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野良猫ミウからの伝言(4)

第四章 ともだち


「歌いつつ歩まん、ハレルヤー、ハレルヤー。歌いつつ歩まん、この世の旅路をーーー。」

あさになると、ボクのなわばりのこうえんから、にんげんたちのこえがきこえてきたんだ。

それから、ボクは、はこ車【作者注・自動車のこと】にのって、みんながでかけていくのをみていたんだ。

それから、ボクは、きょうやる ことをかんがえていた。それは、いつも魚をくれるあのにんげんに、はなしかけてみることだった。テントのにんげんは、わるいやつらじゃなくて「おしかけす けっと。」なんだから、ボクもすこし、きょうりょくしてやろうとおもったってわけ。だって、うみのほうでは、おそろしいことがおきたってはなしだし、にんげん だってこまっているらしいから。

ゆうがたになって、みんながかえってきたんだ。

さいごに「せんせい」とよばれている、いつも魚をくれるにんげんが、かえってきた。ボクはすわって、まっていたんだけど、その「せんせい」はボクをみつけると

「おう、ミウ。待っていたのか。よし、缶詰をやるからな。」

といったんだ。ぼくは「にゃあ【こんにちは】」とあいさつ してみたんだ。

「おう?何だ?話しかけてくれるのか?野良猫が話すようになったら、それは心を許した証拠だな。ミウ、どうだ元気か?」

「にゃあ【げんきだよ】」

「そうか。よかったな。こっちはもう暑くてへとへとだよ。」

「にゃあ【そうなの】」

「そうなんだよ。でも、まあこんなに、たくさんボランティアがいる からな、大丈夫ってわけだ。」

そのとき、ボクは、その「せんせい」のズボンにあたまをつけることにしたんだ。猫族のあいさつは、あたまをゴチンとやって、じぶんの においを、あいてにつけるってことなんだ。そうすれば、ともだちなんだ。

ボクがあたまをつけると、「せんせい」は、ぼくのせなかをなでながら、

「おい!ついに友達に なったな!おーい。みんな見てくれ!ミウの餌付けに成功したぞ!ほら!」

ボクはべつに、えづけされたわけじゃないんだ。ただ、にんげんと、ともだちになろうっておもっただけなんだ。

「ミウ。そうか、そうか。お前もこれで半野良猫ってわけだ。もう噛み付かないだろうな?」

「にゃあ【そんなことはしないよ】」

「そうか、これで友達ってわけだ。まあ、よろしくな。」

にんげんに、くびのまわりをさわられるのは、うまれてはじめてだったけれど、そのとき、おかあさんに、なめてもらったときのことをおもいだしたんだ。それは、くすぐたったくて、でも、とってもゆったりとしたきもちになったんだ。

>第五章



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