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『午前0時のラジオ局』のTRNラジオを推理する(2) 社内の特殊な組織構成と、蓮池局長の巨大な権限。

しまった!
大きな見落としをしていた!

TRNラジオは現場スタッフが昼間詰めているだけのサテライトスタジオ並みの施設ではないかと踏んでいたのだが『事件記者 星乃さやか〜』の105ページをみると、星乃さやかの上司として『蓮池洋二郎ラジオ局長兼ラジオ報道部長』が登場する。

つまり、TRN放送会社にはラジオ局という、組織上の『局』があり、また、TRN放送会社にはラジオ報道部がある、つまり、テレビ報道部もあり、ふたつは基本的に連動的な別働体制にあるのだ(その証拠として『事件記者〜』249ページには、ラジオ報道部所属の星乃さやかが、テレビ報道部に取材に関する報告をいれ、ラジオ報道部にも原稿を送っている)。実はラジオ局はもう少し大きかったのだ。

この『ラジオ局』とはどんなセクションだろうか。ここで、TRN放送会社の組織について推理しよう。

トップに近い部分の組織については不明だが、少なくとも社内には
・ラジオ局
・テレビ局
・報道局
・技術局
・営業局
・事業局
・総務局
があるようだ。事業、総務は局ではなくいきなり『部』かもしれない。

放送局につきものの編成局や制作局が抜けていることにお気づきくもしれないが、実はそこが重要な鍵となる。

つまり、上記のテレビ局には
・テレビ編成部
・テレビ制作部
があり、ラジオ局には
・ラジオ編成部
・ラジオ制作部
があるとみるのが妥当だ。これは、この局の成り立ちに関係するかもしれない。なかなかに複雑な機構だ。

機動力をあげたり、規模を抑えるために、たとえば仕事上の関連性があるセクションの長を兼任にすることは珍しくない。星乃さやかの上司として『ラジオ局長兼ラジオ報道部長』がいるのはそのためか。局長と、別の局の部長を兼務しているのは、指示系統からすればおかしな話だが、ラジオ報道部長は、報道局から管理上委託されたものと考えるのが妥当だろう。

『蓮池洋二郎ラジオ局長兼ラジオ報道部長』は、TRNラジオの編成・制作に大きな権限を持ち、かつ、ラジオ報道に関する責任と決定権を持っている。つまり、TRNラジオ全体の事実上のリーダーであり、このラジオ局は、この一人に事実上委ねられていることになる。これは事実上の社内カンパニーか、ワンマン体制になるギリギリの体制だが、もちろん、そのくらいの圧倒的な決裁権がなければ『午前0時のラジオ局』シリーズは前提が成り立たない…おっとっとーい。ネタバレ注意だ。危ねぇ。

『事件記者〜』を読まなければ、この放送会社の重要な鍵は開かれなかった。本編三冊とは別の筋立てだが、研究者には必携だ。


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