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一筆書きでめぐる愛知〜長野〜山梨の旅

東京都区内発 東京都区内行 (5日間有効)

鉄道での旅に慣れた人におなじみの切符の買い方で「一筆書き切符」というものがあります。出発駅からいくつかの駅を経由して、また同じ駅に戻ってくる、という片道切符のことを指します。
多くの鉄道会社では、一枚の切符で長い距離を乗れば乗るほどキロ当たりの料金が安くなるため、単純に往復切符(片道切符x2)を購入するより「長い片道切符」を購入したほうが割安になることがあります。ただしこの買い方だと同じ路線を複数回通過することができないため、「一筆書き」のように同じ場所を重複して訪れないようなルートにする必要があります。

私も以前、奈良井宿に訪れたくて塩尻までの往復をする際にこのテクニックを使って旅をしました。その記事もよければご参考ください。

今回はもう少し大回りの旅路です。名古屋に所用があるため訪れる際に、ただ普通に往復してもつまらないな、ということで、一筆書きで訪れました。

行きはこんな感じ、東海道新幹線・東海道線を使用して、スタンダードな形で名古屋近辺(金山)まで訪れます。

品川〜金山 (実際は豊橋からは新快速)

帰りは中央線(中央西線、中央東線)を乗り通す形で、塩尻経由で東京まで戻ります。

金山〜塩尻
塩尻〜新宿

行き、帰り、それぞれ1日使い、宿泊は名古屋。そんな1泊2日の旅行に出かけてきました。
立ち寄るべき箇所は色々様々あると思いますが、今回は個人的に面白そうな箇所に途中下車しつつ、一筆書きの鉄路を楽しんできました。
というような内容をぐっと圧縮して、できるだけ簡潔に記事にさせていただきます。

初日:品川〜豊橋・豊川稲荷

まずは新幹線で豊橋まで訪れます。名古屋まで明るいうちに移動すると考えると、せめて豊橋くらいまでは速達列車でたどり着いておくのが現実的です。
豊橋からなら新幹線でなくとも東海道線の新快速に乗れば名古屋まで1時間もかからずにたどり着けるので、特急料金の節約という意味でもリーズナブルです。
幸い、東海道新幹線には2時間に一本の頻度で、新横浜からノンストップで豊橋まで1時間ちょっとでたどり着けるひかりがあるので、こちらに乗車します。豊橋はトヨタの本社までもほど近いので、もっと速達のひかりの本数が増えると良いのに。

豊橋は徳川家康と縁の深い街でもあり歴史も豊富で見どころがたくさんありますが、今回はその中でも一番有名な観光地にだけ訪れました。

豊橋〜豊川 一筆書ききっぷに追加して往復のきっぷを購入

秘境を走ることで有名な飯田線に乗り換え、都市部を移動すると、20分ちょっとで豊川駅に着きます。日本三大稲荷で有名な豊川稲荷の最寄り駅。

豊川駅前
豊川稲荷の鳥居
有名な霊狐塚

豊川稲荷は神社のふりをして、曹洞宗のお寺(妙厳寺)、というのも有名です。神社ではなく、あくまで「豐川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)」という仏教の神を祀るお寺、という立て付けとのことですが、あまり参拝者は気にしてません。明治の神仏分離の際には「寺だから」ということで鳥居も壊されたようですが、今では復活しています。

お寺なので仁王様もいます

豊川稲荷といえば、その名前からも連想されますが「おいなりさん」が有名で、参道には多くの観光客向けのお店があります。こちらでいただけるのですが、味は正直美味しいとは思えませんでした。縁起物なので味や値段にこだわってはいけません。
豊橋には「ピレーネ」というとても有名なお菓子があり、こちらのほうが安くて美味しいので、きっと縁起も良いと思います。

おいなりさん
きしめん
豊橋といえばピレーネ。豊橋駅の中でも買える

初日:豊橋〜蒲郡・竹島

豊橋〜蒲郡

蒲郡までは豊橋から新快速で一駅。蒲郡もけっこう大きい街で色々見どころがありますが、観光地として最近よくテレビとかで見かけるのは、竹島という島。
Google Maps とかで見てると孤島に見えますが、島まで一本の橋がかかっていて、歩いて渡ることができます。その辺のフォトジェニックさがヴァエを求める人達に人気のようです。

竹島
島にある八百富神社

竹島は島全体がパワースポットで有名な八百富神社の境内であり、貴重な植生があるということで天然記念物にも指定されています。景色もよいですし、そういうこともあってか若い人中心に結構な数の人が訪れていました。オーバーツーリズムとか大丈夫なのかな、とすこしだけ不安になります。

こんなに陸地に近いのに陸とは異なる植生(暖地性樹種)が見られるとのこと
島は歩いて一周可能。道は結構荒々しい

他にも、蒲郡からは名鉄蒲郡線が分岐していて、最近「抹茶」で有名になった西尾に訪れることができます。今回は寄りませんでしたが、時間があればぜひ立ち寄りたい場所です。

初日:蒲郡〜金山

蒲郡〜金山

静岡県内が無駄に長く感じるせいか、愛知県内の移動はとても便利で速く動けますね。蒲郡からは普通車でもたった40分で名古屋の中心地近くまでたどり着けます。名古屋への通勤需要も拾っていたりするのでしょうか。
金山ではとくに観光はしませんでしたが、所用の前後で名古屋ならではの体験をして、1日を終えました。

コメダ珈琲
味仙
にんにくチャーハン略してニンチャー

二日目:金山〜木曽福島

金山〜木曽福島

二日目は、特急しなのに乗車して木曽川沿いを進みます。まずは、中山道の関所があった場所として有名な木曽福島駅へ。

木曽福島駅
駅前の風景

関所のあった場所は今は資料館として整備されており、駅からは15分くらい歩きます。道中、宿場町の風情を残す風景が多くひろがり、自ずと旅の情緒をかきたてられます。

中山道37番目の宿場 福島宿
関所跡
資料館

歌川広重が書き残した浮世絵の風情と見比べてみると、だいぶ現代的な町並みに変わってしまっているとはいえ、当時の面影を今も残しているようにも見えます。町の人たちや行政の努力の積み重ねを感じます。
木曽福島は中山道を代表する関所、ということもあってか、ここは人だけでなく多くの動物たちも往来する場所と見え、そこかしこに動物たちに配慮をした立て看板が多く見られます。

つばめ低空飛行中につき
ネコ横切リマス

木曽福島はとてものんびりした雰囲気で、おちついて滞在したいなと思う場所ではあります。多くの旅人が旧街道の宿場町に惹かれる理由もなんとなくわかります。
全然関係ないですが、木曽福島には最近すっかりご当地グルメとして定着した「牛乳パン」の元祖のお店があったりと、グルメ的な意味でも立ち寄ってみたい町です。写真を取り忘れましたが私もお店に立ち寄って美味しくいただきました。

二日目:木曽福島〜塩尻

木曽福島〜塩尻

塩尻は、交通の要衝でもあり、ワイナリーで有名な場所。今回こそは途中下車してワイナリー巡りを、と思ったのですが、乗る予定だった特急が大幅に遅延をしたため、今回も断念。また次回。
狭い立ち食い蕎麦屋にも訪れようとしたのですが、数分しか乗り換えの猶予がなかったのでこちらも断念。

塩尻駅は駅のホームにぶどう園がある日本唯一の駅、ということでも有名で、その風景だけ眺めて、塩尻を後にしました。

日本で唯一 ホームのぶどう圓
本当にぶどうが育ってます
車内ではワインでなく木曽福島で買った日本酒「七笑」をいただいてました

二日目:塩尻〜山梨市・笛水川フルーツ公園

塩尻〜山梨市

最後の立ち寄り地として、山梨市駅に訪れました。あずさが基本止まらない若干マイナーな駅ですが、この近くに「笛水川フルーツ公園」という最近人気の施設があるので、そちらに移動してみます。
フルーツ公園までの移動は公共交通機関はあまりなく、基本、タクシーや車で向かう事になります。

やまなしし駅
笛水川フルーツ公園
富士屋ホテルの脇から

公園は高台の上にあり、甲府盆地を一望できます。
この日は道中雨に祟られてましたが、山梨についた途端に晴れ間に恵まれたため、なかなか爽快な風景を楽しむことができました。

富士屋ホテルのカフェ
ワイン試飲コーナー

公園にはホテルもありますし、飲食を楽しめるスペースやお土産屋さんがたくさんあるので、甲府盆地の恵みを体中で堪能することができます。
富士屋ホテルのカフェのスイーツはとてもお得な値段で良質なフルーツが味わえて、東京では絶対に味わえない贅沢な体験をさせていただきました。

とても素晴らしい場所でしたが、山梨市駅も、フルーツ公園も、ちょっと交通の便的にはあまり良いとはいえない環境なので、時間を有効活用したい人は時刻表を確認し、入念に計画して訪れたほうが良いでしょうね。

二日目:山梨市〜新宿

山梨市〜新宿

という感じの旅でした。
行きも帰りも、短い時間でも十分に楽しめるような特色ある場所ばかりで、個人的には堪能できました。私にとって今回が初訪問の場所も多かったので、なおさらです。
東海道線の静岡以西や、中央線には、途中下車して寄り道すると楽しい場所が多い印象です。

そういった途中下車の旅を楽しむうえで、「一筆書き切符」はとても便利なツールだと思います。途中下車制度がいつまで残るかも分かりませんから、今のうちに堪能しておきたいところです。


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