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【スプラトゥーン】もう一回大会賞品について考えてみよう ②結局イラスト景品はどうなんだ?【ガイドライン話】

導入

※序盤は①の記事と同じなので「本編はよ」って方は目次から「イラストを景品とすること」に飛んでお読みください

色々あってまた最近、様々な大会の情報を見させていただく機会があった。それ以外にも直近で何人かの人が賞品に関するやりとりをさせていただいて知見を得たので、大会の賞品に絞ってガイドライン的にアリかナシかを書いてみようと思う。
なお、この記事で特定の大会を攻撃する意図はないことは先に書かせていただきます。


ガイドラインのおさらい

ワードとしては「景品」

ゲーム大会における任天堂の著作物の利用に関するガイドラインにおいて実は「賞品」というワードは一度も登場しません。
ガイドライン中に出てくるワードは「景品」であり、これはガイドライン全体で10回ほど言葉として登場します。
これはおそらく「賞品」という言葉だとなんらかの賞を受賞した人に対するものになってしまうので、オフライン大会などでありそうな会場にこられた方に配るような品物等もその範囲に含める目的で「景品」という言葉が使われていると考えられるのが1点、そもそもこれに関連する国内法が「景品表示法」であるためこれを意識しての記載ではないかと思われます。

やや脱線しましたが、まず景品に関して最初に言及されている部分が以下です

そしてここで関連として示唆されているQ17で「別途指定する景品にできないもの」として指定されているのがこちらになります

景品に関して直接的な記載があるのはこの2点が主なところです。
では次にもう少し細かく見ていきましょう

そもそも「成人」である必要がある

先の記載の冒頭に出てきますが、コミュティ大会で景品を提供できるのは「成人の主催者」であることが前提とされています
このため、未成年の方がなんらかの景品を大会で提供することはそれ自体が既にガイドライン的にはよろしくないということになります

イラストを景品とすること

Splatoonのコミュニティにおいて前回取り上げたギフトカードの類よりも圧倒的に採用されているのが「優勝チームのインクリング(あるいはオクトリング)をイラストにして賞品として進呈する」というものかと思います。
これに関しては私は過去にもこの記事とかで触れていますが、そもそも論として「イラストを賞品として採用するのはやめるべき」だと私は考えています。
これを説明する上での大前提として知っていてもらう必要があるのが「二次創作活動は原則的には著作権の侵害に当たる」ということです。
以前リポストもしましたが、詳しく知りたい方は弁護士さんの監修のもとで書かれているこちらの記事が参考になると思います。

かいつまんで説明すると
・そもそも他人の著作物を二次創作してSNSのアイコンやヘッダーに使用するのは著作権侵害になる可能性があるよ(自分で書いたものでもそう)

・なんなら二次創作したものと人に配布したり販売したり、極端に言うとSNSにアップするだけでも著作権侵害になる可能性があるよ

という話です。
コミュニティで言えば任天堂の著作物であるSplatoonのキャラクター(ものによってはブキ/ギアなども)のインクリング/オクトリングを描くという行為ですね

あれ?じゃあなんでみんなやってるの?

ここで多分結構な人は思うんじゃないでしょうか「じゃあなんでSNS上にはあれだけ二次創作物が溢れているの?」って、「それにコミケとかスプラケットとか販売しているイベントもあるやん」と。
これに関しては詳しく説明しようと長くなるのでやや省きますが簡単に言うと

・第一に著作権法が親告罪(違反された側が違反した側を訴える必要がある方式)であるため、行為自体は違法であっても溢れかえっているすべてを訴えていく労力や体力という点から見逃されていることが多い

・二次創作の活動が原作の人気や売り上げに寄与するケースもあることなどから作品のイメージなどに悪影響を与えないものなどは黙認されていることがある

これでもまだややこしいですね。ちなみに日本の法律で定義されている犯罪はだいたいが非親告罪だそうです。つまりは罪を犯したことが明確であれば被害者側が訴える意志を示さなくても起訴されて法で裁かれるってことです。
後者については「お互いwin-winだから」って部分もあってある程度見逃されています。この2つの要素が絡んでいることもあり、二次創作作品は日本国内ではわりと寛容な状態となっています。
忘れないで欲しいのはあくまで「見逃されている」し、「寛容」なのであって先にも書いた通りそれ自体は原則に照らし合わせると違法だよ。ということです。

さて、法律的にはアウトだけど見逃されているから二次創作活動はグレーであるということが理解いただけたでしょうか。
ちなみに日本国内の作品でも二次創作そのものを禁じているものもあります。代表的なもので言えばキティーちゃんなどのキャラクターがいる「サンリオ」などはそうだと言われています。(参考
なので、極端な話を言えば任天堂側はSplatoonに関する二次創作自体を禁止することもできるわけです。権利者なので。
ここまでを念頭に置いて、改めてガイドラインで関連しそうな記載を見ていきましょう。ちなみに知的財産(権)というのは著作権を含んだものだと理解して読み進めてください。

基本的にはこれがすべてですがまずは以下の記載です

コミュニティ大会の「活動」を分割して抜き出すなら
企画→告知→集客→運営→表彰
およそこういった段階になるかと思います。大会の景品(賞品)としてイラストなどを進呈しているのですから、これも「活動」の一環であるということを否定できる要素はないと思います。「そうじゃないと」言える確かな根拠があれば教えてください。
そしてそれ(活動)に際して知的財産を使用することはできません。とハッキリ書かれています。先にも言ったように知的財産には著作権を含みます。
著作権を含むということはそれを使用している二次創作イラストは知的財産を使用しているという話になります。
この時点で、景品(賞品)としてイラストは提供できないと言い切ってもいいと思っています。
なおも言うならここでの定義は「活動」なので、告知物などに二次創作物のイラストなどを使用しているのも同じく該当するといっていいと思われます。

もう少し見ていきましょう。次はこの部分です。ここはもっと強い表現になています

前述したように二次創作は原則的には違法です。なので二次創作イラストを利用している場合、違法性があるということを鑑みると「Splatoonを利用して大会を行うのはダメだよ」という様に読めます。
なおも言えばこの「違法または不適切な開催内容であるものや、公序良俗に反するもの。」についてはガイドライン内でさらに以下のように補足されています

先の記載とつなげて読むと法的に違反してないという場合でも知的財産を侵害していたらゲームの利用は許可しませんという様に読めると思います。

私はこういった記事を書いている立場上、他の運営者の方から実態として様々な話を聞かせていただいているので上記に限らず確信をもって「イラストを賞品として採用するのはやめるべき」と言えます。
ここでは書けないこともあるので詳細は省きますが、逆にこれを否定できる明確な根拠がある人がいたら堂々と名乗り出て反論して欲しいぐらいの確信を持ってこの記事を書いています。
余談ですが先の「次のようなコミュニティ大会には、任天堂のゲームは利用できません。」という記載の下部には以下の様に書かれています

大会の中止を言い渡されるだけならまだしも、法的措置に出る場合もあり得ることも暗に示唆さているわけです。そして著作権侵害は親告罪です。
これは「目に余るような出るところに出ます」ということを表現しているようにも個人的には思います。ちなみにgoogle先生によれば著作権侵害の罰則は下記の通りです。

著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

一時の集客、名声、評価を得るために上の罰則が降りかかっても痛くないし後悔しないよって方はどうぞこれまで通りのスタンスを継続してみてください。少しでも「これは怖い」と思ったのなら、冷静になってください。賞なんかなくたって人が参加したくなる大会を開けばいいだけです。それをできている大会もたくさんあります。ブラックあるいはグレーなことに手を染めなくてもできるはずです。

今回の結論


法的にもガイドライン的にもアウトであるのだからイラストを賞品として採用するのはやめるべき」

じゃあ二次創作じゃなければいいの?って話についてはオリジナルであれば許容されるとは思います。ただ、コミュニティを見ていると「擬人化」などの結構スレスレの手段です。わかりやすいモチーフが利用できないのだからそれは止む無しではあるのですが、そうなるとやはりグレーな部分が残る可能性があります。
公式(任天堂)は独自の裁量で「それダメ」をいうことがある程度可能です。大会の景品として出す以上、それが付いて回る可能性を忘れないでください。

またそうでなくてもイラストを描く方への負担や時折見かける納品までの時間でトラブルになるなど大会の枠外でのいざこざも目に付きます。
そういったことも含めて「やめるべき」だと私は考えています。

そして仮に、二次創作イラストとして譲渡されたものから派生したトラブルが起きた場合、二次創作イラストが景品として蔓延することを任天堂が重く見た場合、コミュニティ大会だけに限らないSplatoonに関する二次創作全般を禁止するという措置が取られる可能性があるということも忘れないでください。本当にそんなことあるの?って人のために余談としてあるキャラクターに関してこれまで黙認されていた二次創作がトラブルをきっかけに禁止になった事例をご紹介しておきます。気になったら読んでみてください

それではまた次回の記事で。

かえるのピクルス

2021年に公式が出した声明から抜粋

当時何があったかを読み解けるポスト


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