Valheimが売れまくった理由を考える
発売1週間足らずで100万本売り上げたと思ったら次の週には200万本売れていた。
既に300万本も見えてるらしい。
と思ったら記事を書いてる途中で300万本達成してました。めでたい。
それがValheim。1ギガで創られた僕たちのヴァルハラ。
AAAタイトルのように広告を出していたわけでもないこのインディーズゲームはSteamでのアーリーアクセス開始直後からレビューや口コミで絶賛の嵐。
多言語のローカライズにも対応していることも後押しし、火が付いたように世界中に広まっていった。
なんでこんな売れたのか。本作にドハマりしている自分なりに考えてみた。
一番のポイントは、
『面白さ』に出会うために、何時間もwikiを眺めて勉強したり単調な作業を繰り返す必要が無いってところだと思う。
裸一貫でぶん投げられてはいスタート、っていうのは他ゲーと同じだけど、チュートリアルを担うアドバイスカラスのHuginちゃんが
「お前の目的は世界中のボスたちをぶっ倒すことで最初のボスはここにいる。今のままじゃ勝てないからしっかり準備しなさい」
と、ヴァルヘイムに着いたばかりのプレイヤーに説明してくれる。
で、「石と木を拾って斧を作ってごらん」というヒントを元に石斧を作って、それで木をぶっ叩いてみる。バキバキ倒れていくと思ったら他の木にぶつかってダメージを与え、倒木が連鎖していく…。
…楽しい。楽しすぎる。
プレイ開始わずか5分。もうすでに面白い。
その後も「夜は寒いから屋根のあるとこで火に当たろう」とか、出来ることのヒント=小目標を状況に合わせて少しずつ出してくれる。
そんな調子で少しプレイを続けると、
新たなアイテムを入手する→クラフトレシピがアンロックされる
という流れを理解できるので、『世界に散らばるボスを探し出して倒す』という主目標と、『新しい素材を手に入れるために世界を開拓していく』というゲームの導線に自然と入り込めるようになっている。
これにより「とりあえず、何したらいいんだ…?」となることが無いし、スキルが足りなくてイカダを作れず一生島から出られないというATLASめいた"詰み"もない。
こういうサバイバルゲームって序盤がとにかくシビアで、すぐ死んで全ロスからの素材集めっていうループに陥りがちだけど、Valheimはご飯食べなくても死なないし、水分取ったり眠るのが必須でもない。
この辺のサバイバル要素はカジュアルに抑えられてるからシステムに追い立てられることが無く、心理的開放感が段違い。
建築に必要な素材量も(他ゲーに比べると)マイルド。おまけに壁や作業台をぶっ壊しても使った素材が丸ごと返ってくる親切設計。
ロスを気にせず楽しめるからこだわりたくなるし、その結果夢中になれる。
「木こりしてたら圧死した」
「森の奥から見るからにヤバい奴が近づいてきた」
「洞窟で不思議なものを発見した」
「焚き火を置いたら小屋の中に煙が充満して一酸化中毒で死んだ」
「海のど真ん中でなんか凄いモノと出逢った」
少しプレイしただけでも誰かに話したくなるような出来事がたくさん起こる。
マイクラやテラリアに没頭して時間が溶けた時のような…。
オブリビオンで下水道を抜けた瞬間の感動のような…。
手探りで積み上げる自分だけの冒険。そこで得られる驚き、興奮。
自分がなぜゲームが好きなのかを思い出させてくれるような、そんなインパクトのあるプレイ体験が肯定的なレビューとなって積み上がり、それが『なんか面白いゲームがあるらしい!』という噂が瞬く間に世界を駆け巡ったのだと思う。
Valheimには『ティラノサウルスを手懐けて乗りこなすことが出来る』みたいな明確な売りがあるわけではない。
わりとよくあるゲームの特徴を持ちつつもオンリーワンの要素もある、そんなサバイバルモノ。
それでも、
・シンプルな操作性
・ユーザーライクで奥深い建築
・ランダム生成されたオープンワールド
・換気の必要性を落とし込んだ煙システム
・潮の満ち引きもシミュレートされているリアルな海
・ソウルライクなスタミナ管理
・ダイナミックなボスバトル
・美しいライティング
・昼夜のサイクル
・農業
・野生動物のテイム
・帆船の操舵
等々を絶妙なバランスでまとめ、ARKの200分の1の容量に収めたのは見事としか言いようがない。
アーリーアクセスにもかかわらず致命的なバグはほぼ無く、わずか2000円でこれほどの体験ができるというのも高評価に繋がっていると思う。
『サバイバル系ゲームの面白さとは何か』というのを改めて考えさせてくれたValheim。わずか5人の開発チームに、惜しみない賞賛を。
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