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「雨月物語」女の情念は亡霊となることで成就する

 見終えた後に思ったのは、女の物語、しかも女の情念の物語だな、ということ。  ネットで検索してみると、なるほど、溝口健司は虐げられた女性を描く映画監督らしい。封建社会や男性の犠牲になり、それでも献身的に男に尽くす女、もしくはそのような逆境から立ち上がる女を描き続けてきた監督だそうだ。一方、男は無力で、時に卑怯な姿で描かれる、と。たしかに。  女の情念だけではない、あらゆる人間の根源的な欲望のオンパレードのような映画だった。男たちの金や出世への執着。侍たちの餓鬼のような飢え

    • 「サウンド・オブ・ミュージック」:死に挟まれた物語と人生の余韻

       初めて覚えた英語の歌は「エーデルワイス」だった。  父に片仮名で歌詞をかいてもらった紙を何度も読み返しながら覚えた気がする。9歳か10歳くらいだった。なぜ「エーデルワイス」だったのかは分からない。父が好きだったのだろうか?そう考えると、私は父のことをよく知らない。  先日、ふと頭の中を「エーデルワイス」が流れたのでSpotifyで聴いてみたところ、男性が歌っているので驚いた。そう、私は「エーデルワイス」が映画「サウンド・オブ・ミュージック」の歌であることも知らなかったの

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