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[競馬予想AI] 第nレース目だけ参加すると回収率は上がる?

「馬券の買い方によって回収率を上げることができるか」という検証の一環として、今回は第nレース目に参加すれば回収率は上がるか検証しました。よさそうな買い方を見つけられればAIの性能をカバーしつつ回収率100%以上を実現できる可能性があります。


1~12レースで各馬券の的中率と回収率を調べる

まずは各馬券について第1~12レースで回収率に差が出るか調査します(枠連は省略)。
下の表は過去のデータを現在のAIモデルで予測した結果です(6548レース分)。赤色の背景はその馬券で最も的中率または回収率が高かったレース、青色の背景はその馬券で最も的中率または回収率が低かったレースです。

レースごとの的中率と回収率

第11レースの的中率が軒並み最低ですし、第1レースは的中率が高い馬券が多いですが回収率は高くありません。第2レースも回収率が低めです。と、ぱっと見ただけでもレースによって的中率や回収率に差があることがわかります。

このAIモデルでは全体として唯一3連単だけが回収率100%を超えていますが、レースごとに分解してみると回収率が100%以上取れている馬券が存在しています。ということは、回収率が100%を超えている馬券とレースの組合せを買えば良いのではないでしょうか?

回収率が100%を超えている馬券とレースの組合せで収支シミュレーション

単勝を例に、最も回収率が高かった11Rだけを買い続けると収支がどうなるかシミュレーションしてみます。シミュレーションでは毎回100円買い続けます。

単勝11R

すごくいびつなグラフです。序盤に穴を当てて収支を大きくプラスにしたものの、200後半から300後半のレースにかけて大きくマイナスに触れています。そして紆余曲折がありつつ最終的に回収率103.1%に落ち着いています。回収率が103.1%だからといって道中も回収率103.1%をキープしているわけではないという点は注意しなければいけません。

収支がマイナスにならないかつ右肩上がりに収支がプラスになるグラフが理想です。回収率が100%を超えていても上に大きく振れていたり下に大きく振れていたり、波のようになっていると安定して回収することができません。

収支の遷移

グラフの右の黒い点は最終的に回収率100%を超える点です。
緑のグラフに沿うように利益が上がれば道中もほぼ黒点の回収率が保証される理想的な経路です。赤のグラフは序盤は黒点を超える回収率で収支を伸ばしますが、後半は損失が続き黒点へ落ち着くパターンです。青のグラフは序盤損失が続き、後半に利益を重ねて回収率が100%を超える経路です。紫のグラフは安定せず、そもそもこの買い方によって黒点の回収率が保証されるかも怪しいです(シミュレートする期間によって回収率が大きく異なる)。

赤・青のグラフは利益が続く時期もあれば損も続く時期が長いため、精神的に厳しいかもしれません。気持ち的にはまだ赤線の方が楽でしょうか。青いグラフの中盤でまだ買い続ける勇気は無いかもしれません。

このグラフの形は何に由来するものなのか正直わかっていません。もしかするとAIモデルに欠陥がある可能性もありますし、モデルによってグラフの形が変わる可能性もあります。
とにもかくにも、安定した利益を上げたいので緑色の経路を示すような買い方を見つけたいです。

右肩上がりに利益が上がる買い方を見つける

緑のグラフのように右肩上がりに利益が上がるような買い方と言ってもこればかりはグラフを確認していくしかありません。1つ言えるのは回収率が100%以上でないとダメだということです。
回収率が100%以上の買い方は最初の表を見ると3連単を除いて16パターンあります。その中で比較的緑のグラフに近い買い方を見つけました。

9Rで馬単を買い続けた場合の収支

馬単9R

9Rで馬単を買い続けた場合です。先ほどの11Rで単勝を買い続けたグラフより安心感があります。この時の的中率は10%ほどなのでコツコツと買い続ける必要があります。最終的な回収率は140.5%です。

9Rで馬単を買い続けた場合の収支(指数条件つき)

馬単9R2と3着差が3以上

折角指数で予想しているので指数を条件に加えてみます。馬単ということなので1,2着を確実に狙うために、2着予想馬と3着予想馬の指数の差がある程度大きいものを選んでみました。あまり変わらないような気がしますがやや直線的な上がり具合になったでしょうか?この時の的中率は15.3%、最終的な回収率は184.4%です。的中率と回収率は上昇しましたが、購入条件を加えたため参加レースは1/3ほどになってしまいました。

まとめと考察

実際の収支をシミュレーションしグラフで可視化することで、比較的安定して回収できそうな馬券を発見できました。ただ問題点もいくつかあります。

・テストデータに依存した買い方の可能性
・モデルに依存した買い方の可能性
・グラフを確認しなければならない

実際に運用するにあたってこれらの懸念は大きな不安材料です。たまたまデータとモデルが適合しただけかもしれない以上、手放しに喜ぶことはできません。また、安定した買い方を見つけたとしてもそのパターンが少なすぎると長期に渡って運用しなければならず効率が悪いです。テストデータとモデル依存の可能性についてはこれからも研究する必要がありそうです。グラフの確認については平均線や相関係数あたりを使えばある程度自動化できるかもしれません。

今回「第nレース目だけ参加」と大雑把な表現を使いましたが、この裏にはその馬の過去データの多さや馬の年齢による能力差、レースのグレードなどが関係していると思われます。これらの関係については後日改めて調査し整理したいと思っています。

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