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蜃気楼 (短歌)

ゆるやかに遅れることの正しさよ 日にやけた壁紙の花として。

部屋に射す光の中で浮遊する 塵のやわらかなうねりとして。

濁りつつ始終途切れる折線 川面に浮かぶ木片として。

現れては消えるそれもいちどきに てのひらのかたち残像として。

水平線 コンビナート群を臨む 原チャリに乗るいち僧侶として。

辛うじて今日をつないで 靴底にありつづける米粒として。

風に舞う膨大な素描の裸婦として、ツユクサの青、シロツメの白、

仮死蘇生未熟児でうまれた後付けの時計に倣う、炭素循環


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