HiGH & LOW THE WORST(ザワ)感想

※公開当時プライベッターに上げてたものです

私からハイローへのラブレターです聞いてください

ザワは最高の卒業式であり始まりの一歩であり、すべての人間ときゅうりへの讃歌。


HiGH & LOW THE WORST 見てきました。
とにもかくにも最高でした、俺たちのハイローがそこにはあった。俺たちの“”MUGEN“”が確かにありました。正直、正~~直ですよ、見る前はコラボスピンオフだし、アクションは期待できるけど一回見れば十分かなあって気持ちがありました。なによりもうこれ世代交代の話だし、やはりSWORD第一世代をまだ引き摺っているのです。シリーズものにありがち初代が至高とかいうオタク。まさにそれ。いや、初代最高だけど。ザム3でちゃんと前を向けたと思ったのにこの様だよ!!!!!どうしちまったんだよ、琥珀さん!!!!そんな情けねえ気持ちも抱きつつ、期待に胸も膨らませつつ、見ました。ザワ。最高でした。案の定脳みそが駄目になった状態で感想書くよ。ザワの語り方は間違えていてもザワを語りたい気持ちは間違っちゃいねえ……。

もうね、語彙放り出して叫ぶなら「はい!!最高!!ありがとう!!世界に光が満ち満ちていく!!光輝!!祝福!!!!」って言い続ければいいんですけどね、まあ言ってるんですけどね。ザワ、新たな世代の映画であり、再演されたザムの神話なんですよね。別勢力同士がいがみ合い、共通の敵に向かって共闘。その敵の中にはかつての幼馴染(仲間)がいて、彼を連れ戻す戦いに挑んで、叩いて直す。びっくりするほどザム。レッドラムに絡む妹とか、レッドラムに手を出す理由が身内の病気とかね、ザムと言うかハイロー第一世代のリブートなんですよね。新太と楓士雄はノボルとコブラだし、佐智雄と唯はスモーキーとララだし、オロチ兄弟は雨宮兄弟だし。その上で、ハイロー側の映画作りの腕が上がってるから回想の回想とかがなくなって、非常に見やすいエンターテインメントになってるんですよ。映画としての完成度が上がってる。あとこれはずっとそうなんですけど、ハイローは新規にいちいちちゃんと説明してくれるからとっても優しい。ザワもマジでザワから入って全然大丈夫。というか今まで追ってきた人にも初めましてが多すぎるし、大体みんなまだバルジの正体がわからない。立木ナレのわかりやすすぎる説明に加えて、今回ジャム男くんという「喧嘩はからきしだが情報通」っていうキャラを非常にうまく使ってますね、もうダラダラ見せないで一気に知ってる人間が説明してくれるのでストレスフリー。あと今回同じ団地の出身というつながりを各チームに持たせることで情報の伝達が早いんですよ。治安悪げな巨大団地なのでみんなそこにいるのもなるほどって感じするし。だから尺の中でポンポン進んでよかったですね。

で、今回一番よかったなあと思ったのはスピンオフでありコラボ企画という非常にバランスの難しい内容の中で、ハイローにもワーストにも非常に真摯というかどちらにも誠実に作られていたところなんですよね。これ、どっちも拳でぶつかる物語だから殴り合いの勝敗が大事で、ハイローばかり勝たせるわけにもいかないし、かといってクローズに華を持たせすぎれば今までのハイローはなんだったんだってなってしまうんですよね。まあ、ハイローくん力加減が下手ってネタにはなったかもしれないんですけど……。そこで一番難しいのが、強キャラである轟、佐智雄、楓士雄、村山さんの力関係なんですけど、それがすごく上手いバランスで描かれていて、本当に良かった。全日の最強の轟は乱闘で負けなし(ただし佐智雄とはエンカウントしない)、鳳仙の頭の佐智雄も負けなし(ただし轟とはぶつからず、楓士雄とはそこそこいい勝負)次世代代表の楓士雄は佐智雄に負けるけど人望があるし先もある、第一世代で実力ダンチの村山さんは高校生の戦いには干渉せず大人とやりあって自身のモラトリアムに決着をつける。このバランスがよかったんですよ。ここで轟がサッチーに負けちゃうと、今まで轟を追ってた私たちとしては轟の格が落ちちゃってもやもやしたかもしれないし、鳳仙の頭のサッチーが轟に負けたらワースト側は面白くないし、この二人はあえてぶつけなかったのは本当に正しいというか、そもそも戦うベクトルが彼らは違うんですよね。轟と佐智雄は対立する存在ではない。楓士雄は佐智雄に負けるけど、彼は多くを持っていて、さらに多くを得たということは十分に作中で示されているから、それは次への一歩になるから爽やかな負けなんですよ。で、そのなかで村山さんは自身の子供時代との決着をつけるっていう。
この「実力は随一だがトップの素質に欠ける」「実力はまだだがトップの資質がある」「実力もあり、トップにすでに立っている」三人の立ち位置が素晴らしかったし、全員この後の先を見出せたのがうれしい。あと轟ちゃんも成長したと言うか、村山さんへの執着とかから抜け出せたといいますか、定時が絡まない全日でもやっと居場所を確立した感じがよかったねえ。そもそも轟ちゃんって別に頭を狙ってた感じでもないし、ちょっと村山さんこじらせてたから……。轟は拳の強さ以上の何かを見出すっていう成長イベだった。だからまあ河原の戦いで轟の足止めして佐智雄とのエンカウント防いだ小田島有剣は偉い。さすが参謀。いや、本当にね、轟はコンテナバトル経験者だし南斗獄屠拳使うしで一人で50人蹴散らす雨宮兄弟ムーブ決めかねんからあそこで引き取って足止めするのは鳳仙全体の勝利を考えたら非常に正しいんですよ、小田島有剣。そこまで考えてたのかは知らんけど。いやね、話がどんどん脇に逸れますが、あの河原バトルのバラードのとこね、あれは大義のない戦いの虚しさを表現しているシーンだと解釈してたからツイッターで結構「鬼邪高がどんどん倒れていく中小田島を容赦なくボコる轟wwww」っていうのを見て、なるほど~ってなりました。そう言う見方もあるんか、確かに轟ちゃん容赦ないが。まあそれは置いときまして、あとあそこで眺めてるキドラの柄の悪いイチゴミルク感。ギャルか。ギャルだった。まあ、この戦闘シーンでの鳳仙は集団で勝ってるって感じがよかったですね。鬼邪高に足りないところをちゃんと補ったから優位に立ってるって感じで。これもうスポ根漫画ですよ。

その中でのトップに立ってその責任も景色も知っている佐智雄とトップを目指してまだ無邪気にそれを追いかけている楓士雄の対比がよかったんですよ。それが神社からの景色を見る二人のシーンだったり、乱闘からの引き方だったりに現れていて。あの神社から街を眺めるシーンってザワの山王幼馴染の三人なんですけどね、上から見れば景色は綺麗だよなって笑う楓士雄とその景色が何でできてるか、それを背負う重さも知ってる佐智雄とね。乱闘中もサバカンの乱入をきちんと認識できて、去り際も頭として統率して帰る佐智雄と、熱くなって「よそ見すんじゃねえ!」になって最後皆で河原でぐでーってしてる楓士雄。こういう対比がよかったんですよ……楓士雄は天性の気質で皆を惹き付けるけど、頭に立つにはまだまだ未熟なところがあって、でもそれが彼の成長物語なんですよね。本当ひたすら光、眩しい、ただ自転車はパクっちゃダメだよ。
 あと、ついでに言うとキドラの力加減もよかったですね。程よくかませで(褒めてる)これキドラが九龍、家村会レベルの脅威だと鬼邪高と鳳仙だけで解決するとそれまでのSWORDの戦いなんだったの?ってなるし、九龍の二番煎じで高校生の敵で高校生にとっては強敵、村山さんは余裕をもって勝てるっていう力加減、すごいうまかったですよね。あとチェーンで勝ち確の法則は己の手足でないとダメっていうのがわかって激アツでした。バフは己に乗せてこそのバフだ。

で、ハイローって子供から大人になる物語。成長物語。マイティ的には「Change or Die」なんですよね。それが今回は村山さんの卒業物語でもあるんですよね。SWORDの頭の中でも村山さんっていうか鬼邪高だけ露骨に子供というか、一応成人してますが高校生だからな。一応ヤクザのスカウト待ちっていう設定ありますが、就活をしろ、スカウトを待つな。でも九龍とやりあったから大手企業がダメになったのかな……。それはさておき、コブラは自営業、ロッキーは立派にオーナー、日向は祭りの利権で稼いでるし、スモーキーは……スモーキー……ある意味一番子供じゃいられなかったよね……大人の分まで守護神だから……(クソデカ感情)てことで村山さん以外のリーダー連中は一応自立してるわけですよ(コブラは実家自営業なだけでまあ微妙なとこあるけどザムがコブラちゃんの成長物語だし、ザワの村山さんの電話の感じなら働いてるでしょという勘)そもそも鬼邪高の「学費払ってりゃいつまでもいいシステム」自体が親の脛齧ってなきゃできないシステムなわけで、村山さんがバイトしてた(そしてクビになる)描写もあるけど、どうかんがえても苦学生程はしてないし、そもそも奨学金とかあんのかあそこ。どちらにせよ誰かの援助を受けたうえでの長い学生生活なわけなんですよね。で、ハイローの誠実なところって、それが永遠じゃないところで、村山さんもついに卒業を迎えるわけなんですけど、それに向かってまず社会勉強を始めたのがザワなんですよ。まあコブラちゃんとか見て思うところいっぱいあったと思うんだけどね。
 それで小沢仁志(関ちゃんのパパの方)の下で働くことになった村山さんは新人だし名前覚えてもらえねえし年下にも完全敬語でよろしくだし理不尽なこともあるしで、今までの自由奔放な村山さんのままじゃいられないんだけど、その村山さんを「ダサい」とか「かっこ悪い」っていう風に描写しなかったのすごく最高だなって思うんですよね。労働ってかっこいいとこばっかじゃないし、理不尽いっぱい言われるし今まで見たいに好き勝手出来ないけど決してかっこ悪いことじゃないし、むしろそれで夢を叶えられるんですよ。それってマジで真摯に働いて成功してるLDHが伝えるメッセージ、マジで唯一神鍵垢のHIROさんが挑み続けて叶え続けたEXILE魂。全日とは線を引いて、彼らと干渉せずに自分の喧嘩とか自分の内面、将来と向き合った村山さんのサイレント「おわったぁ」ザムから見てるとマジでグッと来たし、退学届けが感謝の言葉だったのマジで村山さんだし(しかもここも山田さんの案だっけ?)なにより最後に言うのが「しゅっぱーつ!!」だったの最高の卒業じゃない????そして。ザワ3のテッツの親父もそうなんですけど、佇まいだけで「最高」とわかる大人が若者にそれを示してくれるの、それが最高なんです。汚い大人も出てくるけど、若者を導くのも大人の善性なんですよね。小沢仁志(関ちゃんのパパの方)が「子供は夢を見るが、大人はそれを叶えることができる」言うの、しかも夢を叶えようとしているパルコの現場で言うの、最高なんですよ。全国の居酒屋のトイレに貼りだすべき。この、夢を見て理想を語るだけの子供に大人が道を示すの、子供時代という永遠はないんだけど、限りなく続いていく無限ですよ。どんどん若いチームも出てくるLDHの示す光明なんですよ。ハイローは一貫して人間賛歌で一斗缶みたいにあったけえ物語なんですよ。
 この人間賛歌の部分って、大人とか子供というくくりもそうだし、不良者だとないがしろにされがちな「勉強ができるキャラ」さらに言えば「なにものでもない俺たち」にもあまねく注がれる祝福で。それが今回は曲がったキュウリの演説で。普通、こういうのって「不自然に真っ直ぐにされたキュウリはださい」「曲がって生きたほうがかっこいい」ひいては「勉強ばっかできるやつより俺らのほうが生きてる」みたいな論調になりがちなんですが、誠司くんは真っ直ぐなキュウリの中で一番になるという戦い方を示してくれる。幼馴染組の中でも勉強できる彼は希望なんですよね。そういうキャラもかっこいいってことをサラッと言ってくれるんですよね。これはザムからなんですけど、大人になるのに必要なことは「責任をとること」で、なにものでもなかった馬場さんが自分のけじめをつけることで目に光が戻りルードの一員になってくんですけど。私たちというか、この映画見てる人の大部分って、真っ直ぐなキュウリ側なんですよね。曲がって生きられないし、曲がってるのがちょっとうらやましい気持ちもわかるし、でもレールを外れることもできなかった。そんな人間がたくさんこの映画を見てるんです、それでかっこいい不良、輝いてる曲がったキュウリをたくさん見て、それは遠い存在なんだけど、そこで「真っ直ぐなキュウリだってかっこいい」「真っ直ぐなキュウリだって戦っている」って示してくれるんです。私たちに戦うべき場所を教えてくれる、私たちの人生も捨てたもんじゃないって言ってくれる。曲がったキュウリでも真っ直ぐなキュウリでもすべての人生を肯定してくれる、これは人間賛歌の映画ですよ。そしてハイローって理想だけじゃどうにもならないこともあるって見せてくるけど最後に勝つのは、最後に人を助けるのは人間の善性なんですよね。琥珀さんも拳じゃなくて説得に負けるし、馬場さんの勇気が九龍への必殺の一撃になるし、新太は団地組の思いやりの前に倒れ伏すんですよ。すべての人間の人生と、善性を祝福する、眩しい程に真っ直ぐなコンテンツですよハイロー。ありがとう、ありがとう……。
 
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その文脈で行くと、最後にキドラが高校生から巻き上げた1000円札の束じゃなくて、オロチ兄弟がきちんと働いて稼いだ300万が新太を救うのもすごくよかったですね。あのシーン、金平兄が新太に投げた2000円と楓士雄が財布から出したなけなしの2000円の対比もグッときました。ていうかキドラの金が1000円札ばっかだったのマジでリアルでしたね、そんなところだけすっごいリアルだぞハイローくん。ていうか、実際に楓士雄のきたねえ金発言、わかるんだけど正直「新太その金もらっとけ」みたいな気持ちあったじゃん。あれは火事場泥棒するじゃん。叩いて直しても経済問題解決してないじゃんって思ってたら、オロチ兄弟が解決してくれた。オロチ兄弟、初対面から村山さんに先輩面かましてましたけど、君らのほうが本当に大人だった。ありがとう。この幼馴染組も、なんというか九龍との抗争に進まずに平和に終わったザムで、新太は黒塗りの高級車に轢かれないし、きちんと戻ってきてきちんと解決して本当に良かったですよ……。
 で、新太って轢かれずに戻ってこれたノボルであり、耐久力の低い琥珀さんであり、お金を得て追放もされなかったシオンでもあるんですよね。まあそれって、新太には戸籍があって、周りの幼馴染組もきちんと身元も職もあるからできた部分もあると思うんですよ……。学生でもまどかはお嬢様学校に行けるくらいの経済力はあるし、誠司は将来有望絶望団地の希望だし。シオンはな、金が欲しくても身分がないから、碌な仕事つけないだろうしな、周り皆そんな子供かドロップアウトした大人ばかりだから頼れないしな……本当に戸籍は大事ですよ。戸籍、大事。これは新太ずるいっていう感情ではなく、今度こそ救われてよかったねって話です。ニンジャスレイヤーのアゴニィ回なぜか思い出してる。(なぜ)(最後に身を助けるのは身分だから)

誰かの卒業と誰かの始まりを同じ世界で丁寧に描いてくれたザワ、本当に紛うことなきMUGENだった……永遠に続くものはないけど、無限に引き継がれていくものはあって、団地幼馴染組も進路が別れてかつてサダばぁの店で遊んでた子供のままじゃいられないけども、確かに新太は戻って来て、彼らにはあの首飾りがあるんだよね……最後ですね、サダばぁのお墓の花が揺れるんですよね、それさ、ひょっとしてサダばぁが笑ってたのかなって思って私は映画館でめっちゃ胸が熱くなってました……おかえり新太……彼が罪をどう償うかはわからないけど、きっと大丈夫だと信じさせてくれるラストだった……

またなにもかも取り留めもない感想になってしまって、もっとそれぞれのキャラ語りとか熱かった点とかいろいろあるんだけど、とりあえず全体的に感動したところをまとめました。本当に書いてる途中でクソデカ感情が込み上げてきて、なんどもこれじゃないって思いながら書きましたが、ザワ。本当に最高でした。ありがとうございます。これは私からハイローくんへのラブレターです。ビッグラブをありがとう。ビッグラブでお返しします。今度はキャラとかシーン特化のただ熱かったシーンを羅列した感想を書きたいです。

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