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『20代の失敗酒場 ~迷走編集者の取材日記~』第10夜 パンキッシュなTシャツ屋を営むMUNEさん

こんにちは。
本誌連載企画「20代の失敗酒場」担当編集の笹渕です。

酒場ライターのパリッコさんと一緒に
様々な人たちの若き頃の失敗談を聞きまわる本連載。

絶賛迷走中20代編集者・笹渕の目線からの
「20代の失敗酒場」取材日記をお届けします。


Tシャツブランド「ハードコアチョコレート」代表
MUNEさん

「そういえば、若いころに億単位の借金を返済したっていう逸話をもっている人が僕の知り合いにいます」

次はどなたに取材をしようか……と考えていた時に、
本連載のライターであるパリッコさんがぽろっとこぼした一言。

お…億単位の借金……。
(今のところ)自分の人生では縁のない借金の金額に、つい一瞬思考が止まりました。
しかも、それを完済しているというのです。

どんな人生を歩まれてきたのか、とても、気になる……。

某日、東中野のとある居酒屋。
快活かつ豪快な笑顔で「今日はよろしくお願いいたします!」とその人は現れました。

今回の取材者は、
Tシャツブランド「ハードコアチョコレート」の代表であるMUNEさん。
ブランドは略して‟コアチョコ“と呼ばれ、
ホラーやカンフー、カルト映画やプロレスなど様々なモチーフがパンキッシュなデザインに熱狂的なファンが多い。

MUNEさんとパリッコさんはなんと20年来の知り合いとのこと!
お二人は再開して早々、
近況や世間話に花を咲かせ、わたしは話に入るタイミングを失う程でした(笑)。

お二人が盛り上がっている中で乾杯。
MUNEさん:ウーロンハイ、パリッコさん:生ビール、笹渕:プレーンチューハイ

MUNEさんは30代、パリッコさんは20代の時に、
共通の知り合いを通して出会ったそう。
それぞれの当時の第一印象を伺うと……?

MUNEさん「パリッコさんは、とにかくかわいい。俺だけじゃなくて、みーんな惹きつけられちゃうんですよ。大人数でわいわいがやがやと一緒に飲んでても、いつのまにか寝ちゃってて(笑)。そんでそういう時はテキトーなことしか言わないのが最高なんです」

……なんだかその場にいなくても想像ができる……!
いつも愛されキャラなパリッコさん、その当時から相変わらずな様子が伺えます……。
では、パリッコさんからMUNEさんの印象は?

パリッコさん「もうとにかく憧れのお兄さんみたいな。その当時からコアチョコのTシャツのデザインは、メジャーではできないことを堂々とやっていて。それがすごくかっこいいと思っていたのを憶えてますね」

目の前のお二人の様子を見ていてもまるで兄弟のようで、こちらも納得の第一印象。

チンチロを楽しむお二人。どちらももう1杯獲得ならず。

パリッコさんのように、コアチョコのTシャツデザインに魅了された人たちは徐々に増えていき、現在ではミュージシャンや芸人などの著名人にもフォロワーが多い唯一無二のブランドに。
若いころからMUNEさんは‟Tシャツ一筋“の人生だったのだろうか。

「学生のころからTシャツが大好きで、1日中原宿の古着屋見て回るのがすごく楽しくて。面白いデザインを見つけては購入して、集めてました。ただ、パンクバンドの活動にも力を入れていたのでアパレルで働くという考えはなくて。とはいえ、音楽だけでは食っていけないということもあり、高校卒業してから寿司屋で働いてたんですよ」

なんとまさかの寿司屋……!! 
就職先を特に決めていなかったMUNEさんは親からの誘いもあり、父親が経営する寿司屋で働くことに。
バンドの活動をしながら、一方で寿司屋では裏方からこつこつと経験を積んでいった。
その当時は特に不満もなく、寿司屋で働くのも楽しかったのだという。

しかし、その生活が一変したのはMUNEさんが20歳の頃。
父親が経営していた寿司屋の倒産。それに合わせて借金が膨れ上がり、当時家族で住んでいた家からも出ていかなければいけないほどの状況であったそうだ。

「結局、その時は10億円くらい借金はあったんですよね」

思わず身震いしてしまうような額……。
一家で多額の借金を抱えたMUNEさんは、借金返済を目標に働くことを決意。
「当時、寝る時間も惜しかった」と語る彼は一体どんな20代を送ったのか。
ぜひ今月号の本誌でご確認ください。
(くすっと笑える西村マリコ先生のマンガも一緒におたのしみください!)

~取材後~

取材が終わるとMUNEさんは颯爽と帰りの支度を始める。
「俺、この近くでバーもやっていて。この後はお店立たなければならないので!」。

そう。MUNEさんはTシャツ屋だけでなくここ東中野で「バレンタイン」というバーも経営している。パリッコさんもよく足を運んでいるのだとか。

今回、せっかくなのでわたしも「バレンタイン」デビューを果たしてきました。

先ほどとはうってかわってマスターとしてお店にたつMUNEさん。

店内はMUNEさんが愛する映画のDVDのパッケージがずらり。
すでに常連と思われるお客さんたちが並び、和気あいあいとした雰囲気。
最初は、そのカウンターのいかつい面々に恐れおののいていたのですが(すみません)、
私のような新参者も快く迎えていただきました。

お酒はもちろん、お通しの味噌汁(!)をはじめとしたフードも絶品でしたので、(特に「ネギパイ」は最高でした)
読者の皆様も東中野にお立ちよりの際はぜひ。

「バレンタイン」デビューだったわたしはお腹も心も大満足。
一緒に来たはずのパリッコさんが帰宅した記憶も朧げのまま、ついつい飲み耽ってしまったのでした。

「バレンタイン」
東京都中野区東中野4-2-1
電話:03-5330-8336
営業時間:20:00~28:00(火~土曜日)/
20:00~28:00(日曜日)
定休日:月曜日


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