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個性の力は無限大

その報せを電車の中で目にして、残業終わりで疲れた眠気は吹っ飛んでいった。東海NEXUSの創設メンバーの一人、山口千沙季投手が今年度で退団するという発表だ。

埼玉県の出身でありながら、日本有数の強豪校への進学を選択せず、女子硬式野球部が設立したての新潟県の高校に進学。そしてサブマリン投手として、彼女は高校初の女子プロ野球選手となった。

育成チームを経て1年後、埼玉のトップチームに所属した。トップチームでは主に中継ぎとして17試合に登板、回の頭よりはピンチの場面で出てきて、笑顔で抑えて戻っていく。相手からするとそれまでとは球筋がガラッと変わるので打ち崩すのが困難だったことは想像に難くない。

そして女子プロ野球を退団した今年、東海NEXUSの所属となることが発表された。チームメンバーが発表されたときに彼女の名前があったことにとても驚いたことを今でも覚えている。他の選手たちが愛知県の出身であったり、愛知でのプレー経験がある人ばかりだったので、縁もゆかりもない新しい場所で野球を続けるという選択と心意気に私は膝を打った。そんな中での退団の報せ、自身のSNSではハッシュタグに「引退」という文字も見えたが、彼女を憧れてたくさんの女子野球選手が誕生したはずだ。

話は変わるが、海外、主に英語圏では退職や引退をする人にかける言葉として「Congratulations」を使うことが多い。実際に私も転職の際、前職の海外関係者からこの言葉をかけられた。別れを惜しんだり悲しんだりすることよりも、新たな人生を踏み出す未来に対して祝福の言葉で送り出している。

「Congratulations on your retirement.」

最高峰の人が集まる中で野球を経験した3年間は、きっと今後の人生でも忘れ得ぬものとして刻まれていくだろう。これまでの野球人生に対してのリスペクトと、これからの人生へのエールを贈りたい。

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