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​​ふたつの波紋の感想



​伊藤比呂美氏と町田康氏の対談である、本作の感想を記したい
​​この本は、熊本の名書店「橙書店」で購入した
​​詩人で早稲田大学で授業をされたりもしている伊藤さんと、小説家でバンドもされている町田氏のお二人が種田三頭火や翻訳について話されている
​​内容はハッとさせられる事や、考えさせられる事があり興味深かった
​​一番素晴らしいと思ったのは、お二人の思想がとても異なっていた事である
​​重なる部分ももちろんあるのだが詩における面白みを感じる点や、私自身を言葉で表すことにおいての考え方の相違があった
​​町田氏のへそ曲がりな部分により素直に言われた事に返答しないという部分も関与してはいるのだが、その事により譲らないバチバチのやり取りがある
​​思いやり、相手の事を尊重し同意する事が重要であるとされる現代で、お二人は同意出来る部分は同意しつつ、同意出来ない部分は徹底的に話している
​​帯には「二つの個性は響き合い、反射し、今この時だけの模様を描く」とあるが、そんな綺麗なものではなく、どろどろしたケンカに近い
​​熟年夫婦の離婚はこういったところから起きそうだとさえ思う
​​このどろどろ感と帯との対比の滑稽さと確かな愛に、橙書店の田尻さんは興味を抱かれてこの本を販売していたのではないかと予想する
​​多数の作品を書き上げてきたお互いにプライドと意地がある故、ある程度の尊重を持ったけなしとも捉えられかねない言葉でヒートアップしながら対談は繰り広げられる
​​それにより、ページの中で燃えるような文学への情熱を感じる
​​本気であり、コミュニケーションに不器用さがあり、知識がある故に起きるグルーヴは「家元ショーダダダダッ談志ダ!」に通ずるグルーヴがあり私は大好きだ
​​何歳で性別がどうであれ、人は考えた上でものや言葉を出す時に色がでる
​​その色をもって、お互いの想いを想いのままに話して起きるグルーヴが起ているようなものを貪りついていきたい所存である
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