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私の鉄瓶

※こちらは鉄瓶の湯あかつけをしてみた個人の記録です。鉄瓶を使いはじめるかたへ向けた慣らし作業については、鉄瓶メーカーさんのホームページで詳しく解説されていますので、かならずそちらをご確認くださいますようお願いいたします※

2年半前から、南部鉄器の鉄瓶をつかっています。

愛する東北・愛する地元をはなれて、ホームシックにかかっていた時期に、東北を感じられるものを身近に置いておきたくて購入したものです。

愛用しているのは、及源鋳造さんの平八千草0.8.L。おそろいの鉄瓶敷も買いました。
ぽってりまるっこいデザインのほうと迷いましたが、私はガス台に乗せたとき、より安定感のありそうな平のデザインにしました。

起きてすぐ、鉄瓶でお湯を沸かしてコーヒーを淹れるのが日課です。
水をいれて、ガス火にかけて(このとき、『モナ・リザの背中』の曇天先生のことをかならず思い出してしまいます)、お湯が沸くまで待ちます。

待っているあいだ鉄瓶を眺めていると、季節ごとの地元の風景が思い出されて愛おしいです。
まっくろな鉄瓶から感じる、四季折々の色。
「きょうも私はだいじょうぶ」。
そんなことを思いながら、鉄瓶から注がれる透明でまろやかなお湯を、寝ぼけまなこからようやく醒めつつある目で見つめます。

お婆ちゃんになっても、ずっとこの子と台所に立っていたい。

私の理想は、「台所」です。
使い込んだ道具とお気に入りの器が並ぶ、私のお城。
私がお婆ちゃんになるころには、理想の台所ができあがっているといいなあと思います。

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鉄瓶といえば、内側につく湯あかですよね。

湯あかとは…

硬度の高い水に多く含まれるカルシウム・マグネシウムイオンが水を沸かすことで結晶化し、鉄肌に吸着した白い膜のようなもの

2021年に鉄瓶を購入したときに、及源さんよりいただいた「鉄瓶のしおり」より

内側がまっしろになった鉄瓶って、ものすごく憧れです。
私も使いはじめるまでは、「まいにち使っていたら、自然と湯あかもついてくるよね」なんて気楽に考えていたのですが、どうしてなかなか湯あかがつかない…!

鉄瓶は使いはじめる前に、ミネラルウォーター(私はevianを使いました)を沸かして捨てて…を繰り返して慣らしをします。
私の鉄瓶さんも届いてすぐに慣らしをしましたが、そのときも、ほんとうにうっすらとしか白くなりませんでした。
しかも、水道水に切り替えて沸かしはじめたら、その湯あかも取れてしまって定着までいかず。

そしてきょうまで、内側がまっくろのままの鉄瓶を使いつづけてきたのですが、やっぱり湯あか…つけたいな。
そう思って、「鉄瓶のしおり」を再び読んでみました。
そうしたら、沸かして捨てての慣らし作業のなかで、じぶんがミスをしていたということに初めて気がついたのです。

お湯を沸かして捨てたあと、ふたたび水を入れて沸かすのですが、実はこのとき、鉄瓶を冷ましてから次の湯沸かしを行なわなければならなかったのに、私はじゅうぶん冷ますことをせず、さっさと次のお水を入れてしまっていたのでした。

(※熱いままの鉄瓶に冷水をいれると、鉄瓶が割れてしまったりする危険があるそうです!お水はかならず冷ましてから入れましょう)

もしかして、湯あかがしっかりつかなかったのは、湯あかが定着するまえに次のお水を入れてしまっていたからなのかも…?と思い、さっそくもう一度、湯あかつけに挑戦してみました。

今回は、一度お湯を沸かしたら、鉄瓶が冷めるまでしっかり待ちます。

3回沸かした鉄瓶の内側。
まっくろだったのが、ほんのりと湯あかがつきました。

ひと晩やすませて、またあしたから使おうと思います。
水道水にしても取れなければいいな…。
これからも、この鉄瓶と、ずっと一緒に月日を重ねていけたらいいなあと思います。