UGCプラットフォームはAIに制圧される(と思う)
UGCプラットフォームと生成AIのコンビは噛み合いすぎという前話
UGCとは、User Generated Contentsの略で、ユーザー生成コンテンツのこと。そして、UGCプラットフォームは、この文章ではYoutubeやTwitterなどの、ユーザー生成コンテンツを掲載したり配信したりするプラットフォームのことを指す。
先日、AIイラストというワードと共にPixivがトレンド入りしていた。調べてみると、Pixivに規約違反のイラストがアップロードされている旨を指摘するツイートがバズっていた。そして、そのイラストは生成AIによって生成されていた。
これに関連して、pixivにおけるAIイラストの氾濫を嘆くツイートがいくつも見つかった。私はpixivを使っていないので詳しくは知らないが、規約違反ではないにしても、目に余る量のAIイラストがpixivを席巻しているらしい。
おそらく、今後はイラストやpixivに限らず、ユーザーがコンテンツをアップロードするタイプのプラットフォームでは、AI生成コンテンツが氾濫すると個人的には予測している。そしてそれは、広告モデルを採用しているプラットフォームにおいて特に顕著だと考えている。それは例えばYoutubeやTwitter、TikTok、Instagramなどである。
なぜなら、AIコンテンツは(今更指摘するほどのことではないが)、大量に生成することができるためである。例えばコンテンツを10万件生成しアップロードすれば、仮に平均1PVしかなくても、10万PVの獲得が(理論上は)可能である。
一方で、販売型のプラットフォームでは、広告モデルのプラットフォームほど影響は深刻ではないかもしれないが、同じロジックは働きうる。
例えば単価200円で10万件のイラストを作成し、そのうち1%しか売れなかったとしても1000件×200円で20万円の売上が見込める。
上記の話に関して、以下2点考は考慮に入れる必要がある。
まず1点目に、全員(とは言わないまでも大多数)が同じ行動をしたら価格崩壊が起きるという点。
広告PVにしろ販売売上にしろ、一人だけが上記の行動をしていれば濡れ手で粟かもしれないが、多くの人間が同じことをすれば広告単価も販売単価も低下の一途を辿る。そのため、上記の行動で長期的に利益が出ることは叶わないだろうという点。ただし、個人業のように限りなく低い単価でも商売が成り立つようなコスト体質だったり、そもそも利益目的でないような人たちについてはまた別の話。
2点目は、AI生成コンテンツが席巻しても、以前として人手で製作・アップロードをする人間はいるだろうという点。
これは現代のような大量生産時代でもさまざまな手作り職人がいる点を考えれば妥当な予測だと思う。ただし、傍目にはAI生成コンテンツがあまりにも多すぎて、人が手で作った作品が相対的に少なく見える(下手をすれば見つからない)ような状況になるだろう。
AI生成コンテンツが氾濫した場合、生成AI開発側は困らないのだろうか
多分、Youtubeやtwitterだけでなく、広く通常のwebにおいても、AI生成コンテンツは激増すると思う。その筆頭はおそらくブログ(特に広告収入目当てのブログ)で、そうするとGoogle検索上位から中位のほとんどがAI生成コンテンツという可能性もあるだろう。
それが善か悪か、我々の欲しかった未来なのかどうかはさておき、このような状況になった時、生成AI開発会社は困らないのだろうか。
あまり詳しくないので断言は避けたいが、画像生成AIにしろテキスト生成AIにしろ、元データは人間が生成したもののはずで、そこにAIが生成したものが紛れ込むのは避けたいのではないだろうか。
もしかしたらテキスト生成AIは、学習過程において人間によるフィードバックがあるから多少データの質が低くても何とかなるのかもしれない。一方で画像生成AIは、今流行りのモデルですら(良く見ると)不自然なイラストを吐き出している点を鑑みると、今後手に入れられる学習データは平均的には劣化の一途を辿り、その劣化したデータでまた学習をするのでモデル自体が劣化する、という可能性があるのではないか。そうすると、イラストレーターは失職するどころか、レアアース並みの希少資源になりそうな気がする。
画像生成AIに革新が起きて、AIが生成したイラストをもとにより質の高いイラストを生成するようになる可能性もあるにはあるが、私の狭い見聞の範囲ではそのような話は今のところ聞いたことがない。
今後、広告モデルのUGCプラットフォームの行末を案じながら、「人手で作ったコンテンツの価値」がどうなるのか、ひっそり観察していきたい。
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