Story出会い系嬢の憂鬱。〜孤独〜

雪に降られながらやっと家まで帰り着くと、急いで玄関の鍵を開け灯りをつけ、エアコンのスイッチを入れる。
部屋の暗さと寒さが心と体に突き刺さる。私はいつまでこんなことを続けなきゃいけないんだろう。
ただ単に、楽しいねって言えるひとが欲しいだけなのに。

いつもする自炊も、今日はする気になれない。とりあえず胃に何か入れようとコンビニで適当なものを見繕って、焦点の合わない視線を虚空に投げながら機械的に買ってきたものを口に運ぶ。
ふたりで外食を楽しみにしてたのに、またダメだった。予約の要るレストランに行きたいわけじゃない。焼鳥だったり居酒屋だったり、ラーメンファミレスでもよかったのに、それすらも叶わなかった。
何がいけなかったのか、毎回開くひとり反省会もいい加減飽きてきた。飲めない缶チューハイを無理に飲む。

誰かと話したいな…
若い頃流行ってたツーショットダイヤル、面白かったよね…いいひとに当たれば一時間くらい話できてた。今じゃ存在自体あるのかな?てくらい、出会い系サイトが当たり前になってしまった。
サイトもいいけれど、直接話せて声が聞こえるのってわりと貴重だったんだなって思う。今の若い子は、そんな楽しみ方知らないんだよね。今ツーショットダイヤルがあればな…
肌じゃなくて、声のぬくもりが欲しい。
誰でもいい、時間を気にせず話がしたい。
電話なら顔が見えないから。

涙で滲むマスカラの痕をつけたまま、結以はいつしか寝落ちてしまった。

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