孤独⑥
疲れた。
色んな事に本当に疲れた。
疲れも感じなくなりたい。
悲しみも感じなくなりたい。
もう泣いている毎日は嫌だ。
でも、 次の何かに向かう原動力なんてない。
そんなエネルギーはないけれど、この悲しみやこのどん底にまっすぐ付き合う力ももう私にはない。
何かないかな。
何かに向かいたい。
何か全然別のこと。
キャベツの千切りとか無心になれるもの。
でも千切りは、キャベツが終わったら終わっちゃう。
そうじゃなくて、いつのまにかこんな時間!
もう寝なきゃ!みたいになれるもの。
彼のことも、余計なことも、悲しさも、何も感じる暇もないぐらい何かで埋め尽くされたい。
どうしたらいいかな。
体をすごく動かしたら、疲れてぐっすり眠れるかな。
泳ごうかな。
なぜかそう思った私は、スイミングスクールに行ってみた。
プールで泳ぐなんていったい何年ぶりなんだろう。
小学校の頃スイミングスクールに通ってたけど、本気で泳いでたのはあの時くらいだ。
プールに入ってみた。
懐かしい水の感触と消毒のにおい。
潜ってみた。
ボーーーッと音がする。
静寂の音。
息を止めていることが幸せだ。
ボーーッていう水の音しかしない。
もしくは誰かのバシャバシャする音。
ただただ水の音を感じて、体を動かせばいい。
息をすることに一生懸命になるから、他の事に気を取られない。
泳ぐことが私を救ってくれるかもしれない。