自然農法とタネ取り

梅雨空が続いて憂鬱な方もいると思いますが、夏野菜にとって必要な雨でもあります。
すぐ伸びていく野草の生命力に感嘆する季節でもあります。


今日はとある農家さんと話したことを書きたいと思います。

その方は農薬や化学肥料に頼らない「自然農法」というやり方で野菜を育てられています。
一般的な野菜は化学肥料と農薬が必要でそれなしにはなかなか育ちません。
そして今の野菜は大半が「F1種」というタネを使っています。

※前も少し書きましたが、簡単に説明するとF1種は育ちやすく一度に収穫できますが、化学肥料や農薬無しではなかなか育ちにくい品種です。
また、タネ取りして蒔いても全く違う形質になってしまうため、基本的にタネ取りできない種です。
一方、古くからあるタネ取りしながら繋いでいる種を「固定種」といいます。
固定種は化学肥料や農薬を使わなくても育てられ、味わい深いのが特徴です。
しかしF1種より収穫量が少なく、一度に収穫できないため効率は悪いと言えます。


そんな農家さんにいろいろ聞いてみました。

めぐりや(以下め):自然農法は趣味でやるのはいいですが、生計をたてるのは大変なんじゃないかと思うのですがいかがですか?

農家さん(以下農):大変は大変ですけど自然の循環の中で生きられるのはとても気持ちいいですね。

め:固定種の方がF1より天候変動に強い印象があるんですが、実際はいかがですか?

農:多少は強い気がしますがそれでもやられることも多いです。

め:タネも取ってるんですか?

農:少しは取ってますけど買っている方が多いですね。

め:タネ取りすると買わなくて済むし、お金もかかりにくくなると思うんですがどんなデメリットがあるんですか?

農:タネを取るタイミングやどのタネを取るか、といった点に知識や技術が必要ですね。形質が少しずつ変化していくので安定した品質を保つには難しさがあります。数年して育たなくなってしまったこともあり、難しさを感じています。


私もわずかながら固定種のタネから化学肥料、農薬を使わずに野菜を育てているのですが、プロの方のお話を聴けたのは貴重でした。
タネ取りはメリットが大きいのでどうして広がらないのか疑問だったのですが、納得できました。
安定して収穫する必要のある農家さんはリスクを背負うタネ取りを積極的にしづらい、という背景が見えてきました。

タネ取りで生計を立てるのはとても苦労があると思いますが、趣味で育てるなら断然おすすめです。
多少面倒ですがとても愛着が湧きます。
しかもお金もかからない。


そしてプロが一所懸命に育てた野菜たち。
固定種の野菜はなかなかスーパーでは買えないですが、もし見かけたらぜひ買ってみてください。
普段食べる野菜とは一味違うと思います。
効率の面では不利な固定種ですが、選ぶ人が増えれば当然農家さんも選びやすくなります。
あまりにも不自然な食べ物が増えている現在ですが、本質的に良いものを選ぶ人が少しでも増えたらうれしいですね。

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