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本当にはじめての人が読むバリュエーション入門①ーイメージを叩き込め!

バリュエーションのイメージを持とう!

今回は1回目ということで、バリュエーションの話をするときに頭に描いてほしいイメージを共有します。株価の高低を決める要素を整理します。次回からの議論は同じイメージを頭に描けないと詰みます。図で理解することがとても重要なので、チャートや図を描けるようなるまで説明を繰り返し読むと効果が高いと思います。

イメージ①:右肩上がりの将来予想

これは利益の推移を予想したものです。

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横軸は年数、縦軸は利益の金額です。左端が今日です。このチャートで言えば右肩上がりに毎年4%ずつ利益が増加している状態を示しています。

投資家はビジネスの中身を精査して、まずこの業績の将来予測をイメージします。まず、この「将来どんどん増えていく利益の図」が大事です。

イメージ②:近くの数字が大事

では、この利益は将来に亘って同じ価値を持っているでしょうか。将来のことは分からないので、遠くの数字にそれほど価値はありません。したがって、図にすると、

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こんな感じです。将来の業績はずーっと増えていきますが、投資家が価値を見出すのは近いほうだけです。遠くにいけばどんどん価値がなくなります。

イメージ③:利益の面積が株価

この「投資家が大事にするバージョンの利益」の面積が株価になります。したがって、成長が速くぐんぐん右上にいくようなケースは、この面積も大きくなります。これは明らかですが、高成長=高株価です。線が上に行けば面積も大きくなるからです。

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業績の線から株価に直すと見栄えがだいぶ減ってしまいました。この価値を減らすことをディスカウントといいます。


イメージ④ブルズアイを狙えーリスクを知る

イメージ②でしれっと面積を小さくしましたが、ここがちょっと雑でした。反省して説明します。これは、ずばり、「あなたが投資家だったら将来の利益にどれくらい価値を与えられるか」ということを考えます。

企業Aはほぼ狙いどおり業績が出てきます。一方でシナリオBは、平均的には同じ線をたどりながらも、めちゃくちゃブレます。

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この場合リスクはA<Bです。この2つのシナリオのどちらを投資家が好むか考えます。共通しているのは平均的な業績の伸びです。一方で違うのはその命中率です。ダーツの的を想像してください。

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・真ん中にあたりやすい⇒毎回毎回の決算予想に合わせてくる⇒リスク低い
・外側に外れやすい⇒決算が上に下にブレる⇒リスク高い

ということです。投資において本質的に重要なのは「未来の業績をどれくらい信用できるか?」ということです。この場合の未来の業績は的です。ブルズアイにバシバシ入れてくる会社は信用できますし価値=株価が高くなります

重要なことは「リスクが高いならリターンが高くなるように値引きしないとダメだ」という当たり前の損得勘定なのです。銀行だって信用できない客には高い金利で貸しますよね?同じことです。

ではリスクの違いでどれくらい株価が変わるか見てみます。

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この面積の差はでかいです。同じ将来見通しを持っていても投資家の楽観度によってかなり株価が変わってくることが分かります。よくある例としては、景気の変動を受ける株のマルチプル(PERとか)が低かったりしませんか?あれは、投資家に将来の利益を信頼してもらえないことから、先に行くにつれて価値がしゅーっとしぼんでいき、株価が足元の利益に対して低くなるからです。

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ということがいえます。要求リターンのところは数字の大小が反対になるので、ややこしいですが、

リスクが高いものはリターンを高くする必要がある
株のリターンの源泉である利益はもう決まってる(予想が固定されてる)
ということは得られるリターンを大きくするには安く買う必要がある
⇒だからその「決まっている利益」をよりいっぱい押しつぶして安く目標株価を計算

という流れです。イメージ図としてはこんな感じ。

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右上から踏みつける感じです。思い通りいかなそうなヤバイ会社ほど、強く踏みつけてください。ぐちゃっとつぶすイメージです。

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逆にリスクが低い信用できる会社は軽く抑えるだけにしましょう。

注意点としてはあくまでこれは将来の話なので、「リスクの評価も将来に向けてのある種の思い込み」であることは忘れないでください。すなわち、外部環境や、企業のコミュニケーション、実際の業績の出方、などによって投資家のリスクに対する見方は変わっていくということです。


株価評価の法則:2軸で考える

株価というのは、新しい情報を反映しながら「成長率とリスクのバランス」によって決まっていくのです。

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「株価」はそのまま「PER」や「PSR」と読み替えても問題ありません。成長が速い、ことに加えて、未来がより明確に見えている(と投資家が信じている)銘柄は評価が高くなるということです。

もう少し詳しいチャートを書いてみます。理論PERの水準が付け加えられています。

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一連の流れを1枚の図にまとめるとこのようになります。ここまで耐えた賢明な読者の方であればもう意味が分かるはずです。3ステップで株価を考ええましょう。

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まとめ

・株価を考える際は、将来の利益の出方をイメージする
・その際、同じ利益成長率だったら同じ評価が付くという思い込みをすて、リスクを常に頭に入れる(リスクが大きかったら面積を押しつぶす!)
・成長率とリスクからPERや配当利回りなどのバリュエーション指標が計算できる(詳細は次回以降)

むかーし、四角形の面積の出し方、習いましたよね。縦×横です。

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みなさんが計算するのはオレンジの変な形の面積です。台形でもないですし三角形でもありません。積分する必要がある!?

これを計算してくれる便利な公式があります。

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これです。これは面積を求める公式なので、難しく考える必要はありません。「成長率が一定」という条件を置くだけで使える最強の公式です。

成長率とリスクという2つのファクターでこんなに世界が広がるし、PERも説明できてしまいます。もちろん、それぞれに深い世界が待っていますが、すべてが一生役に立つし、楽しいアドベンチャーだと思って勉強していきましょう。

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