キャラの形のグッズはいらないと言っていたオタクがいきなりぬいを自作した話


※ぬい作り初心者の方の役に立つ話ではないです


突然ですが以下の文章を読んでください。

「私ってどうしてもアクスタとかぬいには心が動かないタイプのオタクなんですよね……」

これはある日の私の呟きです、だいたいこのような趣旨の事はポツポツ呟いておりました。たとえばジャンル内でフィギュアとかねんどろが出たときに「だから私が手を出さないのはこういうわけなんです」という意思表明をするためです。なんてコスい考えなんだ。

それはそれとして、これは結構正直に作中のマグカップとかペンとかは欲しくてもキャラものグッズを自分の部屋でどうしたらいいかわからなくて長らく手を出していなかったのですが、ついに先日アクスタの禁を破った話を書きました。しかしまだ言い訳は効くのです、「アクスタって分厚い写真とかわらないじゃん」という。

 そんないつまでたっても悪あがきを続ける自意識と虎のような自尊心にのたうちまわる人間でしたが、先日ふと思いました「ぬいを作ろう」と。なんか、こう顔を刺繍したかったのかもしれないし、なにか没頭したかったのかもしれない。その時その単語を呼び出した自分の脳の回路の作用は未だにわかりませんが、私は思ったのです


──そうだ、ぬいをつくろう。

 そういうわけでとりあえずツイッターでかわいいぬいの写真を眺め、いくつか先達の資料を参考にし、買いました。諸々の材料を。そこらへんは最後にまとめて紹介させていただければと思います。

※とりあえず初めての方は「ぬいの素」を買うのをお勧めします。胴体が出来ているだけでかなりハードルが低いです。

 正直、自分は絵が描けるタイプの人間でもなく、器用でもなく、玉結びを無限にやり直し、髪の毛が立体になった時にどこからどう生えるのかも理解できていません。それでも動画を参照することで「なんとなくできるかもしれない」と勇み指で針を動かしました。とにかく当初抱いていた「ゆっくり落ち着いて刺せば理論上サテンステッチは綺麗に行くはず、ただただ隙間がない様に針を出せばいいはずだから」の考えはものの二秒で「んなワケないだろ」に塗りつぶされてしまいます。参考にした資料はわかりやすく、とても綺麗に縫っていたのですがそれは熟練の技の成せることであり、どんどん脳内の出来上がり図を下方修正する作業に追われます。

『たぶん、かわいい』
『目を縫い終わったらかわいく見えてきた』
『恐らくきっとかわいいと言える部類にいるはず』

 そんなセルフ疑心暗鬼を覚えながら、ようやく顔と髪の毛を縫い終わり、頭と身体をガッチャンコしたときです。

『どうしよう、おもったより歪かもしれない』

 実際この時に首に顎のラインではなく頬のラインを縫い付けてしまっていたため、かなりしゃくれてしまったので歪なのは正解ではあったのですが、この不安が私は恐ろしかった。つまり、生んだにもかかわらず私はこの存在を持て余すのではないかと。毒親掲示板があればアホほど叩かれているであろう考えですが、私は本気でコレが怖かったのです。平日仕事終わりにとにかく少しずつ刺繍を続けて、この段階でその日の作業を初めて5時間くらいたっていた気がします。それなのに、私はコレを愛せないのか。時間がすべてではないとはいえ、完成したそれを「醜い」と恥じて仕舞い込むのかと。それは今まで散々予防線を貼っていた「私キャラもの興味ないんですよね」の自分の言葉が自分の喉に刺さった瞬間でもありました。

 ただここまで来て引き下がるわけにもいかず、私はぬいの身体に綿を詰めました(途中で身体の縫い付けミスに気付いてやり直した)そうして、ふくふくとぬいは膨らんでいき、ついに完成した時に私は思ったのです。

『めっちゃかわいい~~~!!!!』

 マジで驚くほどビックリかわいかった。思わずソレを両手で抱きかかえて「ぬ~~!!」と叫ぶくらいにはかわいかった。生誕を言祝ぐにはあまりにもな語彙ではありましたが、あの頬のふっくら感、いとけなさは「ぬ」というジャンルなんだと気がつきました。これはただのお人形やぬいぐるみではなく「ぬ」という存在なのだと。もちろん、全力でやったとはいえ刺繍もそれなりにガタついてますし、耳の位置とか首回りとかはやはり完璧とは言い難いです。それでも、決してそれは瑕疵ではなく、掌の上で「ぬ」の顔をしている存在は本当に愛おしかった。ぬいが完成したこともそうでしたし、自分がやり遂げたこと、そうしてなにより本当に自然に気負うことなくその存在を愛せたことがとても嬉しかったのです。

 とりあえずぬいを縫い上げてからはかわいいケーキを献上したり家のバニアちゃんたちと写真を撮ったりして楽しく過ごしています。「キャラものグッズ~」の発言をご存じなフォロワー諸氏の皆様にはきっと即堕ち2コマの模範的姿だと思われていることでしょう。

 布と綿はまだ余っていますが、私がこれからもぬいを作るのかはわかりません。ただ、今回ままよとこれにチャレンジしたこと、それだけは本当に良い衝動だと心底思うのでした。

 作成経験一回だけのオタクなのでアドバイスもクソもないのですが、最後にアドバイスをすると「チークを塗ると大体可愛くなる」です。耳の先と鼻のとこと目元に塗るとめっちゃかわいい。男の子だとオレンジチークが個人的に好きです。



【参考にした動画、サイト】

■Little Closet

 ぬいの素を購入しました。注文の際にお顔の布や型紙もつけることができるので、初心者でも作れる。身体がしっかりしているだけでもだいぶ心が違います。


■「ぬいの素 15cm」中韓ぬいの作り方(Little Closetさん)髪&顔の刺繍|オール手縫い ぬい製作|COTTON DOOL TUTORIAL

 上記「ぬいの素」を使用したつくりかた動画。めちゃくちゃわかりやすい。ほぼこれを見て作り切りました。ぴよぴっこさんのブログの記事で必要な道具なども詳しく説明してくださっているので助かります。


■不器用オタクとはじめての自作ぬい

 まず初めにおなじ境遇の先達の記事を参考にしました。どんな動画やサイトを参考にしたのか書いてあるのでそのまま追いかけた感じです。


■手ぬい&手芸のりでつくれる!てづくり推しぬいBOOK~お洋服編~

 お洋服づくりの参考に。型紙ついてるし手芸のりでだいたい押し切れたのでつよい。ただぬいの素15センチのボディで中の型紙を使うとだいぶムチムチパツパツになったのでそこは調整必要です。大でよかったかも。




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