組織構造
どのように組織作るか
組織の形や仕組みという視点
組織の形や仕組みとは、スポーツのフォーメーションに近いイメージであることを理解してください。組織に新しく加入したメンバーでもフォーメーションの形を見れば、自分が組織においてどのような役割を果たすべきであるかをある程度理解することができます。このような組織の形のことを組織構造(organizational structure)と呼びます。構造という言葉は、「さまざまな要素が関連しあって成り立っているもの」という意味があります。経営学を取り上げる企業組織は、多くの役割が存在し複雑なものになりやすいです。
組織をデザインする行為
一般に、企業において組織構造をデザインするのは組織のトップである経営者でしょう。その経営者が組織目的を達成するため組織の向上を形づくる行為を組織設計(organization design)といいます。企業は、組織設計をすることで経営資源は配置や配分を考えて組織設計を行います。組織設計と組織成果との関係は、企業経営のいて重要な枠組みと言えるでしょう。
組織を分けて整える
分業という組織を「分ける」方法
組織を分けることは分業(division of labor)と呼ばれてきました。すなわち、仕事を「分」けて組織や個人が担当することを意味します。分業には、二つのタイプがあります。一つ目の「機能別分業」と呼ばれるものです。このタイプの分業は、それぞれの機能をまとめ上げないとサービスや製品が完成しない場合に適したものです。
調整という組織を「整える」方法
一方、組織を整えることは調整(coordination)と表現されてきました。調整とは組織内で分業によって生じたさまざまな活動をすり合わせてそれらを連動されることを意味します。組織を存続させるために、分業と調整という二つのメカニズムは不可欠なものと言えるでしょう。
組織において調整を行うためにはどのようにすれば良いでしょうか。基本的には、組織内で異なる活動を行う個々人が直接話し合うことで調整は可能でにあります。しかし、組織の人数が多くなれば直接対話することは容易ではなありません。たった一つの意思決定を行うだけでも多くの時間が必要になってしまいます。
そこで、大きな組織では調整メカニズムを効果的、効率的にデザインする必要が生じます。その具体的方法として階層(hierarchy)と標準化(standardization)を挙げることができるでしょう。
階層とは、従来から存在している役割の上に設けられた、リーダーや経営者など意思決定や指示・命令を専門に行い組織におけるさまざまな活動を調整する役割のことです。組織において階層を用いることで、責任者が状況に応じて判断して的確な指示を出せば、メンバーたちが調整活動に多くの時間を割く必要がなくなります。
だだし、リーダー一人の管理の幅(span of control)、すなわち、コントロールできるメンバーの人数が限られていることに注意が必要でしょう。だとえ優秀であっても一人のリーダーが100人のメンバー全員に細かい命令を行うことは現実的ではありません。そこから、リーダーが常に指示を出し続けなくてもメンバー全員が与えられた役割を正確に果たせるような仕事の標準化が必要になります。
標準化とは、組織におけるさまざまな活動が結合されるように、仕事の手順や事務手続きを事前に決めておくことです。個々の組織メンバーが取り決めれた仕事手順(マニュアル)や事務手続き(フォーマット)通りに仕事を行えば、それぞれの活動は自然と調整されたものになるでしょう。
しかし、すべての仕事を前もって標準化することは困難です。また、必ずとも標準化された通りに物事が進むわけではないことを忘れてはいけません。標準化で対応できない状況では、階層による調整が重要になると言えるでしょう。このように組織設計を実施するためには分業と調整の両方をデザインする必要があります。