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若林正恭著「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読み終えて思ったこと

一気に読み終えてしまった。

若林さんの言葉は刺さるというより入ってくる。

優しいでもなければ美しい描写というわけでもないし
言葉が刻まれる感じではない。

言葉がじわーっとしみ込んでくるっていうのが近いような気がする。

若林さん自身努力家で勉強家なので
難しい言葉が出てくる個所もあるが
そういう部分はそういう部分で
ピンとこなければ飛ばし読みで良いと思う。


最初に断っておくが僕はネタバレとか気にしないので
ネタバレは、という方は避けて通ってください。


単純に言えば若林さんの旅行記。
キューバ、モンゴル、アイスランドの3か国一人旅。
そこで起きた出来事や感じたことをありのままに書かれている。

文章の構成も上手で張られていた伏線を
きっちり回収する書き方をされている。


まず若林さんが意外と行動力があって驚く。
休みが取れたからネットで調べて一人分予約して
そのままキューバに飛んで行くって
なかなかやらないんじゃないかなと思う。


独身の頃、休みに起きて晴れてたら
ほとんど荷物も持たず行先も決めず
ただ風が気持ちいい方向にバイクを走らせていた
あの頃の気持ちを思い出す。

バイクに乗ることも好きだったがそれ以上に
喧騒から逃れて誰も自分を知らない土地に行きたい
とにかく今の自分に位置から可能な限り離れたい
そんな思いでバイクを走らせていた。

同じではないにしてもこれに近い思いを
きっと若林さんも抱いていたんじゃないかと思う。


話を戻そう。

お父さんが亡くなったのが大きくかかわっているのは
読んでいただけるとお分かりいただけると思う。

キューバの道中マルチネスやエダジマとの関係性は
面白おかしくもあり繊細でありとにかく共感できた。

またオールナイトニッポン聞きなおそうと思った(笑)


モンゴルでの家族との出会い、
アイスランドでの人見知り発動
美しいオーロラの下でパピコの話をぶっこんで
オーロラを台無しにするあたりが
若林さんらしいと思った。


なぜだろう?
若林さんの言葉には妙な共感が持てる。

等身大と言えば等身大。
ネガティブと言えばネガティブなんだけど
単なるネガティブじゃなくて
誰もが抱きがちなちょっとしたマイナスの感情
誰にも忖度しない言葉。

そういうのが嫌味なく淡々と書かれている。


タイトルの「カバーニャ要塞の野良犬」は
ある意味で若林さんの憧れだと思う。
実際には気高いわけでも
誇りを持っているわけでもないのだろうが
若林さんの目には気高く映ったと書かれている。
他者から後ろ指をさされる生き方かもしれないけど
自分のポジションに信念めいたものをもって
誰の目を気にすることもなく生きる。
そんな感じなのかもしれない。


本文中これらの旅で「血の通った関係と没頭」というものに出会った
と若林さんは書いている。

以前僕が書いた自分史の中で僕は
「コミュニティと知識」を求めていたと書いた。
なにか近いものを感じて少し震えた。
僕は乗馬がうまいのかもしれない(笑)
#読んだ人にしかわからないネタをぶっこんでみる


まだまだあるのだが
本気でがっつりネタバレするのもアレなのでこの辺で


最後にあとがきのDJ松永からの手紙がまた良かった。

リトルトゥースならおなじみだが
Creepy Nutsの一人である。
せっかくなので楽曲を紹介しておこう。


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