滝汗 流 の物語 第二部
第二部 ミスターシェイクハンドの日常
海に運ぶのは手間だ 途中で観られるかもしれない その点私の掌という沼に沈めてしまえばそんな問題は起こらない 忽然と部屋から消えて 行方不明ってことになる
大学を出てからこのアルバイトは私の本業になった
彼女と別れて以来誰かと親しく付き合うということもなく 私の心は固く閉ざされていった
私生活で誰かと言葉を交わすこともないが、それなりに日常はある。室温を十四度に設定して 汗が出ないようにした部屋で映画を観たり 本を読んだり 近くの浜辺を