祈りの風景

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祈りとは何だろう
人は何に対してどんな思いを込めて祈るのだろう

そもそも、本質的な祈りとは何かを願ったり崇めたりすることではなく
人が根源的に持っている反射的で無垢な反応なのではないのか

仮に祈りが人間という種が身につけた根源的な反応なのだとしたら
それはいったい何に対する反応なのだろうか

3.11の震災とそれに続く原発事故を経験した後
祈りとは何かという疑問が頭からずっと離れなかった

黒い津波が無慈悲に人とその生活を飲み込んでいく光景
そして原発の事故とそれによる汚染が
刻一刻広がっていくことを告げるモニタリングポストの数値を見つめながら
思わず手を合わせた自分がいた

どうして自分は手を合わせて祈る仕草をしたのか
いったい自分は何に対して何を求めたのか
それが自分でもまったくわからなかった

自分の祈りの仕草はまったく意外であり
しかしあの瞬間の反応は他にはありえなかった

そのことに戸惑いながら
祈りとは何かという疑問が心の奥底から湧き上がってきたのだった

そんなことを考え続けたある日

自分が出会ってきた様々な祈りの風景が蘇ってきた


目次

はじめに --3.11を契機として-- - 4

第1章 荒ぶる神への祈り --玉置神社、熊野三山-- - 8
玉置山のゲニウス・ロキ
共鳴する祝詞

第2章 巫女の祈り --談山神社-- - 20
観音菩薩の導き
巫女舞

第3章 滝行の世界 -–御嶽・清滝、熊野・那智の滝-- - 33
心構え
捨身行

第4章 黄泉の国への想い -–花の窟、久高島、神倉神社-- - 42
花の窟
沖縄・久高島
神倉神社・ゴトビキ岩

第5章 巨木信仰と縄文 --石徹白(いとしろ)の大杉-- - 60
樹木の記憶
巨木信仰の意味

第6章 巨石信仰 -–大湯環状列石・黒又山-- - 71
花崗岩について
花崗岩の作用
二項対立の宗教が圧殺したもの
深層意識に降りていく装置


第7章 太陽再生への祈り --戸隠奥社、喜多見不動、生島足島神社-- - 86
冬至・戸隠奥社
太陽の光に浮かび上がる不動明王
冬至・生島足島神社

第8章 海から来るもの  --二見興玉神社、鹿島神宮、大洗磯前神社-- - 99
海への想い
海から来るモノ

第9章 炎に込める想い --若狭神宮寺、平泉中尊寺-- - 116
炎の効能
火祭りの作法

第10章 山岳信仰 --祈りの本質-- - 128
山の神・水分神
修験道
山の神秘体験
自然との合一

あとがき --3.11から1年-- - 141

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