個人情報とは【データ用語解説】
データ用語解説の趣旨
データに係る仕事をしていて、まだまだデータ利活用に関する用語を誤解していることが多いなと感じています。
という事で、データ利活用に係るデータサイエンティスト、データエンジニア、ビジネス部門、業務部門の人たちが押さえておきたい用語を解説していきます。
今回は「個人情報」について解説します。
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個人情報とは
個人情報保護法にはこのように定義されています。
個人情報保護法に記載されている「1」と「2」について具体例を見ていきましょう。
1.当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項により特定の個人を識別することができるもの。
個人情報保護法の条文を見ると何を言っているかわかりませんが、シンプルに書くとその情報単品で見て個人にたどり着ける情報であれば個人情報です。
具体例を出すと苗字などは「佐藤」「鈴木」さんのようにそれだけでは個人にたどり着けない苗字は「1」に該当せず個人情報とは言えません。
一方で「右衛門五郎 ※現存しません」さんといった全国で1名しか存在しない苗字だったらそれは「1」に該当して個人情報になります
というように苗字でも個人を識別できる苗字と個人を識別できない苗字が存在します。
なので苗字が入ったデータベースは個人情報が入ったデータベース、すなわち個人データであるとしておいたほうが良いです。
個人を識別する方法は何通りか考えられます。
一般的に公開されている情報で識別できるケース
具体例を出すと住所は地図を見れば本人にたどり着けるので、簡単ですね。
位置情報(GPSレベルの緯度、経度)も住所とほぼ同じで地図を見れば本人にたどり着けるので個人情報となりえます。
自社の持つ他の個人情報と紐づけられて識別できる
具体例を出すとIPアドレス、Cookie情報、内部附番IDなどそれだけでは本人にたどり着けないが、IPアドレスと顧客マスタが紐づけされていて、自社内で顧客の住所、氏名がわかれば個人情報となりえます。
意図せず紐づけされるキーとなるケース
具体例を出すと掲示板(2ch)のIDがそれにあたります。
2chは基本的に匿名掲示板なので、例えば掲示板に
「私はよしむらです」と書き込んでも個人情報にはならないが、同じIDで
「私は会社員です」「私は〇〇に住んでます」と色々書き込んだときにそれが同一人物となり個人にたどりつける可能性が出てきます。
なので、Webサービスに公開しているIDは個人情報となりえます。
個人情報を入力される可能性があるケース
具体例を出すとメールアドレスは本人が任意の文字列を決めることができるので、aaaa@hoge.xx.jpのときは個人情報ではないメールアドレスです。
たとえばuemongorou@hoge.xx.jpと1人しかいない苗字をメールアドレスに設定してしまった人は、苗字と同じ扱いになり個人情報となりえます。
個人情報のなりえる項目の一覧
個人情報保護法に準拠するために、個人情報として扱ったほうがよい項目の具体例を一覧化するとこのような項目となります。
・IPアドレス
・WebサービスのID(TwitterID、FacebookID等)
・住所
・電話番号
・Cookie情報
・位置情報(GPSレベルの緯度、経度)
・メールアドレス
・MACアドレス
・スマホの個体識別番号
・メールアドレス
・本人と特定できる画像、動画
2.個人識別符号が含まれるもの
個人識別符号は個人情報保護委員会が定義を公開しているので、特に解説することもなく覚えてください。
よく誤解されるケース1
Q.上で説明された「1」「2」以外は個人情報じゃないんだよね?
A.とよく誤解されていますが、そうではありません。「1」「2」の個人を識別できる情報と紐づいている生存する個人に関する情報は全て個人情報です。先ほどの個人情報保護法の条文の一番最初にも明記されてます。
ただ、その疑問を持った人は当然いるらしく、意見募集のときに意見として出てました。
個人情報保護委員会からの回答は、当然個人情報なので明確にするまでもないといった内容でした。
よく誤解されるケース2
Q.社内で個人を特定できる情報を消して加工すれば個人情報を取り扱っていることにならないんだよね?
A.同じ社内で個人を識別できれば個人情報を取り扱っていることになります。下のケースであれば社員IDと名前が紐づけられているテーブルが存在しており、いつでも社員IDから名前に変換することができるので個人情報です。
個人情報ではなくするために匿名加工情報という定義があり、ルールに沿った加工をすると個人情報ではなくなります。
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