アントニオ・ノセリ「救世主イエスと悪のキリスト最後の闘い」(最後まで読んでないけど、とんでも本なのかな?)
(検証されてることなのか分からないけど)
その死に様は筆舌につくしがたいものだ。イエスの心臓が脈打つたびに、釘で打ちつけられた両の掌の傷口から絶えることなく生温かい血が噴きだした。
それが褐色の川の流れにそって腕を伝い、胸にまでたっしていた。 傷口は紫色に変色し、自らの重みでまわりの筋肉が裂け、じわじわとひろがっていく。手首は自らの重みで関節が脱臼してのびきり、かろうじて筋肉だけでつながっている。そのままにしておくと、胸筋が引っ張られ、窒息死してしまう。
腰にあてられたセデクラ(小さな腰かけ)が、崩れ落ちようとするイエスの体重を支えて、窒息するのを防ぐ。だがそれは、苦痛が長くつづくことも意味している。 苦痛を長引かせる仕かけは、左足の上に右足を重ね、その上から釘を打ち込んでとめた両の足にもなされている。
両足とも「く」の字に曲がるよう釘が打たれている。胸筋が引っ張られて息苦しくなると、イエスは両の掌に打ち込まれた釘の痛みをこらえて自らの体を引き上げる。 「く」の字に曲がった足がのびる。両の掌の激痛と引換えに息苦しさが去る。 だが、それも一時である。
しばらくすると掌の激痛に耐えられなくなる。 イエスは腕をのばし、足を曲げて体をずり下ろす。自らの重みが足の傷口にかかりはじめ、激痛が尻から背筋を突き抜ける。すると再び息苦しさが襲ってくる。
午前九時にはじまったイエスの処刑はすでに五時間を超え、春の陽は真上を通り過ぎていた。やがて西の方角に傾きはじめるころには、イエスはすっかり憔悴しきっていた。肉体から浮き上った肋骨は、今にも蒼白の皮膚を突き破って飛びだしそうだ。
―――輝いた目は、今は力なく閉じられている。 愛の言葉を失った口腔からは、代わって血が吐きだされている。
――「私の神よ、私の神よ、なぜ私をお見捨てになった」
――午後三時──処刑開始から六時間。イエスは動かなくなった……。
わ〜い!😄