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大逆転の金メダル2連発。 7月30日

日付が変わる前、柔道では男女共に金メダルに手が届かなかったり、フェンシングで日本選手団の旗手を務めた江村選手が3回戦で敗退したり、スケートボードでランキング1位の小野寺吟雲選手が予選で敗退したりと、ちょっと昨日とは流れが違うのかなあという雰囲気でしたが・・・


体操男子団体総合。


2大会ぶりの金メダルおめでとうございます。
予選では、怪我で練習が十分に積めなかっただろうエース橋本大輝選手が得意の鉄棒で着地失敗にするなど、ちょっと不安なところもありましたが、中国に次ぐ2位で通過。
決勝でも全員で盛り上げてレベルの高い演技を連発しましたが、橋本大輝選手の鞍馬での落下もあって、最終の鉄棒の演技の前に、首位中国のと差は3点以上。
体操競技では、よほどのことがない限り逆転不可能な点差です。
しかし、日本チームの強い意志が奇跡を呼び起こしたのでしょうか。
中国選手が2度落下するという日本にとっての幸運が発生。
予選で、この種目で失敗した橋本選手を全員で声かけをしながら送り出し、橋本選手は、それに応えて最高を演技を見せてくれました。
最後の最後、橋本選手の素晴らしい演技を引き出した、日本チームの団結力に拍手を贈りたいですね。
東京オリンピックでは0.103の差に泣いた体操日本が、0・532の差で表彰台の中央に立ちました。

とても印象的だったのは、すでに多くの方がSNSなどに投稿されていますが、金メダルの日本のメンバーが表彰台に上がる時の、先に表彰台にあがっっていた3位のアメリカの選手たちの様子です。
笑顔で手を叩きながら日本の選手たちを出迎えてくれました。
銀メダルの中国の選手たちはどっちかと言うとそっぽを向いていました。
その中国の選手たちも、各演技の後には日本の選手ともタッチをしたりしていましたから、選手レベルのコミュニケーションはありそうです。
ラグビーではないですが、試合が終わったらノーサイド。
全力で戦った同志として、お互いをリスペクトし、讃え合う気持ちがなければ、スポーツの国際大会なんてただの代理戦争です。

そうやって考えると、柔道で2回戦でまさかの敗戦した阿部詩選手。
負けた後、自分に勝った相手に賞賛の声をかけることができたかな?
動画を見る限り、たぶん、声をかけたのは相手選手ですよね。
人目を憚らずに悔し泣きすること自体になんの問題は感じませんが、その前にトップアスリートとして、前世界王女として、やるべきことはあるよね。
そう思わずにはいられません。

スケートボード・男子ストリート。


堀米雄斗選手の連覇おめでとうございます。
最後の最後、追い込まれた堀米選手が、一発逆転を狙ったトリック=パフォーマンスで、最高得点をあげて大逆転。
「成功することだけをイメージした」と語っていましたが、それを実現するのは、最高に強い意志の持ち主だけです。
昨年の世界選手権チャンピンの白井空良選手は僅差の4位でした。
昨日は、イマイチに魅力が伝わらないと書いたこの競技ですが、男子の競技は全く別物でした。
スピードもハラハラ感も格段にあがって、エキサイティングなスポーツに見えました。
その理由は、やはりしっかりとしたフィジカルを持ったアスリートによって競技されていることだと思います。
もう一つ大切なのは、そういうことが伝わる会場、撮影方法だったと思います。
東京の時とは明らかに違う。

一方で、この大きな施設が会場であることは、他の選手に比べてフィジカル的にハンディのある14歳の"ぎんちゃん"こと小野寺吟雲選手には不利だったでしょう。
でも、失敗して戻ってきた"ぎんちゃん"を、お父さんは毎回拍手で迎えていました。
声は聞こえませんが、「よくがんばった」と息子のチャレンジを褒めていたように見えました。
日本中の子供達を指導する指導者、お父さん、お母さんが成功失敗に関係なく、こうやって迎えることができるようになったら、きっと日本はもっと明るい国になるのになあ。
ぎんちゃんには、ぜひ、4年後には、本場アメリカでもっとすごいパフォーマンスができるようになって帰ってきてください。

乗馬団体総合。


こちらも、5位から逆転の銅メダルだったようです。
4人と4頭が力を合わせてのメダル。
イギリス、フランスという馬術の伝統国に続く銅メダルだったんですね。
おめでとうございます。
正直に言って、ほとんど乗馬についての知識はないですが、日本のメダルが92年ぶりと聞くと、それだけですごさは伝わります。
その92年前の1932年ロスアンゼルスオリンピックで金メダルを取ったのが、バロン西こと西竹一さん。当時陸軍騎兵中尉だったそうです。
太平洋戦争の末期に、激戦地硫黄島で命を落とされたそうです。
アカデミー賞作品賞にもノミネートされたクリント・イースト監督の映画「硫黄島からの手紙」では伊原剛志さんが演じていた方ですね。
あと、馬術競技の会場は、あのベルサイユ宮殿です。

柔道。


男子73キロ級で橋本壮市選手、女子57キロ級で舟久保遥香選手は、ともに準々決勝で敗れましたが、その後、敗者復活戦を勝ち上がり、見事銅メダルを獲得しました。
おめでとうございます。
橋本選手は32歳。
柔道では日本人で最高の年齢でのオリンピック出場でのメダル獲得です。
準々決勝の橋本選手は、フランスの選手相手に、不可解な判定で指導三つで敗戦。
ネット上ではその審判の判定とともに、まともに組み合わないジョアンベンジャミン・ギャバ選手への批判が散見しますが、以前から海外の選手、特にフランスの選手にはこういうスタイルの選手は少なくありません。
100キロ級でロンドン、リオを連覇したフランスの英雄、テディ・リネール選手が、日本では評価されないのもこの辺りにあります。
最近はルールが改定されて、かなり良くなりましたけど。
舟久保選手が出場した女子57キロ級では、長野県出身で山梨学院大卒のカナダ代表の出口・クリスタル選手が金メダルを獲得。
決勝戦で敗れて銀メダルの韓国代表のホ・ミミ選手は、在日3世で現役の早稲田大学生だそうです。

フェンシング。


男子フルーレに出場した飯村一輝選手。
準決勝で優勝した香港の張家朗選手に敗れて3位決定戦に回り、銅メダルを目指しましたが、アメリカのニック・イトキン選手にあと一歩及ばず、加納選手に続く2つ目のメダルとはなりませんでした。
残念。
女子サーブルに出場した江村美咲選手。
世界選手権2連覇で世界ランキング1位で、金メダルを期待された江村選手は残念ながら3回戦敗退。
フェンシングについては、ほとんど知識はありませんが、2回戦までの勝ち上がりでも、かなり苦戦をしていたようですね。
あまり、調子が良くなかったかもしれません。
開会式での、あの船上の入場行進は競技に影響はなかったのでしょうか。
普通の人でも、長時間船に乗っていると、下船後も足元がフラフラするし、翌日以降もフワフワしてるって言う人もいますよね。
果たして、江村選手は?
繊細な剣先で勝負をするこの競技で、影響がないと断言できる人はいないでしょう。
旗手に選ばれてしまった江村選手には、参加しない選択肢はありませんでした。
前日に金メダルを獲得した加納虹輝選手は開会式に参加したのでしょうか? 
地元フランスをはじめライバルの選手たちは?
競技団体のスタッフは調べてみたらいかがでしょう。

ところで、昨日の比較的早い時間に江村選手の敗退が決まったにも関わらず、テレビ電子番組表の某テレビ局の欄はずっと深夜から朝まで「江村選手・金メダル」一色。
ビジュアルのいい女子アスリートを徹底的にフィーチャーするのもこの局らしいところですが、いつまでも番組表を更新しないところも、またこの局らしいですね。

フェンシングは見ていてととても面白いスポーツです。
スピーディで展開も早くてわかり易い。
テレビ向きな競技です。
・・・もちろん、ネット配信でもOKだけど、画面が大きい方がいいかも。
まだ、ご覧になっていない方はぜひ。
今回のフェンシング会場となっている、1900年のパリ万博の会場として建てられたグラン・パレも一見の価値あります。


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