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【感想】「デスボイス専門のボイストレーニングレッスン」を受講して

お疲れ様です、珍しく一か月で二回目の投稿です。

本日は以下を受講してきました。

Twitterでも、こちらの厄介絡みをきっかけに時折交流のあった茶太さんのレッスンを受けてきました。

備忘録も兼ねて、レビューもどきとさせていただきます。


0.謝罪

ひとまず、初手謝罪になります。

主に、10年近く前にレッスンを受講してくださってた皆々様向けとなりますが、いわお個人はデモンストレーションとして外れ値にいた可能性が高そうです。

音声模倣自体は概ね出来がちだったと自負していますが、そこからのゴールが万人へ示せるものでは無かったかなと思われます。

今もまだ追っている人がどれだけいるかは定かではありませんが、謹んでお詫び申し上げます。
こういった不定期の情報発信に繋がっているという所で、これらを継続することで誠意は緩やかにでも示していければという所存です。

1.動機

そこそこ指導者をして、今ではリハビリをしていて、何故いまさらになって他者のレッスンを受講したか、という所ですね。

月初に行ったこちらがきっかけとなります、案の定ですが。

セミナーにて、フライスクリームが呼気にて実現可能だということがエビデンスをもってしてハッキリ分かりまして、そこから少し考えを進めていました。

今となっては、「歌が上手くなる」というよりも「実験出来る時に被験者になれる」を目標に音声関連は見つめていますが、やっぱりフライスクリームはよくわからないし出来ている感じがしなかったわけです。

そんなわけで、知っている範囲のデスボイス/シャウト/スクリームのレッスンを行っているトレーナーを検討して、実際に受講が可能であることと一定の信頼が置けると発信から判断した方…というのが茶太さんだったわけですね。

目的としては、
・仮声帯の分離の指導、デモンストレーション
・フライスクリームという音声パターンの弁別能を高める

って辺りでした。

「これが純粋なフライかな?」はあったんですけどね、吸気を元に。
ただ、フォールスコードで全てをゴリ押してた人間だったので、他所へ基準を求めた感じです、その方が楽なので。

2.注意書き

追記してて、少し気になったことが言語化できそうだったので…

まず、いわおのスタンスとしては「発声原理のエビデンス構築をしたい」になります。
バックグラウンドして、微量のボイストレーニングの知識と、大いに含まれる医学的知識があります。

他方、今回お世話になった茶太さんはボイストレーナーです、それは当たり前なんですが。
発声原理…の解明もですが、それは手段としてであって本質は「どうすれば目の前の人が音声実現を出来るか」になっているかと推察します。

このスタンスの違いは小さいようで大きくて、それが文章に滲み出ているなと書き終えて感じています。

また、「指導」ということに関して自身も携わっていたり、別の形で続けている事柄になっています。
それ故に、着眼点が指導力の評価に寄っているように読み取れる部分があるように思えます。
これはこちらの驕りに他ならないので、矮小な人間が書いているのだなと流してもらえれば幸いです。

ボイストレーニングにあたって、指導にあたって原理の究明は重要な事となりますが、指導者が研究者となることは必須で無いと考えます。

音声って様々な要因が関与するわけですね。
もちろん、それは運動が第一に挙がるでしょうが、心身のヘルスケアでしたり、環境でしたり、成育歴も関係したりするでしょうし、文化的な背景もあったり…手を付けて然るべき範囲は多岐に渡るかなと思います。

音楽は相当に高次な活動と考えます。
上記の全てに精通出来たら理想でしょうが、まぁ現代ではそれは叶わないでしょうと思います。
それは、それぞれが深く追求されているが故でもありますし、ボイストレーナーは指導を生業とするわけで、研究で飯を食えるわけでは無いからですね。
知人のトレーナーの方々も、ビジネス的な側面でしたり金勘定絡みでも大いに頭を悩ませていることチラ見しています。
あの仕事を、仕事とするにはあまりにも色んなものに追われるわけですな。

そんな中での、いわおは(分かりやすさを優先し不適切な言い方をしますが)研究に身を投じ気味な人で、茶太さんはボイストレーナーなわけです。
こちらは一点に尖っているが故に見えて・知っていることがあるとは言えます。
その一点に関することを、関連する他領域と統合された見解として情報を共有し、指導をしていただいた、という所です。

スタンスの違い守備範囲の広さと深さの違いですね、この点はご了承いただいた上でお目通しいただければ幸いです。

3.レッスン内容

レビューという側面を大事にしてですが…

本日の内容としましては
①レッスンの動機・目標の確認
②口頭での音声提示・感覚論ベースでのデモと模倣
③音声パターンのデモ依頼
④音声を提示して評価依頼
⑤考察共有タイム

のような感じでした。

それぞれ、それとなく感想を添えていきます。

①レッスンの動機・目標の確認

ここは先述の通りですね。
レッスンの流れを確認しつつ、質問を明確に投げた方が進みますかねという感じで再確認しただけです。

後々の所でも、疑問があれば適宜お聞きしていました。

②口頭での教示・感覚論ベースでのデモと模倣

今回は、
・こちらにフライスリームの音声デモを提示してもらうこと
・音声パターンがどうなっているか分析してもらうこと
・自主トレーニング手段の提案をしてもらうこと

の3点が主軸とはなっていました。

茶太さんのフライスクリーム自体は、静音下なら聞こえるくらいの音量…というと極端ですね。
国道脇の歩道で実践されたら少し聞こえにくいかも、くらいの音量感でした、伝わるのかこれは?

ごもっともな所ではありちんどり先生も仰っていましたが、現代の技術…マイクをもってすれば原音は大音量である必要性は低いです。
むしろ声量を求めれば求めるだけ呼気による声帯へのダメージが想定され得るため、より燃費の良い発声が歌唱シーンでは求められることが多いことでしょう。
様々な発信源で言われていることでしょうが、デスボイスは存外小さい音量で、ラウドネス…であってますかね、聴覚印象上のうるささは別で認知されているが故のイメージってところでしょうか。

呼気は声帯で止まるような感覚で、ブレイクポイントによる声帯振動のブレを利用する手法と、声帯で完全に閉鎖を作って息を細く押し通すイメージ(吸気と同じ)を用いる手法の2種類を提示されました。

どちらも分かりやすくはある手法かと思います。
理には適っていると思うので…ですが、あれですね、かなりこってりクリーントーンが混ざっている人には前者は怪しいかな、くらいですかね。
後者も、あんまり強く呼気によるアタックが出来ない人は怪しいかも、ですかね。

その辺りは実際にトレーナーに聞いてもらわんとわからんものでしょうから、自己判断で向き/不向きはわからんですわな。

上記の手法を元に実施はしてみましたが、仮声帯がやや干渉しているかな、という評価でした、当方のフライスクリームは。
自己評価と大きくずれは無かったかなぁという所です。

フライスクリームの習得としては、それらで得られた音声パターンを反復し、ピッチライクカラーの幅を広げる…という所ですね。
自分もやっていたような手法なので、納得感はありますし良い手法じゃないかと思えてます。

③音声パターンのデモ依頼

ここで疑問となってくる色々がありまして、茶太さんはピッチライクカラーと発声手法の結び付きをベースに考えていまして…
要はミドル~ハイはフライロー~ミドルはフォールスコードに収束する、というような枠組みで考えてっらっしゃいました、違ったらごめんなさい。

他方、こちらは全ピッチライクカラーともフライでもフォールスコードでも実現し得る、と考えているわけです。

そこで、フライの音色でミドル→ハイ及びハイ→ミドル、続けてクリーントーンで準じたピッチの移動をデモでお願いしました。
結果として、ミドル→ハイの移動はどちらでもバランスが崩壊するタイミングが確認されました。
これはやはりという感じですが、クリーントーンで音声実現・移動が困難なものではノイズトーンでも同様であろうかな、という所かなぁと。

フライのローピッチを、吸気で実現出来るのを呼気で実現できないか、というのも気になっていた所でして、やっぱりクリーントーンから鍛えないと駄目じゃないかって感じでした。

また、フライとフォールスコードの切り替えもお願いしましたが、外から聞いている感じはあまり差異を感じなかったです。
後者で少し仮声帯のノイズが乗っているかなという感じで、音色としての差異は僅かかな…という所です。

主観的に言えば「どちらもフライで良いかな」という音色でしたね。
分類上はフォールスコードスクリームになっていると言えるのかなとも思いますが、茶太さんの場合は呼気を燃費良く使う…あまり圧力を過度に高め過ぎていない印象を受けるようなこともあってか、上喉頭腔の粘膜組織によるノイズが弱く、結果的に音色の差異が少ないことに繋がっているかなと。

気になる人がいるかなと思う点としては、音声自体はYoutube等々の機械を挟んだものと大きく差異は無かったです。
なので、音源を聞いて良しと思えるのであれば、対面等で肩透かしを喰らうことは無いため安心安全と思います。

④音声を提示して評価依頼

色々デモを聞いて、逆にこちらの音声はどう判断されるのか気になって分析をお願いしました。

ササっと述べれば
・ロー:出音が大きく、声が残っている、芯の強めな発声
・ミドル:      〃
・ハイ:    〃    、フライにも聞こえる
・もっとハイ:何が起こっているかよくわからない

という感じでした。

声量が大きく(金物が唸る程度)、マイク乗りも良さそうで且つ芯があるという感じのようでした。

茶太さんとしては、先述の通りピッチライクカラーで発声手法を分類・使い分けしていることもあり、ハイピッチよりな音声を何度か提示しました。
出音を小さくしたり、ミドル→ハイなどの動きでノイズが仮声帯の分厚い感じにエラーする所から、フォールスコードで出来ているのにフライの音色で不思議そうでした。

歌う分には何も困らないでしょうというようなことを仰っていただきましたが、それはそれとしてやはり純粋なフライスクリームは被験者が出来るためにも取り込んでおきたい気もしつつ…まぁ良いのかなにもなりつつ…
何を目指すかにもよりそうだな、と思いました。

⑤考察共有タイム

茶太さんのnoteなどでも書かれていたりですが、先天的な個体の在り方や発声癖のような所でフライ及びフォールスコードの適正があるのではなかろうか、という考え方をされていました。

こちらのフォールスコードの在り方について、甲状軟骨が鋭角か鈍角か…正確な個体差や学名は手元に色々無いので割愛しちゃいますが、そういった部分で優位か否かがあるのではないか、と捉えてらっしゃいました。
また、天然ミックス(もはや死語では)かと問われまして、習慣的な発声への依存具合と言いますか、その辺りも関係性を見出してらっしゃいました。

前者に関しては、あるとも言えそうだし切り離しても考えられそうだなという所です。
組織等の大きさなども個体差はあるでしょうが、基本的な動きの再現性は概ねあると思うわけです、ちょっとST的な目線ですが。
声帯-仮声帯-喉頭蓋の三層弁は誤嚥防止として誰しも機能するであろうという所と、それらの大きな組織の破格は無かろうという所ですね。

その上で、どちらかというとまだ後者の習慣的な発声への依存度の方が高かろうと思うわけですね。
要は運動の癖という方が、ハードウェアよりも個人差が大きく生じやすいのでは無かろうか、という所です。
ここをどうにかするのか、そういうものとして近道の音声を手繰り寄せるのか、立場によって諸説ありそうですな。
個人的には、今出来上がってるバランスから近道で良いのでは派です。
ただ、それでは歌手としての寿命を度外視し兼ねない可能性も出るので、どういった個人・個体に手を加えようとするか/しているかなのかなぁとも。

ちなみに、いわおは天然でなくゴリゴリ後天性のミックスもどきです、混ざってはいますか。
メロスピが高すぎて歌えなかったのでデスボイスを始めた人種なのでね。

4.得られたこと

当初の目的であった2つは得られはした、という感じです。

フライの弁別能も…上がったというより確認が出来た、ですね。
これをやるかはまぁ怠惰なので何とも言えないです。
ただ、自分の外側に基準を求めに行くことは大切なことだなと思います。

茶太さん曰く、ミックストーンが上手い人の方が…声帯靭帯を固く使う傾向がある人の方がフライスクリームは適性があるだろう、とのことでした。
そこから、いわお自体はフライに有利な喉の偏りでは無いかとのことでした。

理屈はわかりますし、事実出来ている部分もありますが、やはりこれも突っ込まれた通り案の上ですが仮声帯の過干渉が課題という話ですね。

あくまで個人的な感想として、ですが…
知っていることの確認が出来た側面が多かったなぁ、という感じでした。
それは悪いことというより、むしろやりたいことの一部ではあったので良かったなと思っています。
ここに関しては、いわお自身が受講者としては厄介な枠組みの人間なので止む無しです。
知識や考察の整理のために、相応に話してもらえる人がいることは有用であって、良い機会を得られたなと思います。

後は声量が大きい部類ということが分かったのは収穫だったかなと。
指導する側の時って自分がものさしになっていてで、こっちに寄せる作業気味だったので…
指導を受ける側になって、他者と比較されての位置が見えたのは、考えていたようで盲点な事実確認が出来ました。

上記が出来るのもレッスンを受けるメリットですね、大事と思います。
人に基準を預けることの怖さはあるかもしれませんが、信用に足ると思えたなら随分楽をさせて貰えることではあります。

5.終わり

相変わらずの尻すぼみですが、そんな感じでございました。

昔の少し発信を頑張っていた時期には目を通されていたのは恥ずかしさと申し訳なさがありますが、巡り巡ってこういった機会の獲得をさせていただけたことの有難さと、この機会を生む要因に過去の行動がなれていたのかな等と。

興味がある方は是非受講されてみてはいかがでしょうか。
デスボイスの指導という点で、しっかり海外のトレンドも追われていましたし、感覚論でも語りつつ体系的な知識としようともされている印象でした。
情報に対して真摯で、声に実直に向き合おうとしている方と個人的には思います。


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