「雨月物語」女の情念は亡霊となることで成就する
見終えた後に思ったのは、女の物語、しかも女の情念の物語だな、ということ。
ネットで検索してみると、なるほど、溝口健司は虐げられた女性を描く映画監督らしい。封建社会や男性の犠牲になり、それでも献身的に男に尽くす女、もしくはそのような逆境から立ち上がる女を描き続けてきた監督だそうだ。一方、男は無力で、時に卑怯な姿で描かれる、と。たしかに。
女の情念だけではない、あらゆる人間の根源的な欲望のオンパレードのような映画だった。男たちの金や出世への執着。侍たちの餓鬼のような飢え