! 無理! 助けて〜ッ! と過ごしているかというと、意外にも、そんな事はないじゃん。と気づきまして。

クラブに行ってたから今の仕事も嫁もいるわけだし、心を壊したりあつ森を始めたからこそできた親交も数多く。そこでは仕事で覚えたメールの連絡のやり取りが活きてたりするし。子守唄として、DJで知った色んな良い曲をかけたり歌ったりできる。

時々バズる自分のnote「ceroのライブの曲順をグラフ化する」記事も、
理工系の学校出た上でceroめちゃ好きだったから作れたと思うし。

人生がまるで裏返るように変わってしまった! ウワー! って体験をしているという事は、以前までの記憶や経験をずっと引き連れて、次の世界に進んでいることの確かな保証でもあるんだと。

裏を返せば、これまでに居た世界の経験を少しでも使ってさえいれば、現在の自分は、常に強くてニューゲームしている連続体でもあるなと思ったんです。


●無限に拡散するパラレルワールドを、束ねていくこと


あの時もし、ああしていればという可能性は、生きている限り無数に枝分かれし続けていくし、その全てに想いを馳せることはできない。
今の自分よりも良い暮らしなんていくらでもあるようにも思えるし、選ばなかった選択について心細くなり続けるけれど。

でも、だからこそ、永久に発散・拡散し続けるその可能性達はどこかで自分と繋がっていて、星座のように自分を見守ってくれているのだと。
他の世界ではできなかった行動を、この世界線の自分が引き受けて行動していくこと。が、今の自分にできるベターな選択じゃないかって思ったんです。

具体的に自分のパターンにあてはめると、今の自分の「独身のまま音楽やってる自分」や「大学で習った事を活かして建築系の仕事をしている自分」には、なりたくてもなれなかったけど、
学校や音楽の知識を今の生活に活かすことで、これまでの経験は無駄にならないし、別の世界をより身近に感じながら暮らす事はできる。

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めちゃめちゃバカな図だけど……
赤線・青線部の経験をできるだけ今の黒線の生活に持ち込みたい! 的な


映画『スパイダーバース』は、主人公がベンおじさんから教わったムーブで最後の敵を倒すという胸熱シーンがあるけれど、そこに更に、別の時空の奴らから教わった技とかアイテムを駆使して戦う展開があったら、もっと胸熱じゃない? みたいな話っす。
伝わってる? 伝わりますかね。


●それぞれの場所に立って明滅を続ける


で、更に話を飛躍させてしまうんですが、この「別の世界」って、自分だけに限った話じゃないなって思います。
PUNPEEに限らず様々な楽曲や映画・小説だったり、これまでに接して来た方々との交流も、すべて「パラレルワールドの体験」と捉えて、自分の生活に持ち込むことが出きるんじゃないか? とか思うんです。

「別の世界」の一部を自分の時間軸に持ち込むことで、きっと今までよりも、ちょっとだけでも上手く、いま直面している問題と向き合えるようになるではないかと。


宇宙でも戦争が起こったとき、地球での戦争の体験を活かして、今度こそ平和を締結できるかも。こっちの世界が滅亡前夜になった時、アーじゃあせめて好きな人と過ごそう! って気持ちにすぐ切り替えられるかもしれない。

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図示すると、
これまでの自分(赤線)&接して来た人々(青線)
&文化・カルチャー(水色)のすべてから、
自分の生活に水を引けるような……気持ち!

憧れているミュージシャンとかライター、漫画家、映画監督、ゲーム実況者etcetc...の方々とかの活動を追ったり、彼ら彼女らの成果を自分も目にできることが、何よりも自分にとって救いになっているし、
「無職で時間あるから朝ドラ3回見て楽しんでる」とかめっちゃ良いな、うらやましいと思いながら、自分も職を失ったらそういう風に楽しもうとか思って、友人に救われる部分もあり。

PUNPEEは今回のEPで

こういうときに音楽つくっても意味ねえのかな

って歌詞で自問してますけど、いやいや、(P氏に限らず)あなた(達)が残している作品や、繰り返している活動や生活だけでも、私にとっては非常に救いになっていますよ。っていう。

私にとって今いろんな「別の世界」の生活が星のように明滅していて、その観測できうる限りのすべてが私に紐づいている という(思い上がった)状況が、今この状況ではとても心強いです。

そして願わくば、「どこに逃げても、前の経験を活かしたり、色んな楽しいもの探してなんとなくやっていけていま〜っす」という私の人生が、誰かにとっての救いになってくれたら嬉しい。とも思います。

●まとめ


はい。いかがでしたか。PUNPEEが投げかけたクエスチョンを勝手に打ち返す東京キモ仕草(Tokyo KIMO Motion)……。最終的に話がデカくなりすぎて「欲しすぎて、"星"になったわ……潜影蛇手!」みたくなりましたけれども。

ああ〜っ俺、PUNPEEになれんかったァー! って嘆くよりも、
自分はいつでもPUNPEEの曲を再生できて、その度にその加護を受ける事ができるって思える方が精神衛生上で楽かなっていう、そんくらいの記事です。

ん 違うか? ヒドい目に遭って逃げた先でもヒドい目に遭うかもしれないけど、次はちょっとだけ上手くやれるよ みたいな記事か? わからんけど〜〜


たったインタビューの一文二文から何文字の記事書くんや……って感じですが、P氏の曲はそんな感じでいくらでも話が膨らむんで、なんか話したいことあったらガシガシとTwitterでもウザ絡みしておくれよ。
今コロナ禍で私もそういうじゃれ合いしたいし。

ま、そんな感じでよろしく〜!
今回も5000文字超えたわ! あーあ。



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