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マイルス・デイビス

生まれてから50年以上に渡り殆どロックばかり聴いてきた。ビートルズに始まって以来、死ぬまで音楽の底なし沼にハマったままで生きていく。そんなロック野郎の僕のマイルスにハマった話。

音響 鈴鹿市
1975年の来日コンサートのライブアルバム「パンゲア」

実はロックから離れた時期がある。1970年代後半、セックスピストルズが衝撃のデビューを果たし、世の中はパンクにニューウェーブ。まもなくYMOが大ブレイクすると、世の中は「長髪のむさ苦しいロックは時代遅れ」とロック受難の日々が続き、パンク、ニューウェーブ、テクノ以外は影を潜めたようになった。そんな当時の流行り音楽が嫌いで、クロスオーバーを経てジャズを聴いていた時代があった。そんな中でマイルスのアルバムは数枚買って聴いていたんだけど、その良さがわからず、復活後のコンサートも行ったんだけど、あまり感動しなかった。
やがて僕の嗜好は再びロックに戻り、マイルスを聴くことも無くなった。
一昨年だったか、Primeミュージックでたまたま聴いちゃったのがこの「パンゲア」だった。「ジャズをやってたマイルスが電気楽器を取り入れて新しいことを始めた」程度の認識しかありませんでした。真のファンの方ごめんなさい!「マイルスのフュージョンなんてもういいや」とも思ってました。大間違いでした。
これまでの常識がぶっ飛んだ瞬間でした。ビートルズを初めて聴いた時のような衝撃でした。ジャズとかロックとか、音楽をカテゴライズしてしまう行為の意味のなさを実感してしまいました。ビートルズとの出会いを「衝撃」とするとマイルスの「パンゲア」との出会いは「革命」ですね。

音響 鈴鹿市
マイルスのハコ

そうなるとマイルスのアルバムをすべて聴いてみたい衝動に駆られてしまうのは自然の流れ。誰が責められましょうか。1991年に亡くなったとはいえ、膨大なアルバムをリリースしていることはなんとなく知っていた。「長い修行になるぜ」そう覚悟してたところに、こんな便利なハコがあることを知るのでありました。「Miles Davis The
Complete Colombia Album Collection」最もリリース量が多いColombia時代のアルバムをすべてまとめたハコ。まともに買うとやはり高いんだけど、こういう時に聞こえてしまうのが悪魔の囁き。たまたま流し見していたメルカリで「箱に傷ありのためジャンク」ということで嘘のような金額で出品されていて、迷うことなく購入。まさに長い旅が始まったのです。

音響 鈴鹿市
ハコの中身。全部紙ジャケ

そうなると当然ですが、Colombia以前のマイルス(プレステッジというレーベル)や晩年のWarnerの時代も聴かなきゃ!更にはレア音源の入ったボックスも…。はい、ご想像通りすべて揃えてしまいました。こうしてどんどん抜け出せない沼に自らハマっていくのでした。そして乱心は続きます。「やはりライブの先が読めないスリルを感じたい」そう、公式のライブアルバムは編集が施されていることがあり、正真正銘のライブとはちょっと違うのね。そうなると当然の成り行きですがブートレグ、いわゆる海賊盤にたどり着くわけです。
だった2年で「マイルス者」となって行ってしまったわけです。その後すべてのアルバム音源をiPhoneに入れて、頭から聴き直す、いわゆる「荒業」に入りまして…。移動時間などの空き時間に聞いていたので、聴き終わるまでに半年以上要しました。
マイルスの音楽ってどんな音楽?音楽を言葉で表すなんて実に無粋なことだしナンセンスなこと。だけど敢えて表現すると「ジャズでもロックでも、ファンクでもブルースでも、もちろんクラッシックでもフュージョンでもない。でもすべての音楽の要素を含んでいる、マイルスデイビスの世界」としか言いようがない。

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