サマーウォーズの季節
時期的にネットフリックスでもアマゾンプライムでも「サマーウォーズ」の配信が始まっている。
今の時代に結構マッチして現代の若い世代というかオンライン世代の中でも夏のアイコンを確実に獲得しているこの細田守監督作品は初めて見た時からものすごく感銘を受けていた。
題材としてはネット社会とかAIといったオンラインでの物語を取り扱っているのだが、それ以上にオフラインでのコミュニティや絆というものの重要性が描かれている。
もちろんオンライン上での関係性も重要でありそれについても描かれているのだが、あくまでもオフラインありきというメッセージがこの作品には込められている。
劇中のOZの同様のものではないにしろ、今世界で起こっているのはOZとは少しデザインを変えたオンラインとオフラインの融合社会の実現を目指す形になっているのは間違いない。
サマーウォーズが未来を予想していたというより、2009年当時からこういう時代の到来は予想されていた。
マイナンバーの導入により役所仕事はコンビニ端末でできるようになり、請求書はスマホで支払うことができるようになった。
2009年当時ではどう考えても普通じゃなかった「200TBフロップスのスーパーコンピューターに100GBのミリ波回線」は2021年の今でも普通レベルとは言えないにしても少なくとも200TBフロップスのレベルのパソコンは個人用でも実現可能らしい。
当時は異世界モノに近い感覚で見ていた「サマーウォーズ」という物語がより現実に近い感覚でとらえられるようになってきている。
さて、最近映画を見るとよく思うことなのだが、2時間程度という限られた時間の中ですべてを完結させるのは相当難易度が高いと思う。
エヴァのようにシリーズ化しているものなら前段を語らなくてもいい分ストーリーに注力できるんだろうけど、一話完結で全部盛りということになるとやっぱり簡潔すぎる感覚をどうしても覚えてしまう。
細田作品で言えば、「時をかける少女」なんかはある程度ストーリーわかってから見ないと雑すぎる感覚に陥る。
いや、原作を読んで行間を理解するとかそういう努力をすればいいわけだし、簡潔であったとしても「サマーウォーズ」は名作だし映画に対して異論を唱えるつもりは全くない。
むしろ毎回感動して泣かされているぐらいなので。
ただ、欲を言えば長編アニメとしてもっと細かいストーリーのプロセスを見たいよなぁと思える。そこ、もうちょい詳しく教えて!みたいな感じのやつ。それだけストーリーもキャラクターも魅力的だということなのだ。
そういう細かいこととか注釈とか一切省略して2時間で完結させることを優先させたわけでストーリーの奥深さよりもサクサクした展開を優先したってことだと思う。
いや、言いたいことも十分伝わってるんだけどね。
でも栄ばあちゃんの交遊歴とか、侘助の研究とかキングカズマとか夏希先輩とか健二君の数学オリンピックとかつまむと面白そうな内容が多すぎて(笑)
ちなみに細田監督も新海誠監督もそうだが、主役級に素人っぽい声優をキャスティングする感じのところが、リアル感が出ていて僕は個人的に好きだ。
現在公開中の「竜とそばかすの姫」は随分評価が割れている気もするけど細田作品って結構何回も見ないと良さがわからないような気もする。
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