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ラジオドラマ「志筑忠雄伝 出島から地球を見た男」を絶賛します。

2019年5月26日正午からNBCラジオでオンエアされたラジオドラマ「志筑忠雄伝 出島から地球を見た男」は、脚本も演出も工夫のあるいいドラマでありました。

もちろん、資料が少ない伝説の通詞を紹介するドラマなので内容が総覧的になるのは仕方ないのだが、それでもビンビン伝わってきたのは

・出島は、長崎弁とオランダ語で世界情勢と先端学問が語られる憧れの超情報空間であった(ゆえに江戸や大坂の学者がか訪れたがった)。

・志筑忠雄は、単なる通詞(通訳・翻訳家)ではなく、さまざまな外来図書の内容を比較しながら、体型的に日本語化し、バラバラに入ってくる海外情報を学びやすい情報環境を作った大編集者だった(ゆえに、日本では科学と哲学の間の壁が低くできた)。

この二点は、長崎あり、出島ありて生まれた成果で、さらに言えば、大坂・江戸の蘭学の基盤整備をしたのは長崎だった、ということを示す。

これを、脚本担当の村山仁志さんはど真ん中に据えてドラマ化したのだ。さすが、SFファンタジー作品を何冊も出した小説作家だと思う。地元紹介の小さなドラマにまとめなかった、創作者としての『欲』を感じる。素晴らしい。

しかし、こんな特番を、たいした宣伝もしなかったNBCは欲がなさすぎです。私ならこれ一本でNBCを全国区に打ち出しますよ。低予算で(笑)。もともと企業PR出身ですからね。あまりにもどかしい!地方局が生き残るには、全国、全世界を目指すしなないのです。日本のGranada TVになっていただきたい。佐世保にはそんなテレビラジオショッピングの成功者がいるではないですか。

歴史は、リサイクルされて始めて『未来』にうまれ変わりますが、そのためには『語り継がれるべき物語』にすることが必要です。実際、江戸時代の大坂では、起きた出来事を、リサイクル・編集して物語化し、それを芸能者が拡散することで、社会全体が共有する『文化』に加えます。そこからあらゆる商売も栄えます。

どうかNBCが、これを期に長崎・佐賀の司令塔となりますように!

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