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散桜鬼 其ノ先~ヴァサラ戦記二次創作~

ーーーー数日後ーーーー

「ヴァサラ軍を抜ける?」

「はい、あれから色々考えまして・・・
寺小屋を開こうと思うんです」

「寺小屋?」

「はい、村を追い出された頃の私には力がありませんでした
そしてそれを補うだけの知識も無かった
それ故お母さまを、罪の無い人達を自分の血肉とする事しか思いつかなかった
そしてショウキ君を、村を守れなかった」

「以前、ショウキ君がこんな事を言ってくれました
"お姉ちゃん、教えるの上手だね"って
"お姉ちゃんが本当に寺小屋の先生だったら良かった"って
あの時、"サクラ先生"って呼んでくれたの
嬉しかったんです」

「単純だなって思われるかも知れませんが
子供たちに勉学や武術を教える事を生業にしようと思います
これ以上、ショウキ君のような犠牲を増やしたくない
あの頃の私のやヒヨミのような醜い者を増やしたくない」

「それよりも子供たちが未来のヴァサラ総督やハズキ隊長のような人を目指す
その一助になれればと思うんです
身勝手ではありますが、これが私の夢です
どうかよろしくお願いします!」

「そう・・・
まあヴァサラ軍を抜ける事に反対はしない
でもサクラ、あなたは何か勘違いしてるわ」

「えっ?」

「あなたが自分で真剣に悩んで考えて
新しい夢や目標の為に自分の道を歩もうとすることを身勝手とは言わないわ
今までみたいに助けてあげることは出来ないけれど応援してる」

「ありがとうございます!
・・・本当に・・・何から何まで、お世話になりました!」

ーーーーーーーー

「そうか、淋しくなるのう・・・
じゃが、お前かこれから歩まんとするその道に何があろうと自分の力で切り拓くのじゃ
応援しておるぞ!」

「はい!お世話になりました!」

「うむ、達者でな」


ーーーーーーーー


あれから幾許の年月が流れた

ヴァサラ軍の訓練所ではヴァサラと次代を担う若き三人が今日も修行に明け暮れていた

「ヒィッーー!!死ぬぅーー!!」
「ハア、ハァ・・・もう動けないよ・・・」
「ああクソっ!修行はもう良いだろ修行はよー!」

「ならん!
若いモンがこれしきの事で弱音を吐くでないわ!!」

「「「そんなー!?」」」

「つってもよー!?
ちったぁ休ませてくれよー!?」

「そうですよ、ヴァサラ総督?」

「ん?」

ヴァサラが振り返った先に居たのは
黒髪を短く揃え桃色の清楚な和服を纏い
優しく微笑む一人の女性

「「「サクラ先生!!!」」」

「こんにちは、ヴァサラ総督」

「おぉっ! サクラか、今日は一体どうしたのじゃ?」

「どうしたのじゃありません!
修行に精を出すのは良いですけどそんなボロボロの状態でやっても身につく物も身につきませんよ?
お茶とお菓子をお持ちしましたので今は一息入れましょう?」

「わー!美味しそう!やったー!!」

「さ~すが、サクラ先生だぜ!」

「よっ!国一番!」

「え、えへへー
まぁね~」

「ったく、しょうの無い奴らじゃ・・・」

皆んなで盛り上がっている中、サクラは

「ところで・・・ハズキ隊長は」

「ちゃんと居るわよサクラ、元気そうね」

「ハズキ隊長!そちらこそお元気そうで」

「あなた、寺小屋の先生になってから良い顔してるわよ?」

「これも皆んなヴァサラ総督やハズキ隊長のお陰です
皆さんに会っていなければ、私は・・・」

「ハイハイ、暗い話はお終い
今のあなたには似合わないわよ
それよりお茶会するんじゃ無かったの?」

「そ、そうでしたね・・・
さあ皆さん、お茶会しますよー?」

「「「ハーイ!!!」」」

「サクラ、これからも今のままのサクラでいてくれよ」

「はい、総督の方こそ健康には気を付けて下さいね?」

「ふっ、お前にはかなわんのう」

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色々あった
絶望も出会いも悲しい別れも経験した
その一つ一つが私の力になった
この先どうなるかは想像もつかない
また辛い事に当たるかもしれない
でも今の私には力がある
それを正しく使う知識もある
私に出来ること
それは自身がこれまでに得たものを
これから出会うであろう全ての人や物事に還元する
それが私の新たな使命だ


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