ファイナンス機械学習 Bars 情報ドリブンバー Tick imbalance Bar

 一定の閾値を使ってサンプリングする標準バーとは違い、情報が市場に到達したことを知らせる指標を使い、動的なサンプリングが可能にするのが情報ドリブンバーである。
 これを使うことによって、均衡を崩したシグナルをいち早く広い、価格が新しい均衡に至る前に、意思決定を行うことができる。

Tick imbalance Bar

 tick bar、$${t}$$の価格と出来高の系列を$${\{(p_t,v_t)\},t=1,\dots T}$$とする。
 この価格を使い、以下のティックルールを適用して、$${b_t}$$の系列を作る。
$${\displaystyle{b_t =\begin{cases}b_{t-1} & (\Delta p_t = 0)\\ \frac{|\Delta p_t|}{\Delta p_t}& (\Delta p_t \neq 0)\end{cases}}}$$
$${b_t}$$は、価格の下降、不動、上昇に応じて、$${-1,0,1}$$のどれかの値を取る。
 tick imbalance barとは、市場の価格の値動きは、ある情報を持ち、その情報から価格が上昇方向(下降方向)に動くと信じるトレーダーが増えれば増えるほど、価格は上昇(下降)するとの考えを仮定している。十分な数のトレーダーに、価格が上昇(下降)すると信じさせる情報が到達した時、市場はそれまでの均衡から外れて(imbalanceが発生)、新たな均衡へ導かれるのである。
 tick imbalance barは、このtickの不均衡、すなわち$${b_t}$$の累積値が均衡の期待値を超えた時にサンプリングを行う。
 不均衡が起きた時のインデックスを$${T^{\ast}_s,s=1 \dots S}$$とし、不均衡から次の不均衡までの期間、
$${T^{\ast}_{s} < T < T^{\ast}_{s+1}}$$でのtick imbalanceを次のように定義する。
$${\theta_T=\displaystyle{\sum^{T}_{t=T^{\ast}_{s}} b_t}}$$

bar開始時点における$${\theta_{T}}$$の期待値$${E_0[\theta_T]}$$は、以下のように与えられる。
$${E_0[\theta_T]=E_0[T](P[b_t=1]-P[b_t=-1])}$$
$${E_0[T]}$$は期間中の取引数(tick数)の期待値で、$${P[b_t=1]}$$を買いtickの無条件確率、$${P[b_t=-1]}$$を売りtickの無条件確率である。
$${P[b_t=1]+P[b_t=-1]=1}$$
から、
$${E_0[\theta_T]=E_0[T](2P[b_t=1]-1)}$$となる。
ここで、$${E_0[T]}$$は前のバーまでの取引数のEWMA(指数移動加重平均)であり、$${2P[b_t=1]-1}$$は前のバーまでの$${b_t}$$のEWMAで与えられる。

 $${T^{\ast}}$$は、$${b_k}$$累積和が、このバー開始で計算された取引数の期待値$${E_0[T]}$$と不均衡指標である$${|2P[b_t=1]-1|}$$の積を超えた時であり、新しい均衡が始まったシグナルで、
$${T^{\ast}=argmin_T\{|\theta_T| \ge E_0[T]|2P[b_t=1]-1|\}}$$
と与えられる。


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