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会計 もし不正が発覚したら・・・

あなたの知らない不正発覚後の世界
ほとんどの方が、不正発覚後の舞台裏はご存じないと思いますので、不正が発覚するとどんなことになっちゃうのか?どの会社での経験とは申しませんが、過去30年の経理部門の職歴の中での経験・体験・一般論も踏まえ舞台裏を語ります。知っていることを全部書くと 1冊本が書けるくらいネタはありますが、知っていて欲しいこと。聞いてほしいこと。に絞って・・・ ご熟読くださいませ。
ちなみに、プロフィールにも記載していますが、わたくし、CIA(公認内部監査人)とCISA(公認システム監査人)のとして活動・研究していた時期もあります。

■不正ってあるの?
公認会計士協会のレポートによりますと、発表されているだけで、これだけある訳ですが、まぁ氷山の一角ですね。
どうして発覚しているか?はいろいろな調査結果がありますが、イメージ50%は通報いわゆるタレコミです。

 
■発覚の発生要因
先ず、不正はどうして発生するか?3要素があると言われています。不正のトライアングルとか言わており
内部調査報告書を作成する時には、何がいけなかったのかも記載しないといけなくなります。
不正のトライアングルとは:(1)動機・プレッシャー、(2)機会、(3)正当化です。
GPTさんに整理してもらうと以下です
1.動機(Motivation)不正を行う動機や理由が存在すること。
具体例: 会社の業績が悪化しており、ボーナスが出ないかもしれないという恐れから、売上を水増しして経営者に良い数字を見せる動機。
2.機会(Opportunity)不正を行う機会や状況が存在すること
具体例: 会計の管理体制や監査が甘いため、不正な取引を行ってもすぐには発覚しないという状況。
3.正当化(Justification)
 
具体例: 「みんなも同じことをしている」「一時的なことで、後で正すつもりだ」「会社のためにやっている」と自分を正当化する考え方。
このうち、機会については、リスクシナリオに基づくリスク管理の仕組みをきっちり運用することで、抑止効果が
あると思います。エレベータの監視カメラのような。

■会社としての対応開始
不正らしきものを発見したら、不正なのか?誤謬(意図しない間違いなのか?)確認しないといけないですが
確認の仕方にもいろいろアカデミックな理論がありますが、本論とそれるので割愛します。
1人でインタビューしてはいけないとか、証拠を保全するとか・・・いろいろあります。
で、不正だと言うことが分かれば、会社としての被害額を試算することになりますが、例えば当期利益の10%以上の被害額があったりしたら、そーとーなイバラの道が始まる、家にも帰れなくなると思った方がいいです。
監査法人や顧問弁護士にも相談しなければならなくなりますし、開示するのか、しないでいいのか?
どういう開示をしないといけないのか?プレスリリースは必要か?とか・・・みなさんの想像を絶する対応のはじまりになります。もし、不正の起こった場所が海外だったらしばらく現地に行くか?誰かを派兵しなくてはいけなくなります。
弁護士・監査法人も関わる不正になると・・・コミュニケーションが膨大で、電話・メール・会議の回数はそりゃー大変です。毎日・毎日・毎日です。
顧問弁護士も会計も対外的な専門家としての責任がありますから、「味方」ではなく第三者になり
自分には責任が及ばないように、「何をしなくちゃいけないですとか、必要以上の意見を表明します。」
まぁ、いろいろ想像してください。

■監査法人との闘い
さて、ある程度大きな不正だと分かってくると 監査法人にも、言わないといけない訳ですが
監査法人はいつも会計監査で来ている、会計士が対応にあたる?というよりは
不正の対応ばかり、年がら年中している チームあるいは監査法人の関連会社で専門の部隊が入ってきます。
この方々は、日ごろコミュニケーションしている人たちではない かつ 不正を暴くことで評価される方々なので
あれこれあれこれ、張りきって!!指摘をしてきて、うっとうしいことこの上なしです。
あ、ちなみに、何故不正対応をはじめると、家に帰れなくなるかといいますと、3カ月ごとに会社は決算を開示していますが、その時、決算短信や有価証証券報告を開示しなければならないのです、その日にちを目指して
対応・調査を進めないといけないので、会社・自分の家庭の事情でゆっくりやってられないのです。
子供の運動会が?ねんてカンけーなしです。

■不正調査
不正調査が開始されると、いろいろな調査をして、弁護士・監査法人も結果に満足する調査をしないと行けなくなりますが。大変なものをいくつか・・・
1.手口とスキーム 関与している人の特定
フォレンジック調査をしないといけません。先ず、大変なのが メールとPC・サーバーのファイルの調査
メールって、サーバーに保存されていますが、この時に大活躍します。変なことはメールに会社ダメwww。
何をするかといいますと・・・キーワードを決めて、メールを検索して、そのメールを抽出して中身を読みます。
例えば、バレそう、まずい、足りない、やばい・・・とか50も100もキーワードを決めて、専用のソフトに
かけるわけです。まぁ、読むのも大変です。
これをすると、だいたい、誰と誰がこれに関わってんな?とうのが分かるので 次のステップ
2.インタビューをします。
何を聞くか?その周りの人にもヒヤリングしたり・・・2人以上で、録音して・・・とかここも
アカデミックな手法がありますが、大変そうだねーというのをご想像くださいwww
 
 3.全容調査
このあと、被害額の算定などもするのですが、ここで 超絶めんどくさいのが
「件外調査」です。本件以外の拠点や取引では、同じようなことがされていないかを証明しないといけません。
いわいる「悪魔の証明」的な調査でして、弁護士・会計士も納得する調査をしないといけないので
まー大変です。
その上で、全容と原因を結論つけて終わるかというとそうでもなくて
■再発防止策とモニタリング
原因を特定して、その原因に対応した再発防止策を作り仕組化して運用を開始しなければなりません。
 
■クロージング?
ここまでいったら、終わるかというとそうでもなくて、全体を調査報告書にまとめて説明会を開催して
有価証券報告書や会社のHPにどう記載するかとか・・・延々とネガティブな仕事が続きます。
このあと、訴訟など起こると数年は対応が続きますね。ここから先は弁護士事務所との共同作業になりますが
裁判は定期的に口頭弁論とかありますので、超絶大変です。
■まとめ
ということで、だいぶ手短にお話してきましたが、こんなことにならないために、リスクシナリオに基づいたリスク管理・分析が大事ですということを分かって頂きたくて、お話しました。
先にも述べましたが、不正の発覚はタレコミが半分くらいで、監査法人の監査なんかじゃー見つからないんです。
実際の売上が100億円の会社がさらに100億円の架空売上してても、見つかったのは監査法人の監査ではなく、タレコミですよ。どこの会社のことかは・・・2年位前に新聞に出ていましたね。超大手の子会社の話。
いかに 監査法人監査がちょろいか?です ← 言葉が過ぎています。www
 
大事なのは 牽制・抑止活動です!!
 
もし、みなさんの会社でも、不正か?ということがあれば
先ずこの本ご一読ください、もし私、暇な時期でしたら アドバイスくらいはして差し上げます@@
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4502456500/
 

 
 
 
 
 
 
 

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