IELTSリーディング(ヘディング問題編)

IELTSリーディングセクションのヘディング問題がどうしてもできないという悩みを持つ人から相談があった。ヘディング(heading)とは英語で「(記事などの)見出し」という意味で、各パラグラフに適切な見出しを選ぶ問題である。相談者の方はパラグラフの概要を掴むのが苦手で、どうしても正しいヘディングが選べないという。

実を言うと、このIELTSのヘディング問題において、概要を掴む必要がある問題はほとんどない。確かにパラグラフ全体を読み概要を掴んでパッと正答を選べればそれに越したことはないのかもしれないが、パラグラフと選択肢をスキャニング(キーワードを探しながらさっと読む)するだけでも答えが得られる。

このことについて、公式問題集18(IELTS ACADEMIC 18)のTEST 3、Reading Passage 2を例に取って説明したい。このパラグラフAの中の"early cars inherited steam's weaknesses along with its strengths"(初期の自動車は蒸気の弱点も強みも受け継いだ)という部分は選択肢iiiの"good and bad aspects of steam technology are passed on"をそのまま言い換えたものである。inherited(受け継ぐ)はpassed on(引き継がれた)、weaknesses along with its strengths(弱みと強み)はgood and bad aspects(良い点と悪い点)、のように多少表現を変えているだけだ。こうした類義語、類似表現の箇所をパッと探せれば、一瞬で答えを選択できる。概要を掴むことができなくても正解できてしまうのである。

言い換え表現が一文にまとまっておらず、パラグラフの中で散り散りに存在する場合もある。例えば、同Reading Passage 2の パラグラフCの正答は選択肢viの"positive publicity at last for quiet, clean, fast vehicle"だが、これはいくつかの文の要約である。だからといって文の概要を掴む必要があるというわけではなく、quietはsilence、fastはswiftlyなど、いくつかの文に分かれた言い換え部分がよく読めばちゃんと見つかる。また、positive publicity(好意的なパブリシティ)は"'… remarkable acceleration' by Automobile magazine"(Automobile誌から「驚くべき加速」という評価を得た)の言い換えだとわかる。remarkableは普通ポジティブな意味でしか使用されない。なお、cleanの言い換え部分もちゃんとあるが、説明すると長くなるので省略。

現代文の試験問題などにおける「各段落に合うタイトルを選択しなさい」といった問題は、全体の概要が掴めないと答えられないが、IELTSのヘディング問題は違う。IELTSは全世界で最も受験されている英語テストの一つであり、誰がどの角度から読んでもツッコまれないように、解答の確固たる客観的根拠(多くは言い換え表現)が問題文中に用意されている。その根拠を探すことができれば、問題は解ける。雰囲気で解答を選んではいけない。文中に100%存在している根拠の部分を探すのである。ただし、その根拠を探すためには単語力がいる。IELTSリーディングに関していえば、やはり最も重要なのは単語力ではないかと思う。

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