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COLOR CROW -黄靱之翼-

期待を裏切らない舞台、それがカラクロ…!
今回も劇場で観劇できました。ネタバレありの感想です。

たった2週間前に『S.Q.S EP10』を観て、致命傷(褒め言葉)を負っていたのですが…。気持ちを切り替える間もなくカラクロ観劇日になってしまいました。観る側ですらこの忙しさ、役者様はもっと大変ですよね…。(なんせSQS出演していた方が居るわけですし…スケジュール怒濤過ぎて脱帽です。)
カラクロシリーズ、「推し役者様(日向野さん、阿部さん)が出演される…!」と見始めたのがきっかけですが、気付けば作品そのものにハマってすっかり自ジャンル、前作からそこに最推し俳優様(千葉さん)が加わり、更に今作もまた推し俳優様(瀬戸さん)が参戦ということで、観劇の重要要素に「役者」が含まれる私にはあまりにも楽しすぎる舞台。(その他、お名前をあげればキリがないほど、好きな役者様がそろっています。)

そんなカラクロ、今作もまた期待を裏切らず、さいっこうに楽しいエンターテイメントでした!
正直、あらすじが解禁された時から面白かった…。カラクロシリーズはあらすじの情報量がいつもめちゃくちゃ多くて「あらすじとは…?」って宇宙猫顔してしまうくらい文字数が多いんです。人間関係や陣営も複雑だし。堅苦しい単語と難しい地名、人名に「ちょっと待って…わっかんねぇ!!」って爆笑しつつあらすじを3回読むところからカラクロは始まります。(あくまで私の場合です。)結構複雑だから、物語についていけるのか…?と不安になったところで、大丈夫です。そこがカラクロのすごいところ。ちゃんと「観ていればわかる」し、観客を飽きさせない…!
そんな感じで、前置きだけで語れるカラクロ、今回はスペゼロ(しかもセンターブロック2列目という神席!)での観劇でした。舞台(板)がちょうど目線の高さなので、スモークが目の前へ這い寄ってくるんです。映像も圧巻だし、奥行きも幅もあるから、まあ、映える。こうなるともう、演劇作品の枠を飛び出してアトラクションに近い。温禰古丹島での海賊・ブラッドミゼリーの登場シーンなんて、某夢の国の海賊アトラクションを思い出してしまいました。特にこのシーンは歌とダンスのおかげで、今までのカラクロシリーズを通してもかなり異質。海賊の粗暴さと結束感、そこに宗教的な雰囲気さえ加わって、個人的にお気に入りのシーンです。
更に、このシリーズは殺陣が見所の1つでもありますが…、もう、圧倒されすぎて言葉が出てきません…!他作品とは一線を画すぐらい、キャスト様たちの殺陣スキルが高い。スピードやキレがあるのは当たり前、大胆かつ軸がブレなくて、迫力がある。そして美しいんです。キャラクターごとにちゃんと個性がある。それがすごい…!
音響的に関しても、他の作品に比べて殺陣時のSEが重い気がします。(なんとなく、ですが…。)スペゼロは広いから大人数での殺陣が可能で、そうなると舞台と客席の近さも相まって、振動で座席が揺れる…。贅沢な体験過ぎやしませんかね?こんな体験、そうそうできるものではないと思うんです。ありがたや…!

さて、何処を切り取っても面白いカラクロですが、その神髄…各バディについて感想を残しておこうと思います。

・煉と杏莉
ぶつかっては絆を深め合ってを繰り返し、とうとうここまで来たこの2人。2人の仲はシリーズを重ねるごとに縮まって、もう「バディ」という言葉に納めて良いのかわからないレベル。可愛い尊い。杏莉をからかってすぐに調子に乗っちゃう煉と、そんな煉に反撃している時が一番生き生きしている杏莉くん。「バディは変わりうる」と聞いていたけれど、ここがベストコンビ過ぎてちょっと他の方と組んでいるところは想像つかないですね…。(とはいえ、聖護と煉の兄貴コンビも好きだし、三月と杏莉がわちゃわちゃしているのも大好きです。)お互いに大事な物を失ってきたからこそ、「手放したくない」という気持ちが伝わってくる。一作目のギスギスした感じは解消され、コミュニケーションの一環として痴話喧嘩しているのが可愛い。
「バディが殉職したら、遺された者が遺体を連れ帰る」となんとも胸の痛いルールに縛られて生きる2人。このルールに言及するシーンではお互いどんな気持ちだったのだろう…と考えると、込み上げる物があります。
杏莉を心から大切に想い、彼のピンチには絶対駆けつけてくれる煉は本当に格好良かった。誤解を恐れずに言うならばスパダリです。最後の最後、杏莉を想って聞き分けのいい振りをするのも最高でした…。男泣きが格好良すぎる煉。これからも続いていく煉と杏莉の未来を、楽しみにしています。

・聖護と三月
ここも最高のバディですよね…!前作はひたすら聖護さんが苦しくて、三月くんがそんな聖護さんを献身的に支えていた印象があるのですが、絶望と苦難を乗り越えた2人、無敵の安定感がありました。こちらもバディよりカップルって言った方がしっくりくるかもしれない。(何の他意もございません。)それぐらい、「相方以外はあり得ない!」というのが滲んでいました。日常でも、戦闘でも、お互いが命を預けているのがわかる。
前述したとおり、前作で本当にしんどい思いをした2人です。三月は「転生」の事情を知っていて、その上で聖護の幸せのために弟を連れ帰ろうとしたようだし。(改めて考えても健気すぎる。)だから、三月の「残された方の記憶も消して貰わないと不公平!」発言が苦しかった。湿っぽくならないように茶化しているけれど、感情に言葉を与えて輪郭を持たせてしまうことの意味を、賢い三月は知っていると思うんです。…しんどい。
ですが、聖護さんもブレないんですよねぇ…。弟からあれだけの呪いをかけられて(※『黑韻之翼』感想参照)、それでもまっすぐに生きる聖護さん、完全光属性です。「この人なら絶対に間違わない」という安心感がすごすぎる。
聖護の覚悟が三月にも伝わっているのか、また、前作を経て三月自身も成長しているのか、どちらにしても、今作の三月は随分とリラックスした雰囲気です。のびのびとしていて自由で、…可愛い。(推しです。)『蒼霧』の彼が別人に見えるくらい、シリーズを重ねるごとにどんどん角が取れて、ゆとりが出てくる三月くん。(完璧に推しです…!)
しかも今回の三月くん、ハーフアップなんです…!!ハーフアップはあかんて…。ちょっと、今作の三月は脳がバグりそうなくらいビジュがいい。ただでさえ、阿部さんの持つ中性的な魅力に普段から骨抜きにされている人間です。どうしよう、可愛いし美しいし格好いいし、兎にも角にもビジュがいい。(語彙力)
そして可愛いと言えば、三月の八神さんへの懐き方!なんだあれ、手をぶんぶん振って「優斗!!」って叫ぶの、ちょっと可愛すぎやしませんかね。八神さんも八神さんで優しい顔で頷いちゃうし。前作を経ての関係値の変化、たまらんかった…!
と、色々脱線しつつ、聖護と三月のバディを今後も追えることにひたすら感謝しております。好き!!

・八神と凪沙
最推し千葉さんが演じてくださっている八神さんに、ついにバディ登場!しかも大好きな瀬戸さんが演じてくれるとのこと、役者推しで観劇する身としては本当に嬉しかったです。八神さんと凪沙さんのバディ、役者様同士が仲良しさんなので、そんな点でも期待値大でした。
ですが…公式SNSでのキャラクター紹介、まさかの凪沙さん、めちゃくちゃ一匹狼タイプ。八神くんも単独行動得意マンのイメージあるから、「この2人、バディになれるのか…!?」と不安になりました。で、杞憂でした。最初から最後まで、ちゃんとバディでした…!
仕事上の関係で、同じ目的のために任務を遂行する2人組。目的を共有していて、必要以上に踏み込まないドライな関係。でも、命を預けるだけの信頼関係がある…。これをバディと言わず何をバディというのか…。格好いい2人組です。
特に八神は前作の冷たい印象から一変、随分と穏やかな青年に見えました。(凪沙マジックの可能性は否定できませんが。)前作で三月と一緒に行動して、気が付いたことがあるんだろうな…。八神さんはクロウメンバーではないものの、ちゃんと成長が描かれていて良かったです。
そして八神さん、あの凪沙さんの理解者です。(凪沙、冷徹さの癖が強い。笑)高圧的な態度の凪沙は煉と対立するわけですが…八神さんが凪沙のことをちゃんと庇っているの、最高に「バディ」らしくて良かった。
凪沙自身も、そんな八神さんやクロウたちに触発されるように変わっていきます。彼が「無事に戻れたら…友人になれるか?」って聞いてきたの、今までひたすら格好いい担当だった凪沙さんが急に可愛く見えちゃって駄目でした…この人、絶対沼が深い。絶対深い…!
それに対して「もう友だと思っているが」って返した八神さんも100点満点なんですよね…!前作での八神さんの台詞、「誰にだって一人ぐらい信じられるものが居るだろう?」に対して、もしかして、もしかしたりします…!?と勘ぐってしまったのは私だけではないと思います。
凪沙さんが最後「優斗」って名前で呼んでいたのももう、心臓掴まれたかと思った…あんなの反則でしょ。
描かれない部分を自由に想像して補完する楽しさが演劇や文学の醍醐味だけど、この二人、深追いしたら大変なことになりそうです。2人で核実験場に乗り込んで、ちゃんと計画阻止してきちゃうし。エリート過ぎて惚れます。絶対にまたこのコンビに会いたい…!でもやっぱり脳内補完じゃ足りない強欲オタクなので、スピンオフください。上演するときは是非3部作でお願いします。

・大福コンビ
前作でやっと収まるところに収まった(?)この二人。コンビというか、もはや夫婦漫才です。ドルチェはカラクロの代名詞的存在ですが、今作も最高にクールでしたね!カラクロシリーズにおいて一番ブッ飛んでいて一番キマッている大迫様と、そんな彼を信奉する自称イケメン参謀(事実)福丸様。もう存在が尊い。特に今作は、前作を経て固い絆で結ばれた二人を観られるのでまじで幸せでした。
特筆すべきは福丸様の戦闘シーン。武器はまさかの虫取り網。ただの虫取り網があんな凶器になること、未だかつてあっただろうか…いや、ない。(反語)福丸様、動きがキレッキレなのでマジでこのシーン格好良くて震えました…。虫かごと虫取り網で、ビジュアルは絶対に奇天烈なのにね。
そして今回の福丸劇場、ターゲットはまさかの福丸様ご本人。『トムラウシ』でも思いましたが、杉江さんの、何処でスイッチが入るかわからないキレ方が大好きなんですよ…マジで怖くて震えてしまう。今回そんな福丸様が拷問を受ける側だったんですが、やられ役でもなお、やっぱり福丸様は福丸様でした…!格好良いし色っぽい。今回も紫の照明が良い仕事をしていました笑。
そして、そんな福丸様のピンチに絶対駆けつけるスーパーダーリン、大迫様。そうなんです、やっぱり大福コンビはこうでなくては…!!と、心の中でスタンディングオベーション。やっぱり大福コンビ、永遠なれ…!と思ってしまう。

・舞龍さん
さて…。誰ともバディになれず、というよりは最愛のバディである弟を失った舞龍さん、彼は今回もしんどかったですね…。何のために戦っているのか、信念を折られた人間は脆い。微かな糸だけで繋がっている状態の操り人形、糸が切れた先に待っているのは絶望しかなくて、考えれば考えるだけ八方塞がりなキャラクターです。本当に苦しい。
そんな舞龍さんですが、後半は絶叫シーンが何度も登場して、今までの冷酷でクールなイメージが大きく崩れることになりました。追い込まれて、後がなくなっていく。希望は弟だけ…。正直、悪役ではありますが救われて欲しいキャラクターです。劇中の台詞、「誰もが幸せになれる結末」の「誰も」の中に、彼の存在もあれば良いなぁ。
そんな舞龍さんを演じるのは大好きな役者様の一人、五十嵐さん。彼の芝居に鳥肌が立ちました。「演じる」とはいえ、板の上でキャラクターの人生を追体験するのが演劇…となると、役に入ってるときに役者様が抱える感情は紛れもなく本物。本当に苦しいシーンが多いので、どうかご自愛していただきたい…!と強く思いました。役者様って本当にすごい。幸せに長生きして欲しい…。

まとまらない文章を長々と書いてしまいましたが、正直、書き足りません!!笑。本当に楽しかった!
シリーズを通して観てきて思うことは、「カラクロ、やっぱりエンタメ色強くて好きだなぁ」と言うことですね。欲しい言葉や展開が、ちゃんと欲しいタイミングで来るのがカラクロの好きなところ。観劇して、小さい頃に遊園地で観たヒーローショーを思い出しました。物語が始まった瞬間に広がる、日常の延長線上にある非日常。目一杯わくわくドキドキ、ハラハラして、お約束の胸熱展開にガッツポーズして、観劇後に充足感に浸る…。
そして、カンパニーの雰囲気が非常に良いのもこの作品の素晴らしい点だと思います。役者様同士の共演回数が多かったり、付き合いが長かったり、プライベートでも仲良しだったり…要因は色々あると思いますが、やはりそういう空気って伝わりますよね。絆や友情がテーマなら尚更、大事なファクターだと思います。そういった作品外の要素も絡んで成り立つ「演劇」、やっぱり面白い。これだから観劇を止められません。

観劇の回数を重ねるたびに感想が長くなる『COLOR CROW』シリーズ、新しい仲間も加わってますます目が離せなくなりました。早くまた、みんなに会いたいです。カラクロ最高!

余談:ちょうど1年前の2/11、昼は『滄海天記』で千葉さんに、夜は『トムラウシ』で日向野さんに会いに行っていました。1年後、大好きな作品で共演しているお二人にお会いできたの、幸せです。

『COLOR CROW -黄靱之翼-』(大迫&福丸OP)
2024.2.11(日)昼
こくみん共済coopホール スペース・ゼロ

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