「危ないから動かないで」
介護のデイサービスで働いている。そこで気になることが。昼食の食べ終わった皿が乗っているお盆を、ご利用者が下げようとすると「危ないから置いておいて」とスタッフが止めるのだ。そしてお年寄りたちは言われるまま、何もせずに座っている。そのご利用者の方々は在宅で一人暮らししている方も多い。
ヘルパーが入っているにしても、自分で何か物を持ったり、自由に動いたりしている方々だ。
そもそも、何が「危ない」のだろうか?お盆を落として食器を落とす?下はマット引いてあるから割れる可能性低い。お皿ごと転んで転倒するのが危ないのか?でも、それで骨折するほど硬いものがあるのだろうか
食器もプラスチックのお椀や軽い食器が大半だし。メインの皿は瀬戸物で割れる可能性あるが。いっそ、危ない!と止める場面でどうなるか?一度観察してみたらどうだろうか。ここまでは危険性の話。
その時、奪っているものがないだろうか。まずは腕の筋肉を使う運動の機会。体操や園芸活動してもらい身体機能の向上をうたっているデイだが、ご自分で動いてもらう場面を止めている。これは本末転倒ではないか?さらに、自発性、も奪っている。自分が何かやろうとした時に「危ないから止めておいて」と言われるのって、厭じゃないだろうか。やる気も失ってしまうし、自分から動こうという意欲を奪ってしまう可能性もないだろうか。うーん。
まあそう言っても、他のスタッフさんは心配だろうから「近くで見守れる時はそのまま下膳してもらいませんか」と提案してみよう。つまり、万が一倒れても近くで支えられるなら運んでもらう、にするのだ。そうすれば自発性も尊重できるし、遠くで万が一倒れてフォローできない場合のみ、「待っていて」と伝えることにする。
さて、こんなことを偉そうに書いている私ですが思いっきり「私やりますから置いておいて」と声掛けしちゃっていた。周囲がそうやっていることに疑問を持たずに当たり前のことだと受け入れてしまっていたのだ。言われればその通り、と思うようなことも気づかないのだ、これは怖いことだ。当たり前を疑う仕組み、質問をする習慣を作るべきだな。仕事の場面の中で「それって変じゃない?」を探すワーク、とか。
話は戻るが下膳のことについて、そのデイサービスの自己規定も関わってくると思う。レストランとかサービスを提供する場面を考えてみると、レストランやファミレスのような位置づけなら、下膳はスタッフがする。でも立ち食い蕎麦などカジュアルな店ではセルフで片付ける。これは利用者の方でもそうで、下膳しないで座っている方は自分はお客、という認識でとらえているのかもしれない。一方すすんで下膳する方は大衆食堂とか、あるいは知り合いの家とか、そういう捉え方なのかもしれない。下膳一つとっても、ご利用者一人ひとりが持つ「この場の認識」が影響している。デイサービスをどう規定するか、を明確にしてそれを打ち出していくことである程度誘導できる気もする。そこを曖昧にして運営していると、スタッフ間や利用者間で受け取り方の違いが出てきて、それが毎日のささいな場面の食い違いに発展するのかも。
長文になったのでここまでにしておきます。とりあえず今度のスタッフ会議でちょこっと議題にしてみよう。
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