思い込みは良い方向にだけ

最後に記事を書いたのは4月後半のようで、気づけばそれから一月近くが経とうとしている。このようなとき、「やはり自分にはブログなんて向いていないんだ」などと思う必要はなく、何事もなかったように再開するのがよい。そもそも「ブログに向いている人」というのも自身が作り上げた虚像であり、ブログに向き不向きがあるというのも勝手な思い込みである。

人間は思い込みに左右されて一生を過ごす。一つの好例が「理系・文系」という考え方である。学校教育において、どちらかといえば国語や社会が得意、あるいは苦手だからと言って人間を二つのタイプに分けるというのは恐ろしく極端な考え方ではないだろうか。数学で悪い点を取っただけで「自分は文系なんだ。コンピュータは向いていない」と思い込んだり、逆に現代文の読解問題で間違えが多いからといって「自分は人の気持ちを汲み取るのが苦手だ。きっと理系なんだろう」などといい、進学先や職業を決めるというのは、思い込みが人生に影響を及ぼす最たる例だ。苦手だと思っていたら実際には、単に先生の教え方が自分に合っていなかっただけということもあろう。また、学校教育自体が自分に合っておらず、独学で学べば得意になっていた分野もあるかもしれない。

英語の教員なので、「英語ができていいですね。私も若い頃にもっと英語を勉強しておけばよかった」という言葉をよく聞く。「歳を取ったら英語は身につかない」というのもよくある思い込みの一つである。あるいは、「身につけにくくなる」というのはある程度真実なのかもしれないが、ちょっと覚えが悪いからといって「ああ、やっぱり年齢的に難しいんだ」などと結論づけたがる人は多い。年齢のせいだから仕方ないと思うことで、英語ができない自分を慰めようとしているのかもしれない。

人間は精神面の自己防衛システムが驚くほど強い生き物である。そして怖いのは、その自己防衛システムを正当化する方向に脳が変わっていくことである。つまり、「文系だから数学はできなくてよい」「年齢的に英語は身につかない」と思い込むと、実際に脳はその通りになっていく傾向がある(註:著者は医学の専門家でも何でもなく、あくまでも科学的根拠を持たない個人の意見です)。あなたの脳は数学や英語を拒否するように進化していき、簡単にはそれらの知識を受け付けなくなる。勉強の話だけではない。「最近、もの忘れが多くなったな。歳のせいかな」などと思い込むと、「歳を取ったんだから記憶力が落ちるのは仕方ない」と脳が思い込み、出来事を記憶に留める努力を怠るようになり、実際に記憶力が低下していくような気がしてならない。

ネガティブな思い込みはやめた方がよい。基本的な姿勢は「やればできる」というポジティブな思い込みだ。脳もその自己暗示に合わせて変化(進化)していくはずである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?