「グノーシス」筒井賢治

(プトレマイオスの場合のグノーシス)
プトレマイオスによれば、最初に至高神と「エンノイア」なる女性的な存在がペアをなし、そこから順次、「アイオーン」と総称される神々がそれぞれ男女のペアで流出し、「テレートス」と「ソフィア」(知恵)のペアに至るまで、合計三〇のアイオーンが成立する。(詳しく知りたいが調べてない)
こうして「上位世界」に相当する「プレーローマ」という安定した組織が完成する。
ただし、この中には一定の階列関係があり、至高神を直接に眺め、知ることができるのは至高神から直接に流出した「ヌース」(叡知)というアイオーンだけであり、その他のアイオーンは至高神を見知りたいとひそかに願いながらも、それぞれ自分の位置にとどまっている。

だが、最下位のアイオーンであった「ソフィア」が、大胆にも、至高神を直接に知ろうと企てたのだという。当然、この企ては失敗し、ソフィアは絶望のあまりプレーローマから転落しかかってしまう。そこへ「ホロス」という存在が登場して彼女の転落を食い止め、過ちを悟った彼女は、心に抱いていた自らの「情念」を切り離してプレーローマの外に捨てる。 こうしてソフィアは救われ、プレーローマ内の元の位置に落ち着くのだが、他のアイオーンが同じようなパトスにとりつかれて再び離反事件を引き起こすのを未然に防ぐため、ヌースから新たに「キリスト」と「聖霊」のペアが流出し、至高神の不可知性をあらためて各アイオーンに通達する。それによってプレーローマ全体に安息がもたらされる。他方、この「キリスト」がプレーローマの外に投げ捨てられているソフィアの「情念」を哀れみ、それに形を与える。そしてこれが創造神の、そして人間を含む「この世界」の起源になる。(ヤルダバオートやデミウルゴスはどこいった?)

ソフィアの「情念」はあくまでソフィアというプレーローマ構成員から出たものであり、そのため、わずかとはいえ、プレーローマの要素が混入していたのである。これが、今でも人間の肉体に閉じこめられて解放を待っている「霊魂」「本来的自己」「光の粒子」にほかならないということになる。
その後、プレーローマからキリストが派遣されて覚醒ないし自己認識(グノーシス)を呼びかけ、それに応えた霊魂たちがプレーローマへと次々に帰還する。これが完了すると、物質世界は燃え尽きて消滅することになる。

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ダビデの詩
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