見出し画像

#私を構成する5つのマンガ

以前Twitterで流行っていた時に考えたけど、noteのお題に上がっていたので、何が今の自分に連なっているのかを文章化してみることにしました。

①カードキャプターさくら/CLAMP

【マンガの発売を楽しみに待つ原体験】

今のところ私の人生において最初で最後の、第1話から最終話までリアルタイムで雑誌連載で追いかけたマンガ。

初めて自分のおこづかいで定期的に購読したマンガ雑誌が『なかよし』だった。90年代の『なかよし』は小学生にとってはまだ手の届かない10代半ばの女の子がヒロインで、大人っぽい世界観のマンガが多かった。当時の看板作『美少女戦士セーラームーン』も最終的にうさぎちゃんたちは高校生になっていて、大学生のまもちゃんとの恋愛は本当に大人の世界の話に思えていた。

そこで始まったのが『カードキャプターさくら』だった。主人公のさくらちゃんは小学4年生で、とても身近に感じられる、頑張り屋さんのヒロインだった。さくらちゃんに憧れて誕生日プレゼントにローラーブレードを買ってもらったくらい(足首を捻挫して早々に飽きた)。
細かく丁寧に描きこまれた綺麗な絵や、毎回変わるコスチュームの可愛さに目を惹かれ、現実と地続きの世界に存在する魔法の物語に心を動かされて、毎月3日に『なかよし』が出るのが待ち遠しかった。3日が土日の月は前倒しで出るのが嬉しかった。

このマンガの本質的な部分や深さを知ったのは、大人になってから単行本を一気読みしたり、度々開催される原画展などに行ったりしてからのように感じる。当時はただ毎回の話を追いかけるので精いっぱいでそれだけでワクワクしていた。

けれどこの時からずっと、さくらちゃんの「絶対だいじょうぶだよ」は私にとっても大切な呪文。

②ぴたテン/コゲどんぼ

【「美少女萌え」を体得するきっかけ】

2000年代前半、『デ・ジ・キャラット』のキャラクターデザインをしたひとがマンガも連載していると、当時の友人に教えられて読み始めた。
連載している媒体は青年誌だったが、コゲどんぼ(現在の表記はこげどんぼ*)さんの描かれるキャラは男の子も女の子もかわいらしく、特に女の子は目が大きくて、着ている私服やヘアアレンジが回によってころころ変わるのもオシャレで、それまで親しんできた少女マンガとの差はほとんど感じなかった。
だから登場人物たちに見られる、特徴的な語尾、ネコミミ(に限りなく近い髪形)、天使や悪魔、幼女といった内外の特徴が、当時一般的に広まり始めていたオタク用語でいうところの「萌え」の要素であり、作品自体も男性向け萌えマンガのカテゴリに含まれることは、随分後になってから知った。そういえば初期は思いっきりパンチラしてたりもした。
つまり私は知らずのうちに萌えキャラに触れ、それらが可愛いと思える感覚もいつの間にか会得していたのだった。

ストーリー面では「伏線回収」の面白さを知ったのも『ぴたテン』からだった。
キャラクター性のひとつでしかないと思っていたヒロイン美紗さんの「~っス」という語尾にも理由があると判明した瞬間、改めて1巻を読んだ。

③鋼の錬金術師/荒川弘

【「大風呂敷が畳まれる」快楽を知る】

2003年秋から放送されていたアニメにどっぷりハマり、アニメの放送中に全巻買いした。全巻といっても当時は確か6巻くらいまでしか出ていなくて、そこからは新刊が発売されるたびにリアルタイムで買っていた。作品と出会った当時、主人公のエドワードと同年代だった自分は、最終巻が出る頃に大学生になっていて、言わば青春の一番近くにあったマンガだった。

ダークファンタジーの金字塔と言われるだけあって、世界観は基本的に暗くて重い。ギャグやコミカルな描写はたくさんあったけど、爽やかさとは程遠い。だからこそリアル厨二病の精神に突き刺さって夢中にさせられた。

このマンガには無駄なものが一切存在していない。
登場人物、舞台設定、作品世界内の歴史、台詞など、どんなに些細だったり出番が少なかったりするものでも、必ずその後の展開への布石になっている。その意図が次のエピソードですぐ分かるものもあれば、単行本にして何巻も前に遡って初めて気付くものもあるゆえ、新刊を買うといつも最初から読み直し、その都度新しい発見をして目が覚めたような気分になっていた。
どんどん話の規模が大きくなって、登場人物が増えるのと比例して思惑の絡まりあいも複雑になっていったけど、クライマックスでその全ての伏線を回収して大団円を迎えたのは本当にすごかった。物語自体にも風呂敷を畳むということにも感動した。

余談だが、思えばL'Arc~en~Cielに興味を持ったのも『READY STEADY GO』がアニメ版のオープニング曲に使われていたからだった。その点でも私の人生のターニングポイントであり、今なお支えてくれているマンガだ。

④同級生/中村明日美子

【何度でも戻りたくなるボーイズラブ萌えへの目覚め】

このマンガと出会った時点で、既に自分は「腐女子」だった。しかし「そういう文化」があると知ったきっかけも、そこへの理解を深めていったのも二次創作がほとんどで、所謂ボーイズラブマンガを読んだのはこれが最初だった。

その衝撃は、今も鮮明に覚えている。

学校で友人から貸してもらって、帰りの電車の中で読み始めたのだけど、
草壁のライブを佐条が見に行く話での、夜の吉祥寺の公園で二人が抱き合って佐条の背中の地肌を草壁がなぞるシーンを読んだとき、
声にならない声が出た。
電車の中にも関わらず。それがどこの駅間を走っている時かも思い出せる。

美しい、かわいい、エロい、眩しい、すごい。その場面を形容するに相応しい単語をたくさん思い浮かべたけど、そのどれでも表現しきれなかった。
なるほど、この言葉にできない興奮がボーイズラブに萌えるということかと、脳に稲妻が落ちた。

それから他のボーイズラブマンガも読むようになり、好きな作品や作家さんともたくさん巡り会った。けれどこのマンガは周期的に読み返して(友人に返した後自分でも買った)、あの時感じた萌えとときめきを摂取したくなる。
あとシリーズ続刊の卒業生 -春-の最終話の、二人がとある場所で肌を重ねる場面(ネタバレ回避表現)は、全ボーイズラブマンガのそういうシーンの中で一番エロいと思っている。

⑤推しが武道館いってくれたら死ぬ/平田アウリ

【今一番なりたいオタク像】

『推し武道』を推す気持ちは以前に個別記事を書いたので、詳細はそちらで。

女性アイドルは今の自分を構成している大きな一要素であり、地下アイドルのオタクであることがアイデンティティのひとつなので、やはりこのマンガは外せなかった。

このマンガで描かれているオタクたちは、気持ち悪かろうとお金がなかろうとガチ恋だろうと、みんな推しへの善意で溢れている。推しへの愛よりも自己顕示欲が前に出ちゃってるせいでつまんないコールとかするオタクも、最善管理組合も描かれていない。
特に主人公のえりぴよは、少なくとも舞菜にとっては、圧倒的に善のオタクである。強すぎるせいで他のオタクが付かないという点以外は。
えりぴよは言葉でも行動でも金銭でも、舞菜への愛を示し続けている。それでいて自分の気持ちを押し付けるようなことはしないし、絶対舞菜のことを否定しない。

私はえりぴよ達と違って単推しではないから、一途さに関してはまたスタンスが違うけれど、推しに迷惑をかけずに、応援したい気持ちや好きの気持ちを意志表示をまっすぐに推しに対して届ける姿勢は素晴らしく、見習うべきものだと思っている。
最新刊で取りざたされているように「正しいオタク」が何かは分からないけれど、推しにとっての「善いオタク」ではありたい。
このマンガのオタク達の姿が、今の私の指針になっている。

こんなマンガや他にもたくさんのマンガを読んで、今の私は出来上がりました。
さくらちゃんみたいになりたかったかつての少女は、
可愛い女の子たちに萌え、
伏線回収の面白さを知り、
ボーイズラブにときめいて、
岡山県在住の赤ジャージの女オタを憧れにするオタクになりましたとさ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?