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T2トレインスポッティング 過去と向き合いそれでも未来を選べ

あらすじ

スコットランド、エディンバラ。
大金を持ち逃げし20年ぶりにオランダ・アムステルダムからこの地に舞い戻ってきたマーク・レントン(ユアン・マクレガー)。
表向きはパブを経営しながら、売春、ゆすりを稼業とするシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)。
家族に愛想を尽かされ、孤独に絶望しているスパッド(ユエン・ブレムナー)。
刑務所に服役中のベグビー(ロバート・カーライル)。
想像通り? モノ分かりの良い大人になれずに荒んだ人生を疾走する彼らの再会、そして彼らが選ぶ未来とは─。
90年代を代表する傑作青春映画として熱狂的に支持される「トレインスポッティング」の20年越しの待望の続編。

感想など

大金を持ち逃げしてオランダ・アムステルダムで結婚して会計の講習を受けて仕事が順調だったけど冠動脈発作で倒れ離婚していつ自分がリストラ候補になるかびくびくしているレントン、親からバーを引き継ぎ裏では恐喝やブルガリア移民の美人ベロニカと組んでポン引き稼業をしているシックボーイ、ドラッグから足を洗えず結婚したゲイルや息子から離れざるを得ず親から見捨てられ絶望の底にいるスパッド、仮釈放の申請を何度も却下されてもレントンへの復讐に燃えて脱獄を企むベグビーたち4人の大人になりきれない荒んだ人生。レントンはシックボーイと表向きはサウナ裏で売春する施設を中小企業事業向け融資を使って開業して一発逆転を狙い、レントンから「お前は依存体質だから、ドラッグの代わりに夢中になれるものを探せ」とアドバイスされたスパッドは今までの人生を小説として書く中で文学の才能に目覚め人生をやり直したいと誓う、ベグビーは脱獄して息子と押し込み強盗しながらレントンへの復讐を企む、彼ら4人の荒んだ人生から脱出しようとする青春群像を交錯して描きながら、シックボーイやスパッドに対してのレントンの贖罪やベグビーとベグビーの息子の親子間の断絶やスパッドの孤独と文学の才能を見つけて伸ばしていく喜びを絡めて丁寧に描いたキャラクター・ドラマは前作以上。
レントンの恋人だったダイアンやスパッドの恋人だったゲイルのしっかり現実に向き合い「人生を選んだ」しっかり女子ぶりが、レントンたち大人になりきれない4人との対比が際立っているのも前作以上。
クラブのトイレで思いがけない再会を果たすレントンとベグビーの一連のシーンは、「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」の「Relax」の明るい曲調と緊迫した状況のギャップがあってハラハラしながら笑えるし、ユアン・マクレガーがご自慢の歌唱力を生かしたシーンも笑えるし、ベロニカにレントンが「人生を選べ」2017年アップデート版のモノローグをまくし立てるシーンは現代社会の皮肉たっぷりな風刺があってニヤリとさせられます。
レントンたちの一発逆転を狙った人生の賭け、ベグビーの復讐が交錯するクライマックスは、レントンたち4人の友情と裏切りが交錯する青春ドラマとサスペンスがミックスされた緊迫感のあるものでした。
ラストシーンにイギー・ポップの「Lust For Life」が流れるシーンは、北野武監督の「キッズ・リターン」のラストシーンのようなほろ苦さと沸き上がる熱気を感じるものがあって、レントンたちと同じように思うように明るい未来に辿り着けていなくてもそれでも「人生を選び」前に進むしかないというタフなメッセージに背中を押された文句なしの続編です。
「過去と向き合い、人生を選べ」

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