DXは体力勝負? その1

ゴルフ場の新社長になった直後、前任者が契約していたゴルフ場専用に販売されているハード込みの営業管理システムが納品されました。
現場の従業員曰く、今までのシステムが使いづらかったことによる入れ替えということでした。
このシステムは、サーバーとクライアント5台、ソフトウエアで約600万円。

いくら専用だとしても高い!
とは思いましたが、時代なりに機械化は必要だし汎用ソフトでは役に立たない。選択肢も少なかったりするので仕方のない判断だったのかな‥と。
しかし、そんな高額な投資をしたにもかかわらず、納入直後に大問題が発覚しました。

その問題とは、新しい管理システムの中身が「空っぽ」だったのです。

もちろん、予約、顧客、ハンディキャップ、乗用カートなどの管理メニューは一通り揃っています。問題だったのは、旧サーバーから会員名簿、来場履歴などのデータの全てが移行されていなかったことです。
つまり、ハコだけ‥。

今までのシステムと新しいシステムのベンダーは違う会社でした。
新しいベンダーである仙台のS社は要望あれば対応しますということでしたが、旧サーバーシステムがCOBOLで組まれていて特殊?だったことから、データの吸い出しと移行ができないと。
ならば‥と、旧ベンダーである広島のA社に電話で問い合わせをしました。
が、前社長と何やらトラブルがあったようで、広島弁で「おんどれの〜!‥」と酷い罵声を浴びせられ、会話にもならず一方的に電話を切られました。

事務所の古参従業員(お局さん)に確認してしたところ、10年前にS社のシステムを導入したものの、その5年後にはA社に切り替えた。ところがA社のシステムが不出来で使い物にならずクレームを言い、代金の一部を支払ってなかったとのことでした。

トラブルの原因は分かりましたが、そんなことより、既に雪解けしたゴルフ場の営業は始まっています。中身空っぽのシステムに営業しながら過去分をデータ入力する?
そんな馬鹿な‥あり得ないでしょ、とお局さんに言うと、初めて導入したS社からA社に切り替えた5年前もそうでした(ゼロからデータ入力をした)から大丈夫です、と。
しかし、単なる住所録と違い顧客一人当たりの情報量も多く、仮に従業員一人に専属させた場合の処理時間を単純計算しても一年以上かかっても終わらない‥。
つまり、作業労働の対価はザックリ500万以上に。
外注すれば、その倍ほどが必要。

この問題は、東京で付き合いのあったシステム屋が解決するしてくれました。
作業代金は約30万円。
当時はDXの前のIT化でした。

教訓
モノを与えても何も進まない。
機械化は、よく考えないと逆に原価率を上げてしまう。

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