PMPをなぜ取得したのか、どう取得したのか
2024年7月7日にPMPを受験し、無事合格することができました。受験を決意してから合格するまでログを残していたので、誰かの参考になればと思い書き残しておきます。
本題に入る前に用語を簡単に説明しておきます。PMP (Project Management Professional)とは PMI (Project Management Institute / プロジェクトマネジメント協会) が提供・認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際的な認定試験です。そのPMP認定試験のベースとなるのがPMBOK (Project Management Body of Knowledge / プロジェクトマネジメント知識体系ガイド) になります。
背景
PMP認定試験については数年前に取得しようと思い学習用に書籍を買ったことがありました。しかし受験費用がそこそこ高いのと、受験資格にこれまでのプロジェクト経験を英語で記述し審査を通らないといけないという事を知り、その敷居の高さに躊躇して放置していました。
2024年3月に2つの出来事がありました。3月中旬、ヌーラボではジェネラルミーティングが行われました。その中で代表の橋本のプレゼンの中でヌーラボのブランドメッセージ「このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」の基に、ヌーラボが実践している働き方を世界に広めていきたいという話しがありました。また、3月下旬にはベトナム出張があり、Backlogを利用してくださっている多くの企業から会社紹介を受ける機会がありました。日本向けにオフショアビジネスを展開しているということもあり、品質管理を追求してISO9001を取得されたり、コスト管理についても本当にしっかりと対応されていることを知りました。その中で、私は複数の企業のプレゼン資料の中にPMP保有者が在籍している旨を明記している点が目に入りました。
この2つの出来事が重なったことで、私はヌーラボらしい働き方を顧客に広めていくには、その顧客が志向している、一般的に正解とされている標準的なもの、つまり国際的に認められたプロジェクトマネジメントの手法を学びたいと強く思いました。独創的な絵を描くピカソもデッサンはきっちりできるという話に近いと思います。加えて直属のマネージャーに話をすると、費用をサポートできると言ってもらったので取得を決意。受験に向けて準備を始めることになりました。
調査
2024/04/02
まずは受験するにあたり下調べを行いました。Goodpatch プロジェクトマネージャーの星さんの良記事「一念発起して4ヶ月で合格。苦労した点からトラブルまで、PMP取得の道のりを赤裸々に語ります」でやる気が増し、その記事で紹介されていたYoutubeチャンネル「I LOVE PM」で模擬試験を先に受けるべしという学びを得ました。余談ですが、なんとI LOVE PMのイトーダさんは弊社Backlogにブログ記事を寄稿くださっていたことを後から知りました。動画もたくさん拝見しました、ありがとうございます。
調査を進め、以下のような計画で進めていくことに決めました。
受験資格(プロジェクト経験)の確認
学習開始前に模擬試験
35時間研修(これも受験資格にあたる)
学習
模擬試験繰り返す
本番
プロジェクト経験棚卸し
2024/04/03 ~ 2024/04/05
受験資格の中でも一番大変な「直近の8年間で3年以上かつ4,500時間以上のプロジェクトマネジメント経験があること。」の証明。まずはこれをはっきりさせないといけないため、これまでのプロジェクト経験の棚卸しを行うことに。ヌーラボに入社してからのプロジェクト経歴(プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダー、スクラムマスターなどプロジェクトマネジメントに何かしらの関わりがあればOK)を個人で残しているログや、関わっていたプロダクトのリリースブログを見ながら1日10プロジェクトペースでスプレッドシートに入力を進めていきました。概ね入力し終わって期間を集計してみると、無事受験資格がありそうなことを確認できたので次のステップに進めると判断しました。
学習開始前の模擬試験
2024/04/19
後述する35時間研修「PMP®オンデマンド試験対策コース(35時間)」に付属の模擬試験を学習開始前に受けてみることに。180問の模擬試験で結果としては正答率58%でした。合格ラインが60%なので、ここからしっかり学んでいけば合格できそうに思いました。また、全てといっても良いほどシナリオ問題ばかりという問題の傾向を掴みました。
35時間の研修
2024/04/23 ~ 2024/05/02
「PMP®オンデマンド試験対策コース(35時間)」を始めました。PMIの公式サイト pmi.org でアカウントを作成した後に、そのアカウントを同じくPMIが提供している研修のためのサイト pmi.lochoice.com と連携する必要があるのですが、ここで少々困ったことに。pmi.orgでのアカウント作成はGoogleアカウント連携で作成したのですが、なんと pmi.lochoice.com ではGoogleログインは使えずに、パスワードが必要とのこと。Googleログインでパスワードは覚える必要はないと思っていたため失念・・・結局チャットサポートにパスワードリセットしてもらうのに1時間ほど時間を無駄にしました。あとPMIのサイト全般が正直出来が良くなくて、読み込みにも時間がかかるし、チャットも1文字打ち込むのに数秒ラグが発生するなどストレスが溜まりました。これから受ける方はGoogle連携しないようにしましょう。
コツコツ毎日2時間くらいずつ進めて、PMP®オンデマンド試験対策コース(35時間)を修了。PMPについて大まかに学ぶことはできましたが、当然これだけではダメで、これからテキストを読み込み、より詳細を学ぶ必要があると感じました。
学習(テキスト)
2024/05/05 ~ 2024/05/18
まずは3日間くらいかけて、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準」を一通り読み終えました。
次に「PMP完全攻略テキスト PMBOKガイド第7版対応」も3日間くらいで読みました。このテキストは章毎に理解度テストもついていて非常によかったです。こちらをメインにして、PMBOKガイドを補助のように使ってもいいかもしれないと後から思いました。模擬試験もあったので受けてみると正答率63%で合格ラインには達しましたが、さすがにギリギリ過ぎます。やはりテキストを読むだけではダメです。
学習(問題集)
2024/05/19 ~ 2024/06/14
ここからはとにかく問題を解きまくるフェーズに。「PMP®オンデマンド試験対策コース(35時間)」に付属の「【PMP受験者用】ECO完全攻略ガイド」や「PMP問題集」を正答率が90%以上になるように繰り返し解いていきました。
模擬試験
2024/06/17 ~ 2024/06/18
学習開始前に受けた「PMP®オンデマンド試験対策コース(35時間)」付属の模擬試験を再度受けてみました。2日間で2回受けて正答率93%、94%という結果だったのでいよいよ受験を決意しました。これで落ちたら教材のせいだろうと思えるくらいにはなっていました。
受験申請
2024/06/20
準備していたプロジェクト経験等を受験申請のサイトで入力し、登録が完了。受験審査に5日ほどかかるとのこと。ランダムでピックアップされてより詳細な審査プロセスに入ってしまうこともあるようで、その場合大学の卒業証明や、プロジェクト経歴を証明するために上長にサインを頂く必要が出てきます。これは非常に面倒なので選ばれないことを祈りました。
受験予約
2024/06/27
無事ピックアップされることなく審査がパスし、受験日を予約。てっきり毎日受けられると思っていたのですが、月に2日ほど予定されている日程から選ぶ必要がありました。最短の7月7日を選びました。
受験
2024/07/07
試験はオンラインで自宅で受けることに。PCについたカメラで顔を映し、iPhoneをテストシステムと接続して斜め後ろ45度から動画を送れるように準備しておく必要がありました。しっかり監視されています。
実際のテストは模擬試験を何度も受けていたので、「60問 - 10分休憩 - 60問 - 10分休憩 - 60問」の流れが身についていており、特に焦ることもなく進めることがことができました。そういえば計算機やメモはシステムに用意されたものを使う必要があったのですが、計算が必要な問題が1問も出なかったことに今気づきました。
途中からは「解ける、解けるぞ!」と受かりそうな気配を感じてリラックスしていたのですが、最後の完了ボタンを押すときはさすがに緊張しました。無事Passの文字が見えたときはフーッと大きく息をつきました。
最後に
これまで携わってきたプロジェクトマネジメントについても決して無学で臨んでいたわけではありませんが、プロジェクトマネジメントの体系的な知識を得たことで、胸を張ってマネジメントをしている・できると言えるようになったと感じています。また、PMBOKガイドは世界中のプロジェクトマネジメントに携わっている方々が様々な形で執筆のプロセスに関わって更新され続けているガイドであるため、理論だけでなくしっかりと現実に適用できるものです。その強みを得ることができました。
そして、社内で応援してくれていたメンバーの皆様、ありがとうございました。プロジェクトマネジメントの一般的な正解を知ることができたため、これからはその基礎の上に、ヌーラボらしいコラボレーションの仕方を広めていくことができればと思います。