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妻が、口をきいてくれません 野原広子 なぜ妻は夫を見限るのか

あらすじ

妻はなんで怒っているのだろう……。
妻、娘、息子の4人家族として、ごく平和に暮らしていると思っていた夫。
しかし、ある時から妻との会話がなくなる。
3日、2週間と時は過ぎ……。家事、育児は普通にこなしているし、大喧嘩した覚えもない。
違うのは、必要最低限の言葉以外、妻から話しかけてこないことだけ……。
Webサイト「よみタイ」で、累計3000万PVを超え大反響を呼んだ話題のコミック、描き下ろしを加えて待望の書籍化。

感想など

営業マンの誠が、妻の美咲の声を聞かなくなって3日、2週間そして1年と時間が経って、「何を怒っているの?」と聞いても答えてくれない。
弁当を作って家事はするけど、夫の自分に怒っている理由を言わない。
夫の誠が、妻の美咲の変化に戸惑い妻との関係を修復しようとする「夫、誠の章」で、既に自分と妻が無意識に主従関係にあるように、妻に言えばカレーのスプーンも出てくるしなんでも出てくるし、やってもらうのが当然と思っているある年代男性特有の幼稚さが垣間見ることが出来るので、どのような苛立ちが妻を怒らせたのか怖い予感を高まらせた後での「妻、美咲の章」では想像を超えた夫の誠の問題が明らかになる。
育児には妻の美咲が望むような責任感を持った参加の仕方をしない。
自分は、晩酌した後のビールの缶やつまみの片付けをしないくせに、育児疲れで掃除しそびれてることやわずかな埃を責める。
好き嫌いのある子を優先的に料理を作ると、自分ようの料理を作り分けるよう要求する。
挙げ句の果ては、子供がバスでぐずり途中で降りた苦労を慰めず、子の教育を責める。
育児疲れて悩む妻の美咲の悩みや愚痴を聞かず、誠は自分の話ばかりする。
総じてタイミングが悪いし、妻の状態を見ていない。
総じて妻が頼んだことはやらないくせに、根掘り葉掘りイヤミを言う。
仕事から帰ったら、子供に構われても冷たくあしらう。
「言いたいことを言っても聞かなかったくせに、今更聞く耳持つのかー!」と美咲のやるせなさと怒りと諦めが、やるせない。
子供を通じて妻の美咲の苦しみを知り、一応誠の改心があり、ハッピーエンドのように見える美咲のしたたかな真意は怖いけど、夫の誠の中にある妻の美咲をお母さんのように依存して寄りかかる変わらない幼稚さと古めかしい性差による役割意識はサラリーマン男性の中にあるトキシック・マチズモであり、精神的に責任感ある成熟した大人になることが難しいと孤独な老後を過ごすことになることを思い知らされる戦慄のコミックエッセイ。

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