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極東放送(沖縄のキリスト教放送局)の経緯、アメリカとの関係

●いわゆる「極東放送」は、沖縄県浦添市に本社を持つ放送局を指すが、その実体は時代によって4つに分けられる。


1)Fer East Broadcasting Company沖縄放送局(米国法人)

・通  称 極東放送
・コールレター FEBC
・設  立 1957年9月
・解  散 1977年

KSAB 日英両語による放送から英語専用波
KSDX 日本語(地元向け) 1957年9月
KSBU 中国語(中国本土及び東南アジア向け放送)
VOAオクマ送信所敷地内から大出力放送を実施



2)財団法人極東放送 (米国法人)

・設  立 1970年11月12日(琉球政府に提出)
・移  管 1972年5月14日(領土返還に付)

KSAB 英語専用波
KSDX 日本語
KSBU 中国語


3)財団法人極東放送(日本法人)

・コールレター KHR
・移  管 1972年5月15日(「電波法に関する特例」により)
・解  散 1978年4月24日(廃局)

JOFF KSAB(英語波)から変更
特別措置として米国法人のままで1977年まで継続認可
同日、JOFFに変更。
1977年5月14日放送終了
JOTF KSDX(日本語波)から変更
但、1972年5月15日~6月20日(予備免許交付の日)は事実上の無免許状態
※中国語放送は返還と同時に廃止


4)株式会社極東放送

・コーレター KHR
・設  立 1978年3月27日(登記)
・解  散 1984年

JOTF 財団法人極東放送の放送を継承
※JOTF-FM FM沖縄開局までの準備段階。幻のコールサイン。



略史 †

FEBC OKINAWAの時代
1957年9月20日:米国民政府、米国法人・極東放送にKSAB局の設置を認可。
1958年2月:KSAB放送開始
06.00~08.00 日本語番組
08.00~21.00 英語番組
21.00~23.00 日本語番組
1959年3月:KSDX局放送開始
KSABは英語専用波、KSDXは日本語専用波となる。
1961年1月:KSBU局放送開始。中国語専用波。
Voice Of Americaのオクマ(奥間)送信所から大出力の中波放送を実施。海外向け放送。
1970年11月12日 財団法人極東放送(米国法人)設立。琉球政府に提出
1972年5月14日 領土返還に付移管
1972年5月15日 米国から日本への領土返還。
1972年5月15日 財団法人極東放送(日本法人)設立
「電波法に関する特例」により移管。
KSBU局廃止
英語専用波は特別措置として米国法人のままで1977年まで継続認可
コールサインをJOFFに変更。
日本語専用波は日本法人となるまで仮放送を認可
手続上の問題でこの間、5月15日から6月19日までは事実上の無免許放送。
1972年6月20日:極東放送(旧日本語専用波)に予備免許(JOTF)。
1972年12月15日:財団法人極東放送(日本法人)設立。
JOFFおよびJOTFの放送を継承。
1977年1月15日:FEBC沖縄放送局(米国法人)廃局。
1978年3月27日 極東放送株式会社登記完了
「株式会社極東放送」による開局を申請し、4月21日予備免許。
1978年3月31日:「財団法人極東放送」郵政省に廃局届を提出。
1978年4月24日 財団法人極東放送解散
1984年(昭和59)9月1日:JOTF局放送終了。廃局。
廃止に先だって「極東放送FM局」を申請。
認可後、FM沖縄に事業を譲渡し、8月31日開局。
9月1日午前0時の時報の後、放送内容を引き継いだ。


極東放送と米軍の関係について 

 アメリカからの沖縄返還にあたり、既に3社も存在していたラジオ放送局、特に海外資本で設立された極東放送の放送局をどうするかという事が問題になった。
 このページでは、1971年の国会議事録から、極東放送が米軍の心理作戦部隊と連携して世論操作などを行っていたのではないか、という疑惑に関する部分を取り上げ、米軍敷地内に放送設備を有していたこの放送局が抱えていたさまざまな事情に関する資料の一部としたい。


第067回国会 沖縄返還協定特別委員会 第5号 昭和四十六年十一月十五日(月曜日)午前十時七分開議 †

本日の会議に付した案件
 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

     ――――◇―――――

○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。大出俊君。
○大出委員 前回の質問の軍用地問題に関しまして、山中総務長官から御答弁がございましたが、冒頭に軍用地の問題について防衛庁と総理府の関係を明確にしておいていただきませんと、私のこれからの質問がそこに関連をいたしますので、山中総務長官にまずもって、沖繩対策特別委員会の席上で中谷質問にお答えになりまして、公用地の問題はわがほうに関係はないということをおっしゃっているのでありますけれども、その間の事情について御答弁をいただきたいのであります。

(中略)

○大出委員 いまのお話の中に、飛行場とか道路とか公社用地とかいうふうなものについては強制収用の必要がない、こう考えておったというのでありますが、実際には、沖繩復帰以後を含めまして、何も公社であるとかあるいは道路であるとかいうのが必ずしも――関係はありますけれども、防衛庁の所管ではない。にもかかわらず、公用地というものが頭に乗っかってきた。そうなりますと、たいへん大きな問題でございまして、西村さんのほうは、ずばり言えば、所管である自衛隊用地あるいは軍用地の強制収用というものをお考えになるのなら話はわかる。しかし、そこに公用地というものをくっつけてきた。山中沖繩担当大臣のほうは、いわゆる公用地についてはその必要はない、こう考えていた、こういうことが実は明白になったわけでありまして、山中さんの筋から言えば、本来、防衛庁は公用地なんというものを冠して法案をつくる必要はなかった、こういうことに実はなるわけでありまして、この点をひとつこの際明確にしておきたいと思うわけであります。
 その上で、時間の関係がございますから、順次御答弁を賜わりたいのでありますが、残った問題といたしましては二つ問題がございまして――私の質問通告は五点に及んでおりますけれども、そのうちのちょうど二つ論議をいたしました過程で、皆さんのほうで、検討させてくれ、統一見解をと、また、資料がない、こういうふうになりまして、以下に入れないままに途中で継続になっているのであります。このお出しいただきました「第七心理作戦群と琉球通信」、こういう文書がございますが、これは何か御説明の要はございませんですか。このまま読み流せばそれでいいというつもりの資料提出でございますか。
○福田国務大臣 できるだけ詳細な資料と存じまして作成したものでありまして、御一読いただきますればそれで御了解願えるものだ、こういう前提の資料でございます。
○大出委員 もう一ぺん、せっかく御答弁いただきましたから、外務大臣に承りたいのでありますが、これは舌足らず、あるいはこれは少し簡単過ぎたなどというふうなことはございませんですか。間違いございませんな。
○福田国務大臣 できる限り詳細にかつ正確にと、こういうふうな趣旨でございますが、なお御疑念等がありますれば、御質問願えますればできる限りのお答えを申し上げます。
○大出委員 これはできるだけ詳細にといって、一枚と五分の一くらいですな。三下り半というのは三行半ばそうですが、これはちょっと多いですけれども……。どうも私、三下り半を突きつけられたような気がするのでありますけれども、それを称して、大臣は、できるだけ詳細に――どうもずいぶん不親切きわまる御答弁だと思うのでありますけれども、ほかならぬ福田さんですから、がまんします。
 ところで、承りたいのでありますが、金城五郎さんという方がおいでになりますが、これは極東放送の解説を六時十分からおやりになっている方であります。沖繩の皆さんのほとんど知った顔になっております。この金城五郎さんの、つまり身分と申しますか、この方は極東放送の解説をやっておられるわけでありますが、この方は一体どういう人でございますか。
○福田国務大臣 琉球通信という個人企業の責任者である、さように聞いております。
○大出委員 せっかく詳細にお調べをいただいたそうでございますけれども、第七心理作戦群第十五分遣隊の、私が指摘をいたしましたジャパニーズ・ブランチ、この方々を含む分遣隊の名簿というものがございます。私持っておりますが、これをお読みになったことがありますか。
○福田国務大臣 私はまだその名簿は見たことはございませんです。
○大出委員 せっかくここまで機構図――これはずいぶんそっけない文章だと思うのでありますが、外務省型でございましょうから、がまんいたします。ここに第十五心理作戦分遣隊、電子技術部、印刷物宣伝部、ラジオ宣伝部、このラジオ宣伝部の中に、韓国語班、中国語班、日本語班、スタジオ班、情報分析班、こうなっておるのですね。これはインフォーメーション・インテリジェンスなんと、下のほうの原文には書いてあります。ところが、日本語班というのがここにありますが、あなたのほうでここにお出しになった資料からして、琉球通信の職員である、こういうふうにお述べになっておるとすれば、何で一体第十五分遣隊の日本語班の中の名簿に明確に金城五郎君が書いてあるのですか。でたらめを言っちゃいけませんよ。私は持っているんだ。
○福田国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
○吉野政府委員 お答えいたします。
 金城五郎さんはこの琉球通信の社長でございますが、同時に、第七心理作戦部隊と契約を結びまして、これは一年ごとに更新されておりますが、そこで日本語ないしはその他のあれをやっておる。この琉球通信の企業の中で、九人の日本人が、いわゆるコントラクト・エンプロイ、こういう形で第七作戦部隊の仕事をやっております。しかし、これらはあくまでも契約に基づく関係でありまして(「雇用契約か」と呼ぶ者あり)さようでございます。そこで、いずれにせよ、軍人軍属のごとく第七心理作戦部隊自体の職員ではございません。
○大出委員 だから私は大臣に、言い足りないこと、あるいはまた、つけ加えることはございませんかと聞いている。十月の一日現在の名簿がここにある。英文で横に書いてあります。この名簿の中に、いまおっしゃったのは私もここに原文を持っておりますが、この中に雇用契約がちゃんと歴然としている。雇用契約を結んで九人の方々を日本語班の職員に入れている。職員名簿と書いてある。職員であることに間違いないから職員名簿に書いてある。雇用契約がいずれのものであれ、エンプロイという形を明確にして職員名簿に載せている。載せている限り、職員だと考えるのは常識じゃないですか。つまらぬ言い抜けをする必要はない。だから、私がこの間から申し上げているのは、事実は事実として認めたほうがよろしい。相手があるんだから、うまくいかないということだってある。あるから、そのことは率直に申し述べて、相手があってうまくいかぬ、だからひとつ各党協力をして、疑わしきものは晴らさなければいかぬのですから、きちっとこれは疑いなくこうだということにして、その上で沖繩の皆さんの気持ちなり国民の皆さんの気持ちなりというものを、どういうふうに疑念解決のためにわれわれは努力するかという、そこが私は取り組む姿勢の一番ポイントではないか、こう言っている。にもかかわらず、何であなた方は職員名簿に載っかっている者を職員じゃないと言うのですか。名簿を出してください、全部。そんないいかげんなことがありますか。
○吉野政府委員 先ほど提出いたしました書類の注に書いてあるとおり、「琉球通信は上記契約関係以外第七心理作戦群と組織上全く関係がなく、社長、従業員とも同群の雇用員ではない。」(「雇用契約があればいいんじゃない」と呼ぶ者あり)これは業務契約でございます。業務契約でございます。これは英語ではコントラクト・エンブロイと書いてありますが、これは法律的には正確な表現ではなくて、あくまでも業務を契約して請け負っておる。したがって、これらは……
  〔発言する者あり〕
○櫻内委員長 静粛に願います。
○吉野政府委員 第七心理作戦部隊の職員ではございません。
○大出委員 だから原文の名簿を出してください。職員名簿と書いてあります。したがいまして、コントラクト・エンプロイ、それはわかりますよ。わかりますが、それは明確に雇用契約なんです。だから職員名簿と書いてある。十月一日現在。お出しください。出していただきます。
○吉野政府委員 たびたび御説明したとおり、これはあくまでも業務契約でございます。したがって、これらの九人の日本人は琉球通信の職員である。したがって、第七心理作戦部隊の職員ではない、こういうことでございます。
○大出委員 私の手元にある資料に基づきますと、さっきから申し上げておりますように、本年十月一日現在、第十五心理作戦分遣隊放送宣伝部名簿、こういう文書であります。第十五心理作戦分遣隊放送宣伝部名簿、十月一日現在。この中に明確に載せられています。これが間違っているというのならば、いまの御主張はわからぬわけではない。間違っていない限りは、第七心理作戦部隊の職員である。あたりまえであります。だから、あなたのほうもお調べになったとおっしゃるのだから、足らぬことはないのかと私は聞いているのだから、お出しください。その上で論議しましょう。 ○吉野政府委員 いずれにせよ、第七心理作戦部隊が……
  〔発言する者多し〕
○櫻内委員長 静粛に。
○吉野政府委員 先方の自分の目的のために名簿をつくって出したとしましても、それはわれわれの関知するところでございませんが、しかしながら、琉球通信のこれらの九人の名簿を提出いたします。
○大出委員 琉球通信の九人の名簿を出してもらったってしようがない。意味がない。私が申し上げているのは――念のためにもう一ぺん言いますが、何べん言わせればいいのですか。第十五心理作戦分遣隊放送宣伝部名簿、本年十月一日現在。出してください。横文字で書いてありますから、横に。もっとも横文字は横にしか書けぬけれども。出すのですか、出さぬのですか。
○櫻内委員長 大出君、資料要求ですか。
○大出委員 はい。とにかくいまの答弁は、琉球通信の職員でない、エンプロイと書いてある、そう言ってみても、私の持っている名簿に明確に載っておるものを、幾ら否定されたって、そんなこと信用できるはずがないじゃないですか。あなたが雇っているのじゃないのだよ。第十五分遺隊が雇っているのだ。君が雇っているのじゃないのだ。出しなさい。
○櫻内委員長 大出委員に申し上げますが、先ほど来、質疑応答が行き来しておるようでございまして、大出委員の資料要求のことでもございますから、後刻理事会においてこれを取り上げて御協議申し上げます。そういうことにしたい。
○大出委員 せっかくお出しをいただきました「四十六年十一月十五日、外務省」ということで、「第七心理作戦群と琉球通信」といわれてお出しになった資料のポイントが、金城五郎君という人は第十五分遣隊の職員ではないということに尽きるのです、この中身というのは。これが該当のポイントなんです。その名簿は私が持っている。第十五分遣隊職員名簿なんです。だから、それをお出しにならぬで、いずれにせよなんて言われてみたって、いずれもへちまもない。せっかくお出しいただいたこの資料のポイントはそれしかない。第十五分遣隊の職員であることは間違いない。やっていることをこれから言うけれども、私は実はここからはほんとうは審議したくないけれども、せっかく委員長のおっしゃることだから、もう少し聞きましょう。
 金城五郎氏が、第十五分遣隊、この中のジャパニーズ・ブランチ、ここのジャパニーズ・ブランチの名簿に明確に載っている人、この人が極東放送のニュース解説をやっているというのはどういうわけですか。どういう資格でやっているのですか。
○福田国務大臣 極東通信と金城五郎氏のこの企業、この間にそういう契約があるのだろうと思います。現実の問題といたしましては、極東通信に対し金城五郎氏は資料の提供をいたしておるようであります。
○大出委員 どうも福田さん、気をつけてことばを使ってくださいよ。極東通信なんというものは世の中にないのだよ。
○福田国務大臣 極東通信というのは、極東放送の誤りであります。
○大出委員 つまり、大臣、これは常識でお考えいただけばわかるでしょう。おおむね七、八年も六時十分からニュース解説をずっとやってきている金城五郎さんという人は、だれが考えたって、極東放送のれっきとした職員であり、解説員ですよ。そうでしょう。一週間や十日やっているのじゃないのだ。長年にわたってニュース解説をずっと担当してきておられる金城五郎さん、この方が極東放送の解説員であり職員であることぐらい、だれだってわかる。常識ですよ。いいですか。その方が第十五分遣隊の職員名簿に載っかっておって、そこでニュース解説その他のいろいろなものをつくっておられるということになるとすると、第七心理作戦部隊の中で、しかも同じ建物で、一体これはどういう関係になっているのですか、第七心理作戦部隊と極東放送は。これは常識であなたに御判断願えばわかるじゃないですか、こんなことは。だから、そういういいかげんなものは認めるわけにはいかぬと言っているのだ。 ○福田国務大臣 常識で判断しますと、琉球通信というものは、第七心理作戦部隊、これと同じビルにおるわけです。そうして、いまあなたと吉野局長の見解が違いますが、いろいろ深い関係がある。それが同時に極東放送に対して資料も提供しておる、こういうことははっきりしておるのです。そういう関係でございます。 ○大出委員 またそういういいかげんなことばかり言う。琉球通信というものはいつできたのか、あなたは御存じですか。前は何といったか知っていますか。 ○吉野政府委員 一九五六年以来第七心理作戦部隊と業務契約を毎年結んでおります。
○大出委員 外務大臣、外務大臣は第七心理作戦部隊の構成図その他をごらんになってお調べになったことがございますか。
○福田国務大臣 詳細に調べたことはございません。ただし、私どもの政府委員においては調査をしております。 ○大出委員 琉球通信というものをまん中に置いた形をとって、そして極東放送が、平日は一日八回、日曜日は六回、ニュース、ニュース解説、今日の暦から以下原稿をつくるところはどこかというと、第十五作戦分遣隊の九一〇号という建物で、日本語をまず英語に翻訳をしてニュースB、ニュースFというふうに記号をつけていきまして、これを第十五分遣隊の責任者アレックス・ヨリチのところへ出して、その上に責任者もう一人おりますが、ここでおのおの点検をし許可をする、こういう形をとって、これを極東放送に持ち帰って、ここで金城五郎さんが、事もあろうに、また自分でニュース解説をする、こういう仕組みをつくった。この仕組みが、実は第七心理作戦部隊がとっている灰色の宣伝という部類に入っている。これはサイミントン報告に明確になっている。いま大臣がここでいみじくもおっしゃった形、いま局長がお答えになったこと、これが実はサイミントンの議事録の中に明確になっている第七心理作戦部隊がやっている灰色の宣伝、こういわれるものなんです。
 第七心理作戦部隊には三つの宣伝形式がある。これも明確になっている。何と何と何だか、まずお答えいただきたい。
○吉野政府委員 先生のおっしゃるのは、おそらく白と黒と灰色、この三色の宣伝活動だろうと思います。白は、普通にやっておる宣伝活動、灰色は、その他の放送、それから黒は、やっていない、こういうことになっております。 ○大出委員 外務省が翻訳をなさっておる、米国上院外交委員会の、いわゆるサイミントン委員会の議事録がございます。この中に、第七心理作戦部隊の証言をずっと続けておる。ここに「帰属の範囲」の「総則」というところがございまして、「太平洋軍地域の心理作戦活動は、主として「白」であり、つまりこの宣伝活動の起源については偽わりはない。「黒」の宣伝は他の米諸機関の責任下にある。」黒の宣伝というのは、調整はするけれども、ほかの米機関、CIAその他いろいろありますが、そこの機関の責任下にある。責任はそっちにある、手伝いはするけれども。「「灰」色の宣伝というのは起源は明らかにされないが、それについて宣伝の対象とされる人々が自ら判断を下しうるような宣伝である。」下のほうにございますけれども、こういうふうな書き出しで書いてある。
 これは第七心理作戦部隊のテキストにもうひとつ詳細に載せられている。どう載せられているかというと、灰色の宣伝、グレイ・プロパガンダ、こういうふうに定義をいたしまして、灰色の宣伝、出所を明らかにしない宣伝、こういう意味である、こうなっている。長所、短所が書いてある。その長所、敵の宣伝と受け取られない、これが長所の一つ。二番目は、直接的に追及されずにセンセーショナルな問題を提起するためには非常に都合のいい宣伝である。ところが、弱点が書いてある。弱点は、分析されるといかなるものかということが比較的わかりやすい、そういう弱点を持っている。それから出所を明らかにしないと権威を保つことが非常に困難である、こういう欠点がある。こういうふうに、これは第七心理作戦部隊のテキストの中に明確に記載をされている。
 いまお答えになった灰色の宣伝、つまり金城五郎君を中心とする極東放送と第七心理作戦部隊の関係というのは、第七心理作戦部隊がやっている宣伝形式の中の灰色の宣伝にみごとに該当するものである。そうなると、この点の事実について、まず局長に明確にしていただいて、第七心理作戦部隊と極東放送の関係は、単にニュースをそこからもらっているという関係ではない。第七心理作戦部隊が計画をして、やらせている灰色の宣伝、この形式に該当するものである。明確な結論が出ている、私はこう思うのでありますが、この点あとから大臣に明確にしていただきたいのであります。

○吉野政府委員 第七心理作戦部隊と極東放送との関係は、これは軍と、沖繩にある、施政権下にある放送局との関係でございますから、その関係につきましてわれわれがいまここでとやかく言う立場にないと思いますが、沖繩返還後はこれらの関係は一切断ち切られる、われわれはこういうことを彼らに要求しておりますし、また彼らはこれを承諾しております。したがって、このような関係は返還後には一切なくなります。
○大出委員 私はいまそこから先を聞いているんじゃない。灰色の宣伝に該当する、そういう結論が出るが、いかがかと聞いている。
 大臣、サイミントン議事録にも明確になっておりますように、灰色の宣伝というのは何カ所かやっている。それは私がいま申し上げたテキストにもありますように、そういう形でやっている。それに該当するのかしないのか。この点はもうすでに明確でございます。そのことをまずお認めになって、その上で、いまあなたがいろいろ言っていることは、これから出てくる。順番にいきましょう。
○吉野政府委員 先ほど申し上げましたように、いずれにせよ、現在の第七心理作戦部隊と極東放送との関係は、これはわれわれとしてもこれ以上的確につかみ得ません。しかしながら、すでに申し上げましたように、ともかく返還後は、極東放送はあくまでも一般の民間放送として日本語の放送を続けることができるということに相なるわけでございますから、したがって、このような関係が現在あるとしましても、これは返還後は一切なくなります。 ○大出委員 一昨日の質問のときに、皆さんは何もおわかりにならぬ、お答えにならぬ。だから私が問題点をあげて、調査を願いたい、あなた方、調査するとおっしゃった。そこでお調べになって回答いただいたわけであります。現状把握ができないで、返還後と、こうおっしゃるけれども、対処のしようはないはず。
 だから、もう一ぺん整理すれば、責任者金城五郎さんという方が琉球通信を五四年におつくりになった。そして那覇の中央郵便局に百四十九号という私書箱の申請をされた。住所は浦添市屋富組三百五十六という番地。そして御自分の電話が軍電の(九)七六一二三、こういう電話を正式に届け出ている。これが一つ。
 ところで、ジャパニーズ・ブランチなるものが、先般お聞きしたら、おわかりにならぬとおっしゃったが、きょうはわかっておられるけれども、第七心理作戦部隊の中の十五分遺隊の中にジャパニーズ・ブランチというものがある。いま外務省の訳によると、日本語班になる。ここの電話が、何と、琉球通信が中央郵便局に届け出た電話の(九)の七六一二三と同じ電話。ジャパニーズ・ブランチの電話は(九)の七六一二三。同じ電話。ここの責任者はアレックス・N・ヨリチと申します。こういう人であります。全く同じところのビル。このビルを調べてみたら、九百十号というビルであります。電話をかければ、琉球通信ですか、とかければ金城さんが出てくる。日本語班ですか、とかければヨリチさんが出てくる。こういうことであります。これ自体がまことに奇怪な話でありますが、しかもジャパニーズ・ブランチを通じて人を募集しているのであります。琉球通信が募集したのじゃない。ジャパニーズ・ブランチ、日本語班の名前に基づいて募集している。その資料もここにあります。つまり、第七心理作戦部隊第十五分遣隊の日本語班、こういうことで、ここが雇いますということで人を雇った。構成員九人。だから、この九人は第十五心理作戦分遣隊の職員名簿に載っているわけであります、十月現在。この構成の九人の方々を調べてみると、この名簿によると、金城五郎さん、田仲康清さんから始まりまして、全部一人残らず名簿に載っている。そして、琉球通信が作成しているとあなたはいまおっしゃいましたが、つまり十五分遣隊の日本語班の職員がニュースをいろいろ分析をするのでありますが、これは情報分析課という課が別にある、日本語班じゃなくて、十五分遣隊の中に。この情報分析課のほうで、日本のニュース、沖繩のニュースあるいは世界各国のニュースを分析をいたしまして、これを分析をした結果がいまここにございます、日本に関係のある、沖繩に関係のあるものはジャパニーズ・ブランチに回す、ここでお隣の情報分析課が調べた中身というものを持ってまいりまして、これに対して反論をする。日本のNHKならNHKのニュースがこうこうであった、どうもベトナム戦争の問題等について少し攻撃が過ぎるというようなことになりますと、少しこれを手直しをする。ここに向こうの米軍がございますけれども、ここにリサーチ・インテリジェンス・ディビジョンというのがございます。この中に実はいま申し上げましたジャパン・オキナワ・デスクというのがもう一つある。つまり、情報分析、インテリジェンス、情報を分析いたしまして、それをここにあるジャパン・オキナワ・デスクがいろいろチェックをする。そうしてこれをレイディオ・プロパガンダ・ディビジョン、日本語班のあるこっちに回す。こっちで、チェックされた、ここはまずい、ここはまずいというのを入れかえて直していって、ベトナム戦争というのは正当なものだという調子に直していってニュースをつくる。これをつくっている中心が、さっき申し上げました日本語班の主任アレックス・N・ヨリチさんと金城五郎さん、ここでつくる。そうしてそれをそこから上の部長さんのところに上げて点検をいただいて、それがニュースBとかニュースFとかいう名がついているわけでありますが、そこで許可になったものを、これは英語に翻訳して持っていくわけでありますが、許可になったものを持ってまいりまして、事もあろうに、金城五郎さんが自分で極東放送の解説者として解説をする、こういう仕組みになっておるのですね。これは日本だけじゃありません、沖繩だけじゃありません、各国に及んでいる。ずいぶんたくさんございます。ジャパン、沖繩だけではない、中国も入っておりますし、ベトナムも入っておりますし、朝鮮も入っておりますし、ずいぶんたくさん入っている。キューバまで入っている。こういうことになっているのが第十五分遣隊です。だから私はその意味で、これはサイミントン報告にございますように、明確な灰色の宣伝、グレイ・プロパガンダである。あたりまえのことであります。しかも、先般申し上げましたように、サイミントン議事録の中では、政府機関ではない、政府の補助機関ではない、そういう機関からニュースを放送をしているということを明確にしている。つまり、ここに灰色の宣伝というように書いてある。したがって、明確に極東放送は第七心理作戦部隊が行なう灰色の宣伝機関、こういうことになる。この現実を正しく御認識をいただいた上で、極東放送に対する愛知書簡というものが一体正しいのかどうかという点、ここまで言及をしていただかぬと、現地沖繩県民の皆さんの疑惑は解けない。
 だから、作戦的に心理的にいろんなことが沖繩県民の皆さんにこの十年間与えられてきていることは事実なんだ。  このことが実は沖繩タイムス等を通じて世の中に出た時期がございます。出た時期は、一九七一年、本年の三月十九日、「心理作戦部隊と連携」ということでタイムスが取り上げた。取り上げた時期は、民政府がやがて復帰とともになくなる、ランパート氏のいる民政府がなくなる、したがって、そのかわりにUSIAが沖繩に入ってくるということで、とりあえずUSIAの沖繩支部というものをつくった。これはどこにつくったかといいますと、つまり、国頭のVOAの個所にUSIAの沖繩支部をつくった。USIAは、御存じのとおり、アメリカの広報庁でございます。広報庁の役割りは、第七心理作戦部隊、国連軍放送その他を、CIAも入っておりますけれども、調整をする役割りを持っている、これは皆さん御存じのとおりだと思う。ところが、事もあろうに、このサイミントン報告には――三月十九日、ここにこんな大きな沖繩タイムスがございますが、このときに支部ができたことになっているのです。ところが、そうじゃない。実はこのUSIAというものの司令部は、サイミントン報告によりますと、旧来から沖繩にあった。どこにあったかわからない。いいですか。クーパーという議員が、USIAの主要な司令部は沖繩にあると理解していいか。ピンカスという担当の役人は、そのとおりであると答えている。何と、サイミントン報告ははるかいにしえであります。支部ができたというのは、三月十九日の新聞に載ったこのとき、本年です。ところが、サイミントン報告は、アジアにおける司令部は沖繩にあると、これは一年前の一月の段階で明確にしているのです。そうでしょう。そういうからくりがあっては困るというのでタイムスが取り上げて、このときに何といっているかというと、沖繩にはUSIAと密接な関係があるVOA、FBIS、外国放送情報センター、これは読谷村のボロー・ポイントです。FEBC、つまり極東放送です、ファー・イースト・ブロードキャスティング・カンパニーですから。FEBCなどの対外宣伝機関があり、これを第七心理作戦部隊が全面的にバックアップしている、こういうふうに書いてある。
 これは総理にお聞きいただきたいのですが、書いたらどういうことが起こったかということ。たいへんな騒ぎが起こった。何が起こったかというと、渡久山寛三さんが沖繩の工業会の理事長さんで、今度は新しい財団法人極東放送の責任者、理事長、こういうことで申請を出しています。渡久山寛三さんの工業会に激しい攻撃が起こり、沖繩タイムスに抗議が出てくる、第七心理作戦部隊からも出てくる、沖繩経営者連盟からも出てくる、たいへんな騒ぎが起こった、真実を明らかにしたから。だがしかし、これは動かせない真実をすでにマスコミ五社の方が握っていた時期、こういうわけであります。
 そうすると、沖繩の皆さんは、このことが表に出ましたから、極東放送に対するたいへんな疑惑を今日持っているのですよ。そうすると、本土並みだといって復帰する、VOAもさることながら、極東放送なるこの怪しげなものも、財団法人極東放送の名前に肩がわりをし、衣がえをして置いておかれる、とんでもない話ではないかということになってきている。現実です、これは。だとすると、この問題が、愛知書簡で世の中にない財団法人極東放送というものを頭越しで認めてしまっているという協定の関連取りきめ、これをこのままに見過ごすわけにはいかないのですよ。だから、なぜ一体こういうものができたのかということを、ことばは悪かったが、佐藤さん一枚かんでいるのじゃございませんかということまで実は申し上げたのです。そうでしょう。だから、この点を、総理、御理解をいただいて、極東放送というものは沖繩においてかくのごとき状態にあるのだから、これは政府に、愛知書簡を改めるなり、極東放送は抜いていただくなり、しかるべき処理をお考えいただかなければ、単に復帰後こうするからいいという問題じゃない。総理、いかがでございますか。
○福田国務大臣 第七心理作戦部隊から極東放送がニュースを受けておる、これはアメリカ政府がはっきりそういうふうに言っておるのです。そこのニュースを受けている場合の受け方の実態、これがいろいろあるのだろう、これはひとり沖繩放送ばかりじゃない、日本のいろんな企業におきましても、独立の子会社というか、そういうようなものが親会社と一体的運営をするというような場合は間々あることですから、いまお話を承りまして、そういう面もあるのかなあというような感じがいたしましたが、また、琉球通信につきましても、第七心理作戦部隊と同じビルにおる、しかもそれが極東放送に資料を提供いたしておる、こういうことはもうはっきりアメリカ側も申しておるわけでありますから、それには違いはないと思いますけれども、その資料提供の態様につきましても、いろいろあるかもしれません。しかし、はっきり申し上げたいことは、この第七心理作戦部隊から極東放送に対して資料を提供する、これは返還後においてはなくなります。それから琉球通信、これは第七心理作戦部隊と一緒におるわけです。一緒におるわけでございまするけれども、これは今度返還ということになりますれば、この一企業に米軍と同居させるというわけにはまいりませんから、われわれの提供する米軍の施設から出ていただくという方針を持っております。
○大出委員 これまた、外務大臣、全く事情をお知りにならぬでそういう簡単なことをおっしゃるのだが、出ていただくといったって、あなた、財団法人極東放送なるものは、一昨日明らかなように、申請を出しているのでしょう、免許の申請を。そうでしょう。ここに趣意書から約款から、一括書類全部ございます。計画書もございます。しかも新しい財団法人極東放送にして、すでにパンフレットまでつくっている。パンフレットの中身はこれだけある。これだけ。新しい計画も全部載っている。お読みになったことございますか。
○福田国務大臣 ありませんです。
○大出委員 御存じなくて、なくなるなんと言ったって、この間、原子力潜水艦の問題だって、寄せつけませんなんということをあなたは言ったけれども、あなたは寄せつけないと言ったって、寄りついてきちゃうのです、向こうが。そういうわけにいかない。そうでしょう。この中身をお読みになれば、一ぺんであなたは気がつく、ここまで論議をすれば。ここまで論議をしないから、あなた方お調べにならないから気がつかない、それだけのことを。一体この中で申請している極東放送なるものは、敷地その他の関係はどうなっておりますか。
○福田国務大臣 郵政省のほうからお答え申し上げます。
○藤木政府委員 お答え申し上げます。
 先生のお持ちのパンフレットは私どもも入手しております。ただ、それはあくまでも財団法人のほうではなくて、現在の極東放送のパンフレットでございます。
 それから、財団法人のほうの申請書は、現在琉球政府のほうで審査中でございまして、私どもはその詳しいことは現在よくわかっておりませんけれども、できれば指導したいということで、連絡はとっておりますけれども、詳しいその内容の資料はいま持っておりません。
○大出委員 あなたは簡単に前のだと言うけれども、この中に社長が――ロバート・ボーマン極東放送の本社の社長さん、この方が、社長あいさつをもうすでに――あなたお読みになったですか。極東放送はかくかくしかじか変えるのだ、資金も何とかできれば持ってくれ、こう言っているのだ、この中で。こういうふうに変えるのだと、ボーマン社長のこれ、あとでお読みになってください。あとでいいから。つまり、ここでいっているのは――ここに資料全部ございます。申請書から何からここに全部あります。寄付行為から、全部ございますが、この中で問題は、ここに抜き書きをいたしておりますけれども、実はこの財団法人極東放送で申請している計画の中に、依然として軍用地に計画がある。お答えください。
○吉野政府委員 お答えいたします。
 極東放送は、返還後は純然たる一民間企業として活動することになるわけでございますから、アメリカの基地内における活動は一切なくなるわけでございます。したがって、現在極東放送が行なっておる地域は、これはアメリカの基地から切り離されて、純然たる民間の土地ということになるわけでございます。
 なお、奥間に一つ放送局がございますが、この放送局も廃止となります。
○大出委員 純然たる民間の土地になるとおっしゃるが、どこでございますか。
○吉野政府委員 これはいま現在の五十六の牧港補給地区の中の一部にございますが、これはさくをもって区切らせまして、そしてその後は極東放送と地主との関係になるわけでございます。
○大出委員 あなた、全然だれも行ってみないでそんなことを言って……。これは、さっきあった三月段階にうるさくなったものだから、さくをこうしたのですよ。外へ出した形をとった。そうしたら、そのあとでいろいろ軍施設に関係するデモが起こりましてね、この地域の方々の。あわててコンテナなんかを積み上げた。それで向こう側に引っぱったの取っちゃって、またこっち側に網をつくった。いま中へ入っちゃっていますよ。あなた方は全くもう――現地でもう少ししっかり調べたらどうですか。いま施設の中にちゃんと入っている、今度また。こういうかっこうになっておって、しかも申請書の中に、いまある建物の土地もそうだが、アンテナというのはどこにありますか。放送所はどこにありますか。
○吉野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、これは放送施設の一部は牧港補給地区にありますが、これは返還後は境界を限りまして、基地からはずされます。このことは確言いたします。
 それから奥間の放送局は、御存じのとおり、廃止になりまして、これも民間に返されます。
○大出委員 いまここに申請されている申請書のアンテナの位置、送信所の位置は、返還協定A表五十六牧港補給地区の中に入っているじゃないですか、明確に。そんな申請認められますか、あなた。軍の用地で、軍の機関でもないのに。何を言っているのですか、あなた。
○吉野政府委員 これは先ほど申しましたように、返還時には境界線が変わりまして、わがほうが提供すべき地域と、それから一般の民間が使う地域とは区別されるわけでございますから、したがってその地域は絶対基地にはなりません。これはわれわれ自身が現地において確認してきた結果でございます。
○大出委員 隣はA表の五十七、第七心理作戦部隊倉庫、牧港海軍倉庫、こう並んでいる。そこが牧港補給地区、そのまん中にあるものを、境界を張るも張らぬもないじゃないですか。一緒ですよ全部、その米軍施設と。そこへ張っちまったら、米軍施設までなくなってしまうじゃないですか。そんなことができますか、あなた。アンテナ、送信所一緒じゃないですか、米軍と。そんなものを一緒にどけられますか。考えてごらんなさい。何を言っているんだ。
○吉野政府委員 たびたび申し上げましたように、現在は基地の中にございますが、この分は全部切り離されまして区別されることになっておりますから、どうぞ御安心なすってください。
○大出委員 それじゃ、そのいまお話に出た切り離すというのは、どことどういうふうに話し合ってきめたのですか。 ○吉野政府委員 これはもちろん、われわれが交渉中にそういうことになったわけでございます。
○大出委員 交渉中にそういうことになった。なったのなら、何で一体、財団法人極東放送の申請書の計画の中にこのアンテナから何からみんな現状のままにしてあるのですか。これは、外務大臣、これで許可ができるはずはないじゃないですか。何で一体特例法まであなた方はお考えになるのですか。現実にできないじゃないですか。現地へ行ってみたこともない人がそんなことを言ったって。大臣、いかがですか。許可のしようがないじゃないですか。何で一体愛知書簡で国内法改正までなさろうとするのですか。無理がある。
○福田国務大臣 私もこの関係よく聞いてみたのです。牧港の基地の中にただいまの施設がある、そういうことは私も承知しているのですが、これを移転をする、これは容易なことじゃない、そういうようなことでありますので、とにかく厳重なさくをいたしまして区分をいたしまして、これを切り離す、こういうことになり、軍用地からははずれる、こういうことになるわけです。
 また、その新しい財団法人の認可申請につきましては、郵政省のほうからお答えを申し上げます。
○廣瀬国務大臣 お答えいたします。
 ただいま外務大臣が御答弁申しましたように、返還後厳重なさくをいたしまして境界をはっきりいたしまして、隣地を与えるつもりでございます。
○大出委員 基地のまん中に軍用アンテナその他あるところを、厳重にさくをしちゃったら、これはどうなるんですか。この場所じゃできないのですよ。極東放送の方だって知っているんだ、そんなことは。総理、実は、これは、この間私取り上げましたロスからの電報の中に、一番最後に書いてあるんです。ブロンソンという副社長さんは何と言っているかといいますと、これはニクソンさんのおじさんのマッシュバーンという方は、食料雑貨等の大きなお店をやっておられるというふうに述べまして、最後に、同放送局、これは那覇の二ステーション、奥間の一ステーションは、七二年の返還時には廃止せざるを得ないという予定をいたしております、こう言っている。現地でもだいぶやかましくなっているものですから。那覇は、いまのアンテナや送信所は軍と切り離せないですよ。それをほかに建てるとすれば、たいへんな金がかかるのです。そうでなくても、さっき私が申し上げた極東放送のパンフレット、社長がここで言っているのです。金はいま全部米資本ですよ。今回渡久山寛三さん以下を並べて申請は出したものの、資金が集まらないのですね。だから、日本側が持つ――渡久山さん以下全部日本人の役員にするのだけれども、持つ資金というのは六%しかないのです。九四%は依然としていまの形のままの資本なんですよ、これは。そこへもってきて、アンテナから送信所から、牧港の軍用地のまん中なんですから、区切りようもなければ、網の張りようもないのです。ほかへつくるよりしようがない、やるとすれば。できない。できないから、そういう話が本社のてっぺんでいま出ておるわけです。いいかげんなことばかり言ってもだめですよ、あなた方。だから、私が前から言っているように、そういう、せっかく極東放送のてっぺんでそういう話になって――ここに電文ございますけれども、ここまできているものを――CSGの問題、あれも私よく調べておりますけれども、松本君が取り上げたら、何か六分か七分か、七分三十秒ですか知らぬけれども、前にやめることになったと言ってきたというのだけれども、こういう怪しげなものは、愛知書簡で麗々しく載せておかないで、きちっとやはり処理をしていただかぬと、現地の疑惑は解けない。ここらは、総理、あなたは善処していただかぬと、これはやはり現地の感情というものをさかなでしてはいけませんよ。せっかくいま私、副社長さんの言っていることを、電報を訳したんですけれども、書いてあるからそのとおり読んだのですけれども、そこまできているものを――那覇の二ステーションといえば、日本語と英語しかないんだ。奥間というのは中国語なんだ。これはなくなることになっている。ここまできているものを、あなた方は、この場が過ぎていけばいいという回答の出し方はなさらぬで、やはりそこまでものごとをお考えいただかぬと、現地の方々はまた逆にとる。そこのところは総理から私は御答弁賜わりたいのですが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 米系企業というのが、施政権下の沖繩ですから、存在する、それをどういうふうに処理するか、こういう問題の一環でございますが、この極東放送につきましては、いま英語と日本語の放送をやっているのです。特に、日本語の放送につきましては、私の知る限りにおきましては、私が報告を受けておる限りにおいては、たいへん評判がいい、こういうふうにいわれておるのです。そこで、英語放送をそう残すのはいかがか、こういうふうに思いまして、これは五年でやめよう、五年間の期限を区切ろう、しかし、日本語放送につきましてはこれを存続させよう、こういう判断を最後にいたしたわけでありまして、それに伴う立法措置をまた協定外においてお願いしましょう、こういうふうにいたしておるのです。とにかく、私の知る限りでは、この極東放送という実態、これは現地ではかなり評価されておる、こういうふうに承知しておるのであります。
○大出委員 マスコミ五社どこを取り上げましても、あなたが考えておるように評価なんか全然していない。これはここで時間がないところで言ってもしようがありませんけれどもね。
 そこで問題は、もし琉球政府が、かかる疑わしい内容があり、軍用地にアンテナがあり送信所がある、こういう形で、許可のしようがない、その場合に、結果的にどうするおつもりですか。琉球政府が許可されなくても、極東放送というものは何らかの形であなた方お続けになる。外務省はこの間、だいぶ持って回った、一回り回っちまうような法律の説明をされましたが、そこはどうお考えでございますか。
○福田国務大臣 いま基地の中に放送施設もあるし送信所も、いろいろ塔も建っておるという話ですが、今度は基地でなくなるのです。基地外になってしまうのです。それはひとつまず御了解願いたいと思います。
 それから、申請が出ておる財団法人極東放送に対して免許をするかどうか。私は、免許してもらいたい、こういうふうに思いますが、はたして認可するかどうか、これは郵政省のほうでお答え申し上げます。

○廣瀬国務大臣 お答えいたします。
 ただいま琉球政府に対しまして、日本語の財団法人沖繩極東放送の申請が出ておりますことは、御指摘のとおりでございますが、これに対しましては、ただいま外務大臣が答弁いたしましたように、琉球政府で、財団法人に対しましては許可、放送に対しましては免許ということになるわけでございますが、それをやってもらいたいというように考えておりますけれども、もしそういうような処分が行なわれないということになりましたならば、日本の政府に返還後は入ってくるわけでございますから、日本政府で引き受けまして新しく審査するということになるわけでございまして、そのことについては、昨日も答弁いたしましたように、一般の電波法のルールに従って、競願というその取り扱いで措置いたしたい、かように考えておるわけでございます。

○大出委員 この郵政省がお出しになっている、第六十七回国会、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、郵政省関係、この中に、復帰の際日本語による放送を行なっている場合には、日本語による放送をする無線局について復帰の日に郵政大臣の免許を受けたものとみなすこと、こうなっておるのです。そうすると、復帰の際日本語による放送を行なっていなかったらどうなるのですか。

○廣瀬国務大臣 それにつきましては、ただいまお答えいたしましたように、行なっておるという事実がありますれば、別の法律で日本のほうで引き受けてそのまま放送ができることになっておりますけれども、許可なり認可なりがまだ出ていないということであれば、行なっていないということになるわけでございますから、そうなりました場合は、会社のままで一カ年間は期限を認めておりますから、その間で新しく日本の政府で審査をするということになるわけでございます。
○大出委員 そうはなってないじゃないですか。復帰の際日本語による放送を行なっている場合には――私はあなた方の説明を受けたんだ、これは。大臣、あなた方の説明を受けた。そうしたら、財団法人極東放送はまだ日本語放送をいたしておりません。復帰の日に財団法人極東放送が日本語放送をしていなければ該当いたしませんと答えておられる。許可できないじゃないですか。
○廣瀬国務大臣 これは、ただいまお答えしましたように、免許ということはできないわけでございますから、そのままなんでございます。そこで、新規に日本の政府に対しまして申請があるということになるわけでございまして、そういうふうにさっきお答えいたしたつもりでございます。
○大出委員 そうでなければ、この法律は法律違反になってしまう。復帰の際日本語放送をやっていない。財団法人極東放送は許可になっておりませんから。そうなると、現在も放送はしていない、復帰のときも日本語放送をしていない、こうなると、この例外規定は適用できない。できないから、全く白紙で新たに国内法に基づきまして免許申請をする、これは自由であります。当然競願も自由であります、こういう措置になる。よろしゅうございますな。


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